1.帳簿作成にあたって
毎年12月になると皆さんの手元に、当協会から翌年度の再商品化委託申込関連書類が送られてきます。 2月上旬が申込締切となっています。
協会に再商品化委託申込みを行うには、まずすべての商品の容器包装データを洗い出した「帳簿」を作成しなければなりません。
「帳簿」を正しく作成し、当協会に正しくお申込みいただくことが大切です。
協会では、特定事業者の皆さんからお支払いいただいた再商品化実施予定委託料をお預かりし、再生処理事業者の製品販売量に基づいて再商品化委託料を支払っています。
年度終了時に過不足を生じた場合は、次年度の再商品化委託料請求時に相殺することになります。
「帳簿」に間違いを発見し、委託料を払い過ぎたと気付いても年度が終了している場合は、お返しすることはできません。
このガイドラインでは、「帳簿」を効率的にかつ正しく作成いただくための手順及び注意事項を解説していきます。皆さまの帳簿作成の一助となれば幸いです。
2.スケジュールの策定
再商品化委託申込関連書類が当協会から皆さんの元に送られてくるのは12月上旬ですが、皆さんの会社の決算月によっては、直近の決算年度の確定データがかなり前から把握できていたり(例:3月末決算)、逆に近々、決算締めでそれから急いでデータを集約しなければならないケース(例:12月末決算)もあります。
それでは、これから12月末決算の会社を例にとって、より効率的に作業を進めるための段取りについて考えていきましょう。
<例>12月決算の場合の帳簿作成スケジュール
事前の準備事項
●当年度新製品に付随する対象となる容器・包装の素材・1個(1枚)当たり重量の把握
●当年度販売した既存商品に付随する容器・包装の1個(枚)当たりの重量の把握
12月
●必要に応じて再商品化実施委託申込み関連担当者会議の開催
・関連する部署の担当者を集めて担当者会議を開催し、明確に、依頼事項と納期を説明することをお勧めします。
・販売データに出てこない「広告品」等の販売促進用の容器包装については、別途把握することが必要になります。
1月
●決算確定後、販売データから予め準備している「帳簿」(エクセル表)にデータを入力します。
1月下旬
●完成した「帳簿」は、データ提出部門にフィードバックして、内容の最終確認をしてもらいます。
●「帳簿」の集計データから、当協会の申込資料を作成し申込手続きを行います。
3.対象となる容器包装
容器包装リサイクル法において対象となる「容器包装」とは
中味が「商品」である容器包装が対象です。
消費者が消費後に、分離されて不要となるものが対象です。
家庭から排出され市町村が回収するものが対象です。事業系の飲食店等で消費され、廃棄されるものは対象外となります。
再商品化義務のある素材は以下の4つです。
・①ガラスびん②PETボトル③紙製容器包装④プラスチック製容器包装が対象です。
・アルミ缶・スチール缶・飲料用紙パック・段ボールは、市町村の分別収集の対象にはなっていますが、法律制定当時、すでにリサイクルのシステムが構築され有価で取引されていたため、再商品化義務の対象外となっています。
再商品化義務のある特定事業者とは誰?
対象となる容器包装を利用したり、製造や輸入をする事業者は「特定事業者」と呼ばれます。容器包装が一般家庭のごみとして排出される場合、特定事業者はリサイクルの義務を負います(小規模事業者は適用除外)。
・製造等事業者は、最初に容器を製造する事業者が再商品化義務を負うのが原則です。
紙製容器の場合は容器の製造が複数の事業者にまたがる事がありますが、最初の工程が印刷であれば、その印刷を行う事業者が、製造等事業者になります。
・利用事業者は、新たに容器包装を利用して商品化したり、消費者に提供する際に容器包装を利用する事業者になります。
・清涼飲料業界におけるインプラント製造(利用事業者が容器も製造)の場合は、製造等事業者分と利用事業者分の両方申込む必要があります。
・輸入事業者の場合は、製造等事業者分と利用事業者分の両方申込む必要があります。
委託と受託
利用事業者間、製造事業者間では、委託者に再商品化義務が発生します。
・実際に容器を製造したり容器包装を利用したりする事業者は受託者ですが、委託者の指示に従って製造・利用しているとみなされるため、再商品化義務は委託者となります。
・容器の利用事業者である大手小売業にみられるプライベートブランド商品の容器製造の再商品化義務については、委託者が容器の仕様について、容器製造事業者に指示が出されていても委託・受託の関係は成立せず、容器の製造事業者に製造の再商品化義務があります。あくまで製造事業者の間、利用事業者の間においてのみ、委託者が義務者となります。
販売商品以外の対象となる容器包装
・小売店舗において、まとめ売りツールとして用いる紙製容器やプラスチック容器などは、提供する利用事業者に再商品化義務が発生します。販売データから把握はできないので、所轄部署に確認して数量の把握を行いましょう。
・デパートなど紙製包装を利用する事業者も販売データからは把握できません。
・「見本品」や「救援物資」として提供される場合であっても、通常の販売商品と同一形状であれば、再商品化義務の対象となります。
「見本品」や「救援物資」であることを、商品の容器本体やの段ボールケースに明記している場合のみ、対象外となります。
4.容器包装単位重量の把握
新製品の容器包装に関する情報の把握
当年度新製品に付随する対象となる容器・包装の素材・1個(1枚)当たり重量の把握します。
・1個当たりの重量は、対象となる容器包装の仕入れ先に確認するのが効率的です。
・受託商品(プライベートブランド等)は、委託者に再商品化義務がありますので、受託者は集計の対象外にする必要があります。逆に委託者は、再商品化利用義務が発生します。 ※製造の義務までは発生しません。
既存商品の容器包装情報の把握
当年度販売したすべての商品に付随する容器・包装の1個(枚)当たりの重量の把握します。
・前年度作成した「帳簿」の容器・包装の単位重量データを活用しましょう。
・既存商品であっても、軽量化・薄肉化・素材変更などの仕様の変更に伴って、昨年のデータが使えない場合があるので注意しましょう。
容器包装に該当する広告品データの把握
売上情報から把握できる商品そのものの容器包装ではなく、広告品(販売促進用グッズ類)を営業上使用している場合があります。その場合は、営業関連部署からその仕入れ先に、1個当たりの重量と年間利用数量のデータを提供してもらう必要がでてきます。
レジ袋や食品トレイの1枚当たりの重量の把握
レジ袋やトレーは軽量なので1枚を計測すると、測り方で誤差が出る可能性があります。
1ブロック当たりの重量を計測し入数で割る方法をお勧めします。
仕入れ先に確認するのが最も効率的です。
※各重量に関する考え方の詳細は、経産省ホームページ「特定事業者による容器包装廃棄物として排出される見込量の算定のためのガイドライン」をご参照ください。
5.対象数量の把握
エクセル表の作成とデータの入力
製造事業者・利用事業者別 / 素材別 / 用途別 のエクセル表を準備します。(帳簿事例を参照)
- 商品コード・商品名
- 容器包装の素材
- 1箱あたりの入数
- 1個当たりの容器包装単位重量
- 年間国内販売数量・・・ケースとバラの売上データ
〇年間国内販売重量・・・単位重量×入数×販売数量
〇年間自主回収重量・・・自己または他者に委託して回収した重量を差し引くことができます。
〇年間事業系消費重量・・・事業系で消費されたもので数量が正確に把握できるものは、差し引くことができます。
上記のエクセル表を作成後、年間販売データを入力します。
上記〇印を用途別に集計し、用途ごとの【年間排出見込み量】を算出します。
どの年間データを使用するのか
- 原則、国内売上データが対象となります。
- 生産時のロスをカウントする必要はありません。
- 流通等から商品が返品された場合は、自主回収量に計上するのが原則です。
(例外的な対応として、国内売上と相殺した販売量を利用量として計上することもできます。)
- 輸入して国内に販売するものも対象です。(製造事業者分と利用事業者分の両方申込む必要があります。)
- 輸出分は、利用重量から引き算できます。
- 清涼飲料製造業にみられるインプラント製造の場合は、製造事業者分と利用事業者分の両方を申込む必要があります。
例えば、PETボトルのプリフォームを仕入れて充填している場合は、充填する事業者に再商品化の利用と製造の両方の義務が発生します。
レジ袋やトレイの利用重量はどうやっては把握するの?
- 有料販売しているレジ袋は、販売データから数量を把握することができます。
- 無料で提供しているレジ袋やトレイは、販売データから数量を把握することはできないので、期初と期末にすべての在庫を把握し、年間購入量から期末在庫を差し引きし、利用重量を算出します。
しかしながら、すべての店舗ですべてのサイズのレジ袋やトレーの期初と期末の在庫確認を実施することは現実的には困難です。そこで、以下の把握方法を例示します。
購入量を利用量とみなす方法
サイズ別の年間購入量を利用重量として継続的に把握することで利用重量にみなす方法です。しかしながら、この方法だと、消費者に提供していない不良分や事業系消費分まで申込むことになります。
在庫量サンプル調査の比率を用いる方法
主要店舗や標準的な店舗で、主要なレジ袋やトレーの在庫(期初・期末)をサンプル調査し、購入量と利用量の比率を算出し、全国の店舗で使うすべてのレジ袋やトレーの利用量に拡大適用する方法もあります。
6.重要なチェック事項
自社に再商品化義務のある容器包装のみ、集計できていますか?
- 輸入品やインプラント製造の場合は、製造事業者分と利用事業者分の両方を申込む必要があります。
- プライベートブランド商品などのように、下請けに製造を委託する場合は、委託者に利用事業者分の再商品化義務があります。
但し、容器の仕様指示を出したとしても、製造事業者分まで委託者が義務を負うことはありません。
- OEMなどを請負う下請けの事業者は、充填等の実際には利用行為は実施していますが、再商品化義務は負いません。利用を指示する委託者に再商品化義務があります。
委託・受託の関係は、その双方で確認しておくことが重要です。
プライベートブランドの委託等について詳しく知りたい方はこちらQ&A「プライベートブランド、ダブルブランド」
自主回収分は差し引くことができます
自社または他者に委託して回収した実績が把握できる場合は、利用重量から差し引くことができます。
- 例えば自動販売機横に設置されているごみ箱から他社商品の空容器と自社商品の空容器が混在して回収されている場合は、すべてを差し引くことができます。
- 回収率が概ね90%以上確保でき主務省庁に自主回収認定(法18条)を受けている容器は、帳簿に記載する必要はありますが、当協会への申込をすべき容器包装からは除外されます。自主回収認定を受けていないリターナブル容器は、当協会への申込みを行い、利用重量から自主回収重量を差し引きます。
- 自主算定・簡易算定のどちらを選択した場合でも、自主回収量は差し引くことができます。
明らかに事業系で消費されたものは差し引くことができます
- 素材別/用途単位で複数の対象商品があり、そのすべてについて事業系消費量が把握できる場合は、自主算定方式を選択のうえ、事業系消費量として差し引くことができます。
- 素材別/用途単位で複数の対象商品があり、その一部だけ事業系消費量が把握できている場合は、把握した量は差し引きせず、簡易算定を使って再商品化義務量を算定します。
自主算定と簡易算定の選択
原則は、自主算定で算定します。素材別/用途単位で、一部の商品の事業系消費があるが、その数量が把握できない場合に限って、簡易算定を選択することが可能です。
そのため、同一用途内で、事業系消費量が把握できる商品は自主算定を使用し、その他の商品は簡易算定を使用することはできません。
また、事業系消費量が無い場合は、事業系消費量をゼロとカウントし、自主算定を用います。
事業系消費量の考え方を詳しくお知りになりたい方はこちらQ&A「事業活動による控除分」
協会から送付された申込用紙への記入方法
- 正しい申込用紙の選択
製造事業者分と利用事業分のどちらを使用するのか。対象素材は何なのか。
- 記入欄を間違えないように
用途欄を一行間違えると、間違った算定係数により間違った金額が算出されてしまいます。
- 用途・算定係数の妥当性の再確認
同一素材・同一用途で、自主算定と簡易算定を併用できません。
間違いなく事業系で消費されているが数量把握ができない場合のみ、簡易算定を用います。
- 協会ホームページ掲載動画「再商品化委託申込手続きマニュアル」を参考にしてください。
間違いやすい点や注意しなければならない事項など、動画でわかりやすく解説しています。
オンライン申込のお勧め
申込方法は2通りあります。
(1)オンライン申込
協会ホームページのTOP画面「オンライン手続き」から入って、用意された項目に必要事項を自ら入力する方法
(2)紙での申込
協会から送付された申込用紙1及び2に記入押印して、最寄りの商工会議所・商工会に郵送する方法。商工会議所・商工会では、記入必須項目や申込内容の確認を行ったうえで、協会システムにオンライン入力しています。
オンライン申込みのメリット
- 一度登録した企業情報は変更が無い限り入力は不要です。
- 昨年の申込内容が初期表示されるので間違いを防ぐことができます。
- 委託料金が自動で計算されるため、計算ミスはありません。
8.帳簿の保管とデータの有効活用
社内関係部署への帳簿データをフィードバック
当該商品の情報について最も把握している部署の最終チェックを受けましょう。
専門家が見ると異常値をすぐに見つけてもらえる可能性が高まります。
帳簿の保管
素材別/用途別に帳簿をファイリングし保管しましょう。帳簿の作成と、5年間の保存義務が法で規定されています。
帳簿データの有用情報を社内発信
帳簿データにある個々の商品情報を加工して、社内への情報発信をされている企業もあります。
例えば、個々の商品の排出見込量に算定係数を掛けて再商品化義務量を算出し、素材別の再商品化義務総量に対する構成比を算出し、再商品化委託料金に掛けることにより、各商品ごとの再商品化委託料が算出されます。委託料負担の大きい商品は、素材変更や軽量化の可能性の検討材料として活用されています。
申込内容(申込量・申込金額等)に関する関係部署への情報提供
帳簿作成に協力いただいた関係部門へのフィードバックをしましょう。
・どれだけの再商品化委託費用を負担しているのか確認いただき容器包装リサイクル制度の理解者を増やしていきましょう。
・協会ホームページの制度説明資料や容リ制度と事業者の役割(動画で学ぶ)の映像の活用をお勧めします。
経済産業省や農林水産省等主務省庁から送付される「容器包装製造・利用の実態調査票」(6月)への資料活用
・容リ協会への申込内容で「容器包装製造・利用の実態調査票」のかなりの部分を記入することができます。
・3月末決算の企業にとっては、逆に、当調査の段階(6月)で帳簿を作成しています。その帳簿に基づいて12月協会から送付される再商品委託申込手続きを進めています。
グループ各社の申込状況の集約
・申込終了後、グループ各社の申込内容の集約をお勧めします。
・グループ全体でどの程度の再商品委託費用を負担しているのか、把握しておきましょう。
・容器包装リサイクル制度を知らずに申込んでいないグループ企業がいる場合には、申込みを行いましょう。