令和6年4月8日更新
「リチウムイオン電池」の正しい廃棄方法の周知と、事故予防にご協力ください!
リチウムイオン電池は、大容量の電力を蓄えることが可能で、繰り返し充電して使用できる電池です。その便利さ故、スマートフォンやゲーム機器、電子タバコ、掃除機など、身の回りのあらゆる製品に内蔵されています。
このリチウムイオン電池、実は、衝撃を加えると発火するという性質があります。そのため、これを内蔵した製品を捨てるとき、正しい方法で廃棄しないと大きな事故につながる可能性があります。実際、リサイクル工場で発火事故が発生した事例もあります。
このページでは、「リチウムイオン電池」が原因とみられる発火事故等の現状と、事故防止への取り組み事例や、自由にご利用いただける啓発ツールを紹介しています。正しい廃棄方法の周知と事故防止への取り組みにご協力をお願いします。
【動画】トラブル急増!便利なリチウムイオン電池が発火する!?(3分13秒)
【動画】監視カメラで撮影された出火の様子1
【動画】監視カメラで撮影された出火の様子2
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リチウムイオン電池等の発火物が原因による発煙・発火トラブル
リチウムイオン電池による発火トラブル
モバイルバッテリー、加熱式タバコ、電子機器のバッテリーなど、リチウムイオン電池を含む電子機器がプラスチック製容器包装のベールに混入し、プラスチックのリサイクル工場での発火トラブルが近年増加しています。
乾電池や、その他の電池についても、発火の可能性はありますが、リチウムイオン電池は中に燃えやすい液体が入っていることもあり、発火リスクが特に高いと言われています。
リチウムイオン電池は、プラスチックリサイクル工場における第一段階である「ベール解砕機」や「破袋機」の刃によって、リチウムイオン電池が押し潰されて、ショート・発火し、周囲にあるプラスチックに着火してしまうことがあります。
●リチウムイオン電池が押しつぶされ、ショート・発火するイメージ
●年別発生件数
●月別発生件数
発火原因となった加熱式タバコ
(リチウムイオン電池内蔵) |
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発火原因となった掃除機
(リチウムイオン電池内蔵) |
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発火原因となったデジタルカメラ
(リチウムイオン電池内蔵) |
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リチウムイオン電池の発火実験の様子(出典:NITE) |
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●リチウムイオン電池の発火が原因で、リサイクル工場の建屋・設備が焼けてしまった事例
<発煙・発火トラブルの原因物 内訳>
電子機器にはプラスチック部分も多く、誤ってプラスチック製容器包装ごみの日に出してしまう市民がいますが、プラスチックの中にリチウムイオン電池が入ってしまうと、取り除く事が極めて難しくなります。その理由は、乾電池などは、磁石に付くので、市町村の中間処理施設で除去しやすいのですが、リチウムイオン電池を含む電子機器は磁石に付かないものが多く、除去することが難しいためです。また、一度発火してしまうと、まわりには燃えやすいプラスチックがあるので、なかなか消火できません。
リチウムイオン電池を含む電子機器の発火トラブル削減に向けたアイデアとして、以下の取組みが考えられます。
1.リチウムイオン電池を製造・利用する企業が、明確なリサイクルマークを表示する。(輸入品は、輸入した企業が表示する)
2.リサイクルマーク表示漏れ、表示間違いがないかどうか、チェックし是正する仕組みをつくる。
3.機器本体は、小型家電リサイクルのルートにのせ、リチウムイオン電池は一般社団法人JBRCルートで回収・リサイクルする
等です。
小型充電式電池の回収ルートでのリチウムイオン電池の回収・リサイクル
一般社団法人JBRCは、資源有効利用促進法に基づき、小型充電式電池(リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池)の回収・リサイクルを行っている団体です。
●小型充電式電池のリサイクルマーク
●小型充電式電池の例
JBRCでは、従来、ホームセンターや家電量販店などの産業廃棄物ルートで回収しておりましたが、2018年10月1日より、一般社団法人JBRCの排出者登録が完了すれば、自治体、自治体関連施設等から、一般廃棄物として収集・運搬することが可能となりました。このような仕組みで小型充電式電池が一般廃棄物として回収されることにより、プラスチック製容器包装へのリチウムイオン電池の混入減少に繋がると期待をしております。市町村の一般廃棄物をご担当されている方には、ぜひJBRCの排出者登録のご検討をお願いします。
一般社団法人JBRCホームページ(
https://www.jbrc.com/) TEL : 03-6403-5673
『排出者』専用サイト > 新規「排出者」登録 > 一般廃棄物排出者登録
●JBRCが実施する小型充電式電池のリサイクルフロー図
関連団体による啓発活動
リチウムイオン電池使用機器の廃棄方法をレジ画面で啓発 ~2022年9月上旬より2023年3月末までJFA加盟コンビニエンスストアにて実施~
一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(以下JFA)、一般社団法人日本たばこ協会、NPO法人元気ネット、公益財団法人日本容器包装リサイクル協会(後援:経済産業省、環境省)は、リチウムイオン電池使用機器の廃棄方法について、JFA加盟コンビニエンスストアにてレジ画面を使用した啓発活動を実施しました。
日本たばこ協会ホームページ
https://www.tioj.or.jp/
本件のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000106379.html
小型家電リサイクルの回収ルートでの小型家電内蔵リチウムイオン電池の回収・リサイクル
2013年4月に小型家電リサイクル法が施行され、小型家電の回収・リサイクルがされておりますが、まだまだ、不燃ごみなどに回され、リサイクルされていない小型家電も多いと思われます。小型家電の中に電池が入っているにも関わらず、製品にプラスチックが使われていることから、誤って、プラスチック製容器包装に混入する事例が見受けられます。
小型家電リサイクルに関する市民啓発、回収拠点場所追加、ピックアップ量増加、宅配便回収導入などを行い小型家電の回収量・リサイクル量を増やすことで、ひいてはプラスチック製容器包装へのリチウムイオン電池を含む電子機器の混入量を減らすことにつながると考えられます。
現在、環境省・経済産業省で小型家電リサイクル法の課題整理・点検が行われています。メーカーや小売事業者におけるリチウムイオン電池内蔵製品の商品への識別表示や回収量増加の施策を期待します。
●リチウムイオン電池等の回収ルート
※一部地域では、不燃ごみで回収している場合もあります。
東京都武蔵野市の取り組み
東京都武蔵野市(人口14万6千人)では、不燃ごみ処理施設において、年間5件の発火事故が発生し、そのうち2件はリチウムイオン電池が原因と思われる発火事故でした。発火事故を受け、武蔵野市では、市民への啓発、収集運搬や中間処理施設での対策を行い、一定の成果が出ていますので、紹介します。
1.市民啓発
・分別収集品目名を変更した。
「その他プラスチック製容器包装」→「プラスチック製容器包装」
「有害ごみ」→「危険・有害ごみ」
・チラシ・広報誌にて、電池類や、電池が取り外せない小型家電製品を捨てる際には、「有害ごみ・危険ごみ」の区分で排出するよう啓発した。
2.使用済み小型家電の回収強化等
・使用済み小型家電の回収BOX設置場所を3ヶ所から15ヶ所に拡大し、市民が排出しやすいようにした。
・小型家電リサイクルの認定事業者であるリネットジャパン㈱と連携し、「宅配便回収システム」を導入した。
※宅配便回収システム
使用済みパソコン・小型家電を、直接一般市民が、リネットジャパン㈱に発送し、リサイクルする仕組み。
通常は、一般市民が1
箱あたり1,500
円(税抜)の費用を負担するが、リネットジャパンと連携している市町村に在住の市民の場合、パソコンを含む場合は無料で発送可能となる。詳細は、リネットジャパンリサイクルのホームページ(https://www.renet.jp/)を参照。
・使用済みリチウムイオン電池等の小型充電式電池は、今まで通り、家電量販店等で回収を実施。(市はHPで周知)
3.収集運搬時の検査
・月に2回収集している不燃ごみをパッカー車に乗せる前に、すべての不燃ごみ袋を対象として、不燃ごみ袋の中に発火危険物があれば、区分けしている。
上記の対策を行った結果、以下のように、発火危険物を回収することが出来るようになった。
① 使用済み小型家電の回収BOX設置場所を3ヶ所から15ヶ所に拡大したことにより、回収量が約9.6kg/月から119.8kg/月に大幅に増加した。
② 新たに開始したパソコン・小型家電が宅配便回収により、627kg/月が回収されるようになった。
③ 回収された危険・有害ごみの重量は6,700kg/月から7,980kg/月に増加した。
全国市町村 リチウムイオン電池等の発火物アンケート調査
全国の市町村で検出されているリチウムイオン電池等の発火危険物の実態を明確にし、国や電池関連団体、廃棄物関連団体等へ、リチウムイオン電池・リチウムイオン電池を含む電子機器の回収量増加を呼びかける基礎資料にすることを目的とし、アンケート調査を実施しました。アンケートの結果、全国の市町村において相当数の発火物が検出されていることが分かりました。また、全国の市町村から寄せられた意見の例を以下に記載します。
・製造した企業が責任を持って啓発・回収していただきたい。
・メーカー、製造業者による事故防止策、危険周知のためのPRを強く望みます。
・市町村任せではなく、電池メーカー関連団体がもっと適正な処理方法を考えてほしい。
・一般廃棄物であるとはいえ、小さい自治体での対応は排出量が少量で非効率・困難であるため、販売店の店頭回収を一層進めてほしい。
・一般住民、特に高齢者においては、通常の電池とリチウムイオン電池の区別が難しい。通常電池と明らかに異なるデザイン表示にするなど、分別収集しやすい環境設定が必要。
・製品プラと容リプラを合わせて収集しているため、リチウムイオン電池等の発火物の混入を防止することはできないと考えている。
・市町村中間処理施設で、すべての発火物を徹底除去することは難しい。
※アンケート結果の詳細は、
こちらを参照ください。
プラ容器包装と製品プラの一括回収によるリチウムイオン電池混入増加の懸念
多くの市町村では、プラスチック製容器包装のみを収集対象としていますが、全国で24の市町村は、「プラスチック製容器包装」と「容器包装ではない製品プラスチック」を一括回収しています。(当協会申込データより)
以下の表のとおり、ベール品質調査(※)の全国集計結果で、Aランク(最も良い評価)の割合を比較すると、容器包装比率評価や破袋度評価では一括回収のDランク割合がやや高くなっていますが、特に禁忌品の有無評価では、一括回収のDランク割合が66.7%と非常に高くなっております。
<令和2年度 プラスチック製容器包装ベール品質調査における全国集計結果と一括回収の調査結果>
※ ベール品質調査とは
年に1度、全国の保管施設ごとに実施するプラスチック製容器包装のべール品質調査。「容器包装比率」とは、サンプル重量の中にプラスチック製容器包装対象物が占める重量比のことで、90%以上がAランク、90%未満~85%以上がBランク、85%未満Dランクとなる。「破袋度」とは、1kgあたりの破かれていない収集袋や小袋の数のことで、小袋の数が0.2個/kg未満でAランク、0.2個以上~0.4個未満/kgでBランク、0.4個/kg以上でDランクとなる。「禁忌品」とは、電池・ライター・カミソリ・注射針などの危険な異物ことで、サンプルの中に禁忌品が無ければAランク、ひとつでもあればDランクとなる。
一括回収をしている市町村のプラスチックからは、禁忌品が出るDランクの割合が高いという結果も出ており、リチウムイオン電池等の発火物混入が懸念されます。
プラスチック製容器包装と製品プラスチックを一括回収することは、市民からすれば、「プラスチックが一部でも使われていたら何でも入れて良い」と解釈される可能性があります。
特に、表面がプラスチックで覆われているリチウムイオン電池やリチウムイオン電池内蔵の小型家電等の混入は増加することが懸念されます。
参考資料
個別資料ダウンロード
① 新潟市 リチウムイオン電池を含む電子機器の効果的な分別収集及び 電池類リサイクルの取り組み
② 東京都武蔵野市が取り組む発火危険物混入防止対策のご紹介
③ 名古屋市 使用済み小型家電製品回収の市民啓発
④ 静岡県浜松市 ごみ集積所での電池類回収事例
⑤ 使用済み小型家電製品 宅配便回収システムのご紹介
⑥ 一般社団法人JBRC 自治体向け一般廃棄物広域認定 排出者登録のお願い
⑦ 一般社団法人日本たばこ協会 使用済み加熱式たばこ機器等の自主回収のご紹介
⑧ 独立行政法人 製品評価技術基盤機構のモバイルバッテリー発火動画のご紹介
⑨ NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット 生活者啓発活動 リチウムイオン電池混入防止啓発動画のご紹介
⑩ 発火危険物混入防止 市民啓発ポスター・チラシ、イラストデータのご紹介
⑪ リチウムイオン電池を含む電子機器による発火防止のための各主体で求められる取り組み
⑫ 市町村中間処理施設におけるリチウムイオン電池を含む電子機器の除去技術のご紹介
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2019/7/1消費者の皆様へ向けた特設ページ「【お願い】リチウムイオン電池を含む電子機器を混ぜないで!」を掲載しました
ポスター、チラシ、イラストや写真を自由にご使用いただけます。
啓発ツールの制作などにご活用ください。
使用される際は、出典元として「日本容器包装リサイクル協会」 の明示をお願いいたします。
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