特定事業者とは
容器包装リサイクル法において、容器包装を利用・製造・輸入している方は「特定事業者」と呼ばれ、大きく以下3つの事業者に分けられます。
- 「容器」「包装」を利用して中身を販売する事業者
- 「容器」を製造する事業者
- 「容器」および「容器」「包装」が付いた商品を輸入して販売する事業者
上記の「容器」「包装」が一般家庭のごみとして排出される場合、特定事業者には再商品化の義務が発生します。ただし小規模事業者は適用除外となります。
特定事業者に該当するかどうか、9つのチェック項目で確認していきましょう。
義務が生じる場合はこちらからお手続きをお願いします。
チャート形式で見たい方は義務判断チャートをご覧ください。

チェック1事業内容
次のいずれかの事業に携わっていますか?容器や包装を扱う「事業部門」があるかどうかを確認します。
- (1)容器・包装を利用して製品を製造している事業者
食品、清涼飲料、酒類、石けん、塗料、医薬品、化粧品などの製造者
- (2)容器を製造している事業者
びん、PETボトル、紙箱、袋などの製造者
- (3)小売・卸売業者
商品を販売する際に容器や包装を利用する事業者
- (4)容器および容器包装を付した商品の輸入
容器の輸入、容器や包装が付いた商品の輸入、輸入後に容器や包装を付ける場合など
- (5)学校法人、宗教法人、テイクアウトができる飲食店など
上記に携わる事業がない場合、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
チェック2売上高
売上高が最も大きな事業は以下のどちらに該当しますか?
- (1)製造業など((2)の商業、サービス業に当てはまらないもの)
農林漁業、製造業、組合、特例民法法人、公益社団・財団法人、一般社団・財団法人、私立学校法上の法人、宗教法人など
- (2)商業、サービス業
卸売業、小売業、輸入業、飲食店、サービス業
判断のポイント
売上高のほぼ同じ事業が2つ以上ある場合は、各事業の1売上高、2従事する従業員数、3施設規模 から総合的に判断して大きな事業の含まれている方を選択してください。主たる事業が建設業、運輸・通信業、不動産業などであっても、商品の製造・販売などの事業を行っている部門があれば、その事業に携わっていることになります。
チェック3小規模事業者の確認
チェック2で(1)に該当する場合、
(1)従業員21人以上、または年間総売上2億4,000万円超である
チェック2で(2)に該当する場合、
(2)従業員6人以上、または年間総売上7,000万円超である
判断のポイント
〈1〉従業員の考え方
従業員は事業ごとに分けて考えるのでなく、事業体全体で考えてください。
具体的に従業員とは、
1支店等を複数有する場合は全体の人数を合計する。
2「常時使用する従業員の数」(変動がある場合は、直近の事業年度における最多の従業員の数)で判断します。
ここで、「常時使用する従業員の数」は、労働基準法、中小企業基本法の解釈に従うこととなります。一般的には、パート、アルバイトは含まれませんが、ここでいうパート、アルバイトとは、次のような「解雇の予告を必要としない者」を指します。
日々雇い入れられる者(ただし、1か月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
2か月以内の期間を定めて使用される者(ただし、2か月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
季節的に4か月以内の期間を定めて使用されるもの(ただし、4か月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
試用期間中の者(ただし、14日を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く)
〈2〉総売上の考え方
ここでいう「総売上」とは、社会通念上、一般に想起される売上高を指します。
このため、事業者自らが決算に用いるものを用いて差し支えありません。また、事業体が全体でどれだけの収入を得ており、どれだけの経済力を有しているかを判断するため、事業体全体の売上高で考えてください。事業ごとの売上高のカウントは、通常以下のように行われると考えます。
- 鉱業・工業:商品資産の売却高をカウント
- 運送業・サービス業:提供した便益の対価をカウント
- 卸売業・小売業:商品資産の売却高をカウント
- 農林・漁業:商品資産の売却高をカウント
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
チェック4素材
提供している商品やサービスに係る容器・包装は、次の素材からできていますか?
- (1)ガラス製
- (2)紙製
- (3)PET製
- (4)プラスチック製
- (5)これらを利用した複合素材
判断のポイント
〈1〉ガラス製、紙製、PET製、プラスチック製の考え方
容器・包装の「素材」の詳細については、イラストで見る「容器」「包装」をご参照ください。
〈2〉複合素材の考え方
分離するのが困難な複数の素材でできている容器包装については、容器包装を構成する素材のうち重量ベースでもっとも比率が高い素材の容器包装に分類してください。
複合素材の一例:フィラーシート(炭酸カルシウム量50%以上)で成型したトレイは、炭酸カルシウム製容器であり、プラスチック製以外の容器包装となり、対象外です。
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
チェック5商品を入れたり包んでいるか
提供している商品やサービスに係る容器・包装は、商品や商品の付属品を入れたり包んだりするものですか?
判断のポイント
ここでいう容器・包装の「利用対象」は、商品及び商品の付属品を指しています。
景品やサービス(レンタルビデオやクリーニング)はその範疇に入りません。
見本(試供品等)については、明確に通常の商品と分けられている場合は対象外ですが、外見上、販売されている商品とまったく区別できないものを試供品、見本等と称して無料配布する場合は対象となります。
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
チェック6家庭から排出されるか
提供している商品やサービスに係る容器・包装のうち、最終的に家庭でごみとして排出されるものはありますか?
判断のポイント
「家庭で消費」されないケースとは?
容器や包装を利用していても、家庭で消費されるものが全くない場合とは、次のような例を指します。
ただし、そのような場合でも帳簿の記載義務は生じます。詳しくは、帳簿の作り方をご覧ください。
レストランで使用されるソースのビニール袋(但し、レストランにおいて「事業活動により費消され」、一般廃棄物となるとは考えられないものの場合)
会社員が購入し、オフィスで消費されるPETボトル
全量病院へ納品され、その利用後は病院で処分されている医薬品を入れたガラスびん等
海外旅行用品として販売している「おむすび」(乾燥米)のうち、海外で消費された分(海外において排出されたものは家庭での消費に含まない)
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
ただし、この事例に該当しなくても、チェック3でYESに該当(小規模事業者ではない)場合、帳簿記載の義務が生じます。リサイクル(再商品化)義務量を正しく計算したり、また後日、確認を行うためにも、記帳を行っておくことが大切です。また帳簿は、1年ごとに閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければなりません。詳しくは、帳簿の作り方をご覧ください。
チェック7中身と分離した時に不要になるか
提供している商品やサービスに係る容器・包装は、中身と分離したときに不要となり、捨てられるものですか?
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
チェック8受託・委託の関係
容器・包装の利用、容器の製造、容器および容器包装を付した商品の輸入について他社と「委託・受託」の関係を結んでいますか?
判断のポイント
容器・包装を利用する事業者から、容器の製造を受託する事業者については、利用事業者からの素材・構造の指示の有無、程度を問わずに特定事業者になります。委託・受託の関係の具体例については、間違いやすい委受託、利用についての委託、製造等についての委託の判断事例をご覧ください。
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務が生じます。
答えが「はい」であれば、チェック9に進みます。
チェック9受託・委託の関係での実質的な決定者
「委託・受託」の関係において、容器・包装の素材や構造を実質的に貴社が決めていますか?
判断のポイント
利用事業者間または製造事業者間の委託・受託は成立しますが、利用事業者と製造事業者をまたいでの委託・受託は成立しません。例えば、プライベートブランドを販売している利用事業者が容器の構造を指示したとしても、利用の義務は負いますが、製造の義務は負いません。
委託・受託の関係がある場合の義務をご参照ください。
答えが「いいえ」であれば、リサイクル(再商品化)の義務はありません。
答えが「はい」であれば、リサイクル(再商品化)の義務が生じます。