容器包装リサイクル法および関連法令集

関連通知
容器包装リサイクル法の運用に当たっての解釈事項

平成十一年十二月六日 通商産業省


(1)容器包装リサイクル法においての個別容器包装等の扱い

1.特定容器包装の基準

a )構造
結束用のバンドは、物を入れても包んでもいないものと考えられるため、対象外となる。
詰め物は、社会通念に従い個別具体的に判断される。
例えば、容器に入れられた商品を保護又は固定するために加工されている物は容器包装の対象となる。一方、比較的小型のものが、多数段ボール箱等に詰められることにより、商品との空間を埋めているものは容器包装の対象外となる。
靴下に付されている厚紙は、容器とともに使われている場合は容器の一部として考えられるため特定容器となり、それ単体で用いられている場合は対象外となる。
巾着状になった紙おむつを入れる袋(ポリエチレン製)の口を縛って閉じるための同じ材料のひも状のものについても、袋の構成要因であり、袋の一部と考える。故に、特定容器となる。
箱商品に使用されている合紙(あいし。2段3段重ねの商品の間に敷いた紙)については、菓子箱中の台紙、中仕切り、上げ底と同様に、「商品の保護又は固定のために使用されていると考えられる」ので対象となる。
ワイシャツの販売時に、ワイシャツの襟部分を固定する(1)見える部分のPET素材のサポーター、(2)内側紙、(3)ボタン部分の蝶キーパーは、すべて容器に入れられた商品の保護又は固定のために加工がなされ、当該容器の一部として使用されていると考えられるため、特定容器に該当する。
ふたがついている飲料のふた(飲み口)の部分のみにかけられるシュリンクパックについては、「キャップシール」であり、「容器でも包装でもないもの」という整理から対象外となる。
鮮魚や精肉スライスをトレイとラップで包装して販売する場合に、水や血などのドリップを吸収させるためにトレイに敷くもの(吸水シート)については、「商品を保護するために容器の一部として用いられているもの」と考えられるため、特定容器となる。
レンズ付きフィルムの容器の中に同梱されている三つ折りの紙製の説明書については、商品を保護する機能を持っているものであり、平成11年12月16日予定の省令改正により特定容器となる。
クラックボール6個を1個ごとに固定して入れている(上下で閉じる状態)発泡スチロール製容器については、確かに商品が用いられなければ、何年か以上、この容器に保管されることになるが、「保管時の安全や品質保持等に支障を来すもの」としては考えられないため、特定容器になる。
*クラックボール:銀行、交番等に据え置かれ、泥棒等に当てられ蛍光塗料を出すことで、捕まえられやすくするための商品。
b )商品か否か
試供品、見本等については、試供品、見本等専用の容器があり、明確に通常の商品と分けられている場合は対象外だが、外見上、販売されている商品とまったく区別のできないものを試供品、見本等と称して無料配布するケースについては対象となる。
パチンコホールの景品を入れる袋(パチンコホールの名前入り)については、風俗営業法上、景品の提供は「賞品の提供」となっているため、対象外となる。
「景品に付した容器や包装」とは、既に容器包装が付されている景品をさらに容器包装に入れる場合をいい、これについては対象外となる。
ゲームコーナーで遊戯として得る景品用として作られた容器は、賞品に付される容器と考えられるため、対象外となる。
スーパー等においてプリン等を購入したときにサービスでついてくるスプーンの袋は、例え物理的に商品から離れていても、実際には商品とセットで販売されることを想定したものであり、商品の付属品である。したがって、付属品の袋であるスプーンの袋は特定容器である。
なお、スプーンがスーパー等の小売店により用意されたものであれば、特定容器利用事業者は小売店、あらかじめプリン等の食品メーカーにより用意されたものであれば、食品メーカーが特定容器利用事業者となる。
説明書の袋については、説明書は容器でも包装でもないものであり、商品の一部と考えられることから、商品に付されたものと考え対象とする。
通信販売を行っている場合に付した容器包装は、商品の販売の際付したものであり、サービス(役務)の提供のためのものではないため、対象である。
(1)写真のDP袋(依頼者が記名、使用指定等をして使用済みフィルムを入れ取次所若しくはラボに出す袋)、(2)ネガ・プリントを入れるフラップ付きの袋、(3)ネガを入れる半透明の袋については、(1)(2)(3)の中身がネガのみの場合、これは現像という役務行為の化体した物であるため、それに付した(1)(2)(3)は対象とならない。
中身がプリントの場合又は中身にプリントを含む場合は、(1)(2)は特定容器となる。
使用済みのAPSフィルムのカートリッジを上部に格納できる焼増注文用紙については、これを通常の35oフィルムに置き換えて考えると、使用済みのAPSフィルムのカートリッジも現像という役務行為の化体したものであると考えられるので、対象とならない。
レンタルビデオ店で用いられる袋については、レンタルビデオやレンタルCDは役務行為の化体した物と考えられるため、対象外となる。
但し、同時に中古CD等を販売しているような場合、それに付された容器包装は対象となる。
宅配ピザや出前専門の寿司店等の宅配に使用する容器や包装類についても、特定容器包装となる。
c )不要性
洋服の販売時についているハンガーについては、容器に入れられて使用されている場合、商品の保護又は固定のために使用されていると考えられるため、対象となる。
シャンプーを費消したあとおもちゃとして使えるようにして設計した容器については、中身が費消された後に、中身商品に対しての容器としての役割を終え、不要になると考えられるため対象となる。
「容器包装に関する基本的な考え方について」では、「通常の使用において中身の商品と分離して不要とはならないもの」の例示を行っているが、いずれも中身の商品が繰り返し用いられるもので、かつ通常、中身商品と共に継続利用される容器包装を挙げているものである。
トナーを入れたプラスチック製ボトル(カートリッジ)については、ボールペン、サインペンが握り筒を含めて商品と考えられるのとは違い、「通常の使用において中身の商品と分離して不要とはならないもの」とは考えられないため、対象となる。
背広カバーは、中身の商品と分離して不要となる物と考えられるため、対象となる。
ファンデーションのコンパクトや、アイシャドウ、ほほ紅などのコンパクトも含め、スペアー(詰替用)のある商品容器の本体についても、商品の容器に変わりはないので対象となる。
詰め替え可能の修正テープ容器については、商品の一部と解されるため対象外となる。
ポラロイドフィルムのカートリッジについては、商品が費消された場合に不要となるので対象となる。
薄いアルバム数冊を入れる紙ケースについては、アルバムを保存するためのものであり、通常の使用で分離不要とならないため、対象外となる。
d )素材について
フィラーシート(炭カル量50%以上)で成型したトレーについて、「容器包装に関する基本的な考え方」X.2.の複合材に関する考え方を参考にすれば、プラスチック製以外の容器包装となり、対象外となる。
e)有料か否かについて
販売業者が手提げ袋を商品として有償、無償、環境対策費としての募金徴収という各々の形で消費者に提供する場合、スーパー等で無償提供するレジ袋はスーパー等が特定容器利用事業者としての義務を負う。
一方、販売業者がレジ袋の提供をしておらず(入れ物持参を提唱)、利用者が手提げ袋を求めれば、商品として有償で利用者に提供する場合は、手提げ袋自体が商品なので特定容器包装とはならない。
しかし、無償で提供したり、環境対策費としての募金徴収という形で消費者に提供する場合は、販売業者は商品としての有償提供ではなく、自己費用負担の回収を放棄した提供であることから、サービスとしての容器包装材の利用そのものとなり、特定容器利用事業者としての義務を負う。
キャラクターがガラスびん表示されていることで、通常より割高となっている商品を入れているガラスびんについて、(1)本法では容器包装を「当該商品が費消され、又は当該商品と分離された場合に不要になるもの」と規定しており、この場合、ガラス製容器は中身である清涼飲料が費消(飲用)された後に不要になる(中身商品に対しての容器としての役目を終える)ものと考えられ、(2)「容器包装に関する基本的な考え方について」では「通常の使用において中身の商品と分離して不要とはならないもの」の例示を行っているが、いずれも中身の商品が繰り返し用いられるもので、かつ通常、中身商品と共に継続利用される容器包装を挙げているものであるため、対象となる。
容器包装を有料化した場合、社会通念に照らし、容器包装を販売していると認められるものについては、対象外となる。
商品が陳列されている状態で中身商品の値段に別途容器包装の値段が付されている場合については、商品陳列の段階で既に容器包装が付されているということは、それがなければ中身商品が商品の一つとして流通しないと考えらる。また、他の容器包装との関係で不公平が生じ、法の目的であるゴミの減量化や制度の円滑な運営に不都合が生じると考えられること等を総合的に判断すると、当該ケースについては再商品化義務の対象となる。
f )有料か否かについて
レストランで使用されるソースのビニール袋については、それがレストランにおいて「事業活動により費消され」、一般廃棄物となるとは考えられないものであれば再商品化義務は生じない。

商品の輸送のみを目的として付される梱包材は、通常販売店等で除去され事業系廃棄物として適正処理されるものであり、(1)商品の配送役務に伴う梱包材である、(2)商品パッケージとして顧客に提供されない、(3)顧客には廃棄処理責任が生じない、ことから本法の再商品化義務は生じない。

全量病院へ納品され、その利用後は病院で処分されている医薬品を入れたガラスびん等については、再商品化義務量はゼロとなる。
市町村等に災害発生時等の配食用として販売している非常用食品についても、商品を販売するのに用いた容器(プラスチック)の排出見込量を算出し、再商品化義務量を算定し、それに応じた再商品化義務を履行しなければならない。また、販売時にこれまで当該市町村等において使用がなく保証期間が過ぎた乾燥米は回収する場合、自主算定方式によれば、回収量を控除することができる。
排出見込量が0となっても、帳簿の記載義務は生ずる。
ある業者が海外旅行用品として販売している「おむすび」(乾燥米)のうち、概ね90%が海外で消費したとの自主調査結果が出ている場合。
「おむすび」に付されているプラスチック袋、紙箱についても対象となる。ただし、容器包装廃棄物は廃棄物処理法上の一般廃棄物と規定され、廃棄物処理法の対象は国内であるため、海外において排出されたものは対象外となる。したがって、当該分を控除して排出見込量とすることができる(施行規則第10条第1項第3号口)。
なお、海外消費の実態調査の方法等については、その妥当性を含め考慮する必要がある。

2.対象容器の区分
a )素材
葦(アシ)を原料とした「紙」についても、容器包装として用いており、葦の繊維を「絡み合わせ、膠着(こうちゃく)する」などの工程を経て製造されたものであれば、紙製容器包装となる。
セロハンは、日本商品分類上も紙と別のものとして位置付けていることから紙製容器包装には当たらない。
なお、(1)一般消費者が紙とは認識していないこと。(2)セロハンと紙が一緒に収集された場合、再商品化が困難であること等からも紙と同様に扱うことは不適である。
植物繊維を絡み合わせ膠着(こうちゃく)させて製造したパルプモールドから製造された容器包装は、紙製容器包装であり対象である。
段ボールの定義については、「JISZ0108に記されているもの」との解釈がなされている。
b )複合素材
紙・アルミ・プラスチック三層構造の容器包装材で、重量比3:6:1でアルミが主の場合、再生は不能な場合についても、「容器包装に関する基本的な考え方について」X.2.具体的判断の目安 にあるとおり、『主として何製であるかによることとしており、当該容器包装を構成する素材のうち重量ベースでもっとも主要なものに分類する』となっている。
なお、このとき当該「三層構造の包装材」は複合材であり、したがってアルミ製包装となり、したがって、対象外となる。

3.特定容器か特定包装かの基準
エアゾール缶2本を巻くシュリンクフィルムについては、底部が閉じている場合は容器、閉じていなければ包装である。
家具等の販売の際に使われる空気の入った包装用シートのうち、利用事業者が包装用として利用しているものについては特定包装であり、したがって製造等事業者は存在しないことになる。

(2)義務対象者の基準
1.適用事業者となる基準(規模区分、業務内容)
a )規模区分
特定容器利用事業者の判定基準である収益事業の範疇に、建設業、サービス業等が含まれていないのは、当該業種では商品の販売が行われないからである。一方、主としてサービス業を行っている事業者であっても、同時に容器包装を付した商品の販売を行っている(小売業)ような場合には、特定事業者たり得る。
「常時使用する従業員の数」は、労働基準法、中小企業基本法の解釈に従うこととなる。
一般的には、パート、アルバイトは含まれないが、ここでいうパート、アルバイトとは、『(1)日々雇い入れられる者(ただし、1ヶ月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く。) (2)2ヶ月以内の期間を定めて使用される者(ただし、2ヶ月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く。) (3)季節的に4ヶ月以内の期間を定めて使用されるもの(ただし、4ヶ月を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く。) (4)試用期間中の者(ただし、14日を越えて引き続き使用されるに至った場合を除く。)』のように「解雇の予告を必要としない者」をいう。
b )業務内容
販売業者が魚卸売業者から無地のトレーにのせられラップでパックされている魚を仕入れ、自社ラベルを貼って販売した場合、特に販売者からの委託がない場合には、トレーにのせてラップでパックした者が特定容器利用事業者となる。
コンビニエンスストア等で販売されるお弁当については、(1)コンビニエンスチェーンが自らの商標等の表示を指示することによってコンビニエンスチェーンの名前で売られている弁当では、コンビニエンスチェーンが特定容器利用事業者になるが、(2)コンビニエンスチェーンが不特定に売られている弁当を仕入れて売っている場合には、コンビニエンスチェーンは特定容器利用事業者とはならず、弁当メーカーが特定容器利用事業者になる。

2.利用事業者/製造等事業者となる基準
法適用事業者から法適用除外事業者へ容器包装が付された商品を売られた場合、委託・受託関係がないのであれば、法適用事業者が再商品化義務量としてカウントすることになります。
容器メーカー 中身メーカー中間業者小売業者
  (容器)  (商品・容器)      
上記の場合において、小売業者のオリジナル商品の場合で小売業者からの指示(素材、構造、自己の商標の使用等)がある場合は、小売業者が特定容器利用事業者となり、特定容器製造等事業者は、特定容器利用事業者からの発注であるから容器メーカーがなる。
国内ワイシャツメーカーが、容器を国内容器メーカーに製造させ海外ワイシャツメーカーに輸出させたうえ、容器に詰められた商品を輸入した場合は、国内ワイシャツメーカーが利用及び製造等事業者となる。国内容器メーカーは容器の輸出量として製造販売量から控除できる(但し、帳簿記載義務あり)。

3.受委託関係を伴う場合の適用事業者となる基準
委託商品において、発注者の指示に従って容器に詰められた試作品等を提示し、商品として納入した場合については、委託の内容を契約書等により確認しなければならないが、「指示」が素材、構造、自己の商標の使用等を行っているものであるなら、義務者は発注者となる。
PB製品を中身メーカーで詰めてもらうよう委託し、その容器は別の容器メーカーで製作する場合は、中身メーカーで詰めてもらうように委託した者が容器利用事業者となり、その容器を製作する別の容器メーカーが容器製造等事業者となる。
酒類製造業者が百貨店、ホテル、飲料店等から酒類の製造の委託を受け、先方に納入している場合。
(1)委託元が、飲料店等、エンドユーザーの場合は、委託者の「販売する商品」に容器包装を付すものではないため、素材・構造等の指示をしていたとしても、常にメーカー(酒類製造業者)が再商品化義務を負うこととなる。なお、それらのものは通常100%事業系で使用されるので、自主算定方式の場合、排出見込量から控除することができる。
(2)委託元が百貨店等、流通業者の場合は、当該者の「販売する商品」であり、素材・構造・商標の指示があるか否かによって判断される。
(@)百貨店等のオリジナルびんに詰めた場合は、百貨店等が、容器の素材、構造等の指示を行ったものであり、百貨店等が義務者となる。
(A)酒類製造業者の既製品と同じびんを使用し、ラベルのみのものを貼付する(あるいはびんに直接書き込む)ことを依頼された場合は、商標の使用の指示を受けたものであり、百貨店等が義務者となる。
ホテルのように、エンドユーザー・流通業者の双方の側面を持つ者については、事業者(酒類メーカー)の販売時にはどちらの用途で使用されるか不明であるため、全量について、指示がある場合にはホテルを義務者とする。
この考えにより、事業系の量・家庭系の量について、より明確にとらえることができる。なお、(全量が)客室専用、直営食堂専用等のように用途が明確になっているものは、それにより判断する。
100%子会社のB社に容器の素材、構造等を指示し、充填をさせている。一般的には、プライベートブランドでA社が義務者になると考えられるが、商標のみB社の名前である場合(薬事法では、B社でないといけない)は、A社がB社に充填委託を行っていると考えられ、規則第5条第1号に該当すると考えられるため、メーカーA社が容器利用事業者に該当する。なお、仮に販売の委託もされていたとしても、容器の素材・構造等を指示していることから規則第5条第3号にも該当する。
容器包装を付した商品を輸入した場合は利用と製造両方の義務がある。また、輸入を委託した場合についても、委託者が製造・利用の義務者となる(委託・受託関係にある場合の義務対象者について1.「用いる」に係る委託(法第2条第9項)(4)の通り)。
(インプラント問題)
B社の規格指示(材質・厚さ、幅等の指示)で、A社(プラスチックシート工場)がプラスチックシートを製造・カットし、B社に納品する。B社(印刷工場)は、C社の指示でインプラント用にあらかじめ指示製造させたA社のシートに印刷加工し、C社に納品する。それを受け、C社(食料品製造工場)がインプラントで製袋する場合、製造義務者については、「最初に容器の製造に着手した者」が製造事業者となるため、Aが「製造等事業者」となる。また、容器利用義務者はC社となる。
ナショナルブランドのウイスキー(国内製造品)について、流通業者等が「発売元」を表示した場合でも、再商品化義務者はA社(中身メーカー)となると考える。その理由は、ウイスキーの容器の仕様はA社が定めているものであり、かつ、当該製品中にも流通業者の商標がある訳ではないことから、容器包装リサイクル法上の委託には該当しないからである。
一般的に、製造者と併記されている、「発売元:○○○梶vについては、取扱業者を明示しているにすぎず、商標の指示とまではいえない。
弁当(売仕)の場合、保健所の営業許可をとるために、製造・販売元として百貨店(又は百貨店と弁当屋の併記)を表示している。この場合は、百貨店の商標の有無、製造・販売元の表示の仕方によって、以下のように 整理できる。      
  (利用事業者)
(1)百貨店の商標(ブランド名)を入れている場合:百貨店
(2)製造・販売元として百貨店名のみが表記されている場合:百貨店
(3)製造者○○、販売者△△百貨店が併記されている場合:製造者○○
(4)製造者名のみが表記されている場合 :製造者○○

(3)排出見込み量の算定
1.業種区分
百貨店で等で販売されるセット商品は、多業種の商品をセットにして販売している場合が多い。このとき、各々の中身商品については、PB商品の場合を除き、各々の特定容器利用事業者が別に存在する。百貨店に再商品化義務が課せられるのはセット商品の「外箱」のみであり、これは「小売業」に分類される。
(1)ハンバーガーショップで飲料をテイクアウト用に販売する際に用いる紙コップ、(2)小売店が自動販売機にコーヒー飲料製造メーカーから購入したコーヒー原液を入れ、紙コップに注いで販売する場合に用いられる紙コップ、(3)清涼飲料製造メーカーが自ら自動販売機を用いジュースを販売する際に用いる紙コップ、(4)野球場等で販売するビールに用いる紙コップ、の業種は、いずれも販売−小売段階で付される容器であるため、「小売業」となる。
業種区分において、「清涼飲料製造業及び茶・コーヒー製造業」の「茶・コーヒー」とは、飲料ではなく、茶葉、インスタントコーヒー、粗挽きコーヒーなどをさしており、コーヒー飲料、茶系飲料は「清涼飲料製造業」となる。なお、PETボトルについては「再生資源利用促進法」の第二種指定製品のPETボトルに限定されます。

2.自主回収の考え方
ガラス、ペットボトルを対象とした現在の自主回収の認定については、自主回収に係る回収率は、「おおむね百分の九十」となっている。ただし、現状の回収率が80%以上であり、その回収の方法から判断して、おおむね90%の回収率を達成するために適切なものであると認められる場合は、主務省は認定することとしている。
また、特定容器利用事業者が小売店、消費者から回収したものについては、法第18条で「自ら回収し、又は他の者に委託して回収するときは、」となっており、小売業者との委託関係があれば、「自ら回収している量」として控除可能である。
中身メーカー(甲社)が再商品化義務量分を容器包装リサイクル法で認められた方法での再商品化を行う事業者に委託して再商品化を行った場合、甲が法第15条に記載する再商品化の認定を受ければ、独自で再商品化義務を履行した事になり、指定法人に委託する必要はなくなる。なお、この認定を受けるためには、製造等又は利用した商品に係る容器を流通実態に応じて地域的に偏ることなく集めて再商品化することが求められる。また、特定容器製造等事業者についても同様に判断される。
テナント方式のスーパーで、各テナント(容器利用事業者)の使用しているトレーを、スーパー本社が回収している場合、各テナント(容器利用事業者)から委託を受けているのであれば、自主算定方式を用いたうえで控除してよいと考えられる。
スーパーマーケットがトレーを店頭回収してメーカーに無償で渡し、トレーを受け取ったメーカーが原材料化するのではなく、例えば、焼却処理していた場合でも、トレーを受け取ったメーカーが焼却処理を行った量も「自ら又は委託して回収した量(控除)」に含めることができる。
なお、スーパーとメーカーが共同で回収している場合、又はスーパーにメーカーが委託して行っている場合は、メーカーが「委託により回収している」ということができるが、スーパーや市町村から受託して再商品化している場合等は該当しない。(特定事業者による容器包装廃棄物として排出される見込量の算定のためのガイドラインWの2.留意事項(1)〜(8)参照)
硝子製造メーカーが各地方の事業者に委託(委託内容は以下のとおり)して回収し、回収したものをカレットにして納入させている。この場合は、回収先を特定事業者が明示し、回収したものを全量引き取ることを約束している、という点で通常の商取引とは異なり、回収自体が委託と考えられ、したがって回収量を排出見込み量から控除してよい。
なお、控除する回収量は、全ての回収量から市町村の委託により回収した量を除いた量としなければならない。また、上記委託内容を整理すると以下のようになる。
委託内容:(1)地方の事業者に回収先(拠点、施設を明示)を明示して回収を依頼。
  (2)事業者は硝子製造メーカーからの委託に限りガラスを回収を行う。
  (3)事業者からは、回収したものを全量引き取っている。
  (4)製品カレット(洗カレット)又は材料カレット(未洗カレット)の形態で納入させており、納入形態により単価を変えている。
(内容は、事業系、市町村から受託したもの等がある。内訳量は記録あり)
製品カレットを硝子製造メーカーに納入する時点での異物(ラベル・キャップ等)やジャミ(カレット化する時に出るガラスくず)が、過去のデータより算出出来る場合、回収量(ラベル等を含む)と引取量(製品カレット)が一致しない時は、回収した時点での量を回収量とする。ただし、以下の点をクリアした場合にのみ製品カレットの量から回収量を算定することとし、できない場合には納入量を回収量とすることが妥当である。
(1)製造等をした量にラベル等の量を含んでいないのであれば、回収量に含めないようにする等、製造等をした量の計算方法と同じ基準で量を出さなければならない。
(2)ジャミ(カレット化するときに出るガラスくず)は、含めて構わないと考えるが、量を明示する必要がある。
(3)(1)(2)の観点から、カレット化のロス分の量を、異物の量とジャミの量に分けて把握する必要がある。
無色、茶、その他が混在したもの(混みカレット)を回収した量は、無色、茶、その他の色が混在したものを集めたものだけのデータであり、かつ、排出見込量を算定するときに用いる事業年度時点のものであれば、按分して「自ら又は委託して回収した量(控除)」としてもよいと考える。なお、今後も無色、茶、その他の色が混在したものを集めるのであれば、毎年度サンプリングを行う必要がある。
ストックされているため、各事業者が回収した量と、ガラスびん製造事業者が引き取る量とが年単位で一致しない場合、回収の委託であるならば、回収した時点での量を回収量とする。ただし、回収した量の全てを引き取ることが前提となる。
回収量(ラベル等を含む)と引取量(製品カレット)が一致しない場合は、原則、回収量(ラベル等を含む)を計量することが望ましい。なお、推計については方法が妥当か否かを主務各省で判断する必要がある。
独自ルートまたは自主回収ルートを申請し、主務大臣に認定を受けるための事務手続きは、独自ルートについては、施行規則第15条(再商品化の認定)を、自主回収ルートについては、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律第18条に基づく自主回収の認定申請の留意事項」が定められている。
また、自主回収の認定は、ガラス(又はプラスチック)容器等と紙の外箱等とは別々に認定を受けることが可能で、例えば、化粧品販売業など、ガラスまたはプラスチック容器+外箱(紙)で販売している場合で、外箱が回収出来ないケースの場合には、ガラスまたはプラスチック容器容器のみで認定を受けることもできる。なお、自主回収の認定を受けていなくて回収している場合には、その量を排出見込量算出に当たって控除することが出来る。
分別収集窓口が市町村でなく販売店という収集形態では、法制度上の独自ルートのシステムにのらない。ゆえに、15条認定は受けられない。

3.業務用出荷量の考え方
商品に用いる容器は「特定容器」(法第2条第2項)と規定されており、法の対象となる。具体的には、当該無色のガラスびんを利用する者は、特定容器利用事業者となり、したがって当該無色のガラスびんの利用状況について帳簿記載の義務が存在する(法第38条)。
ただし、再商品化義務については、全量が事業活動に伴い費消される商品であれば、再商品化義務は生じないと考えられる。控除できる量に係わる考え方は、以下のとおり
(1)当該ガラスびんの回収率がおおむね90%以上であれば、法第18条に基づく自主回収の認定を受け、残るおおむね10%の未回収量に係る再商品化義務量を免除することができると考えられる。
(2)また、再商品化義務量算定時に、規則第10条第1項第1号の「販売した商品に用いた量」として計上した上で、同項第3号のイの「自ら又は他者に委託して回収する量」と同項第3号のロの「容器包装廃棄物として排出されない量(イに相当する量を除いた量)」の合算量を控除することにより、当該ガラスびんの使用量に相当する義務量が生じない。なお、(1)(2)いずれの場合も回収実績等の検証資料が必要である。
回収したもののうち、事業系のものの扱いについては、自主算定方式で排出見込量を算定する場合には、施行規則第10条第1項第3号ロ又は「特定容器製造等事業者に係る特定分別基準適合物の再商品化に関する省令」第2条第1項第3号に規定するその他容器包装廃棄物として排出されない量から事業系の回収量を控除する。
輸出した量についても帳簿の記載・保管義務がある。
輸出に関する帳簿の記載は、輸出先の国名まで最低限記入すること。なお、明細については取引先の会社名まで記載されたものが残っていると思われるので、合わせて保管されたい。
他社で製造した商品を日本国内で仕入れて輸出した場合、受委託関係が無く、仕入れ後に容器包装を施すようなことがなければ、輸出した事業者は特定事業者とならないので、帳簿記載義務は生じない。
他社に製造委託した商品を輸出した場合(当社ブランド品)は、帳簿への記載が必要となる。
他社より製造委託されて当社で製造した商品(他社ブランド品)を委託先が輸出している場合は、受託生産であるから輸出量としての帳簿への記載は必要ない。
海外工場で生産した商品を直接海外市場に輸出し、売上は親会社たる当社を通している場合(仲介貿易)は、帳簿記載の必要はない。
生産をしている商品に国内一般消費者向けがあり、その量の把握を行う場合で、国内一般消費者向けに販売をしない商品(国内事業者向け販売+輸出の場合)についてのみ、
「輸出先毎の特定容器の量=容器の使用量(種類別)×(輸出先別の販売金額/販売金額の合計)」
の式より、算出しても良い。その理由としては、(1)輸出額を販売額で除する方法では、為替レートの変動等により正確な国内排出量の算出を期待できないため、国内一般消費者向けに販売をしない商品に限ることとする。(2)生産をしている商品に国内一般消費者向けがある場合には、その量の把握を行えば場合、義務量算定に影響が無いと思われること。が挙げられる。なお、輸出に使用された特定容器の量を算出して、その差し引きにより国内に排出される特定容器の排出量を算出することは、認められない。

4.その他
排出見込量の算定に当たって、特定分別基準適合物の種類ごと、業種区分ごとに自主算定方式と簡易算定方式を使用して、算定しても問題はない。{特定事業者による容器包装廃棄物として排出される見込量の算定のためのガイドライン U排出見込量の算定方法に記載あり。}
算定すべき再商品化義務量の基礎として、前年度販売商品に代え、前年に購入した容器量(これなら容器毎の購入リストがある)で代替することについての考え方は以下のとおり
1.)再商品化義務量は「販売した商品に利用した特定容器の量」を用いて算定することとなっている。
2.)しかし、販売商品の量が定量的に把握できないものについては、客観的に正当であると認められる範囲内で、購入した容器量で代替すること等も可。
3.)但し、購入容器量を用いる場合には次の点に注意されたい。
  
(1)容器の購入リストに記載された量で販売した量がもれなくカバーでき、「購入量<販売量」にならないこと。仮に、容器の購入量が販売量を下回った場合には、その前年度からの容器の繰り越し使用量も考慮し、販売量が上回っていないことを確認すること。
(2)容器を返品した場合は控除してよいが、容器購入リストにおいて既に返品された量が差し引かれている場合には、再度差し引かないよう注意すること。
4.)なお、将来的に販売量が把握できるようになったときは、販売量で計算し、その量を帳簿に記載するようにしなければならない。
コップ型のガラス容器を問屋へ卸す場合など、問屋から販売先及び販売量のデータが得られず、製造事業者として用途と業種区分が特定できない場合は製造事業者において問屋から先のルートについて調査して頂きたい。
特定容器利用事業者が当該特定容器を販売する商品に用いることを開始した年度(初年度)における排出見込量は、初年度において販売した商品に用いた量を、初年度に当該商品を販売した月数で除して得た量に十二を乗じて得た量とされている。このとき、販売開始が月の半ばで1ヶ月に満たない場合には、切り上げて1ヶ月とする。
(1)回収(自治体)→収集(自治体)→保管(自治体)→再商品化のルートで義務対象者が再商品化を行っている場合は、市町村から委託を受けて再商品化を行っているものと考えられ、
自ら又は他者に委託して回収しているものではないので、義務対象者が排出見込量(義務量算定時に算出)から再商品化を行った量を控除することはできない。ただし、法第15条の認定を受けて製造等している容器を流通している市町村の保管施設から搬出して再商品化を行う場合には、この限りではない。
市町村は指定法人等に引き渡さずに任意に分別基準適合物の再商品化を行うのであり、処理責任は市町村に帰する。
(2)回収(小売店)→収集(自治体)→保管(自治体)→再商品化のルートで、再商品化が行われている場合は、小売店は市町村から委託を受けて回収を行っているものと考えられ、
小売店も店頭回収を行ってはいるが、収集運搬、保管等を市町村が行っていることから、排出見込量から控除はできない。
(3)回収(小売店)→保管(小売店)→再商品化のルートで、製造等事業者となる事業者が再商品化を行っている場合で、再商品化を行っている事業者と小売店が共同で回収及び再商品化を行っている場合には、両者ともそれぞれ利用事業者、製造事業者として、排出見込量から当該回収量を控除することができる。
なお、いずれも指定法人に関係なく行われており、(1)(2)は分別基準適合物となっていると想定している。
再商品化義務量の算定に当たって、「容器の栓、ふた、キャップ等」の重量の取り扱いについては、容器本体と同一の容器包装区分の栓、ふた、キャップ等については容器本体の重量に加えるが、容器本体と異なる容器包装区分の栓、ふた、キャップ等については対応する容器包装区分毎に重量を算定し義務を履行することとなる。したがって、PETボトルのプラスチック製キャップ重量はその他プラスチック製容器包装の重量として、ガラスびんの王冠重量は王冠の素材に対応する容器包装区分の重量として算定することとなる。

(4)その他
1.指定法人との契約について
指定法人との再商品化委託契約は、消費税及び特別地方消費税の課税対象であり、特定事業者においては課税仕入れに該当する。なお、委託料金は消費税及び特別地方消費税込みの金額である。

2.帳簿の記載について
帳簿はパソコンに入力してプリントしたものでも良い。
自主回収認定事業者には、事業年度末に自主回収実績報告(自主回収状況報告書)の提出が義務づけられており、また、利用量、販売量、回収量等について詳細な書類の提出を求められることがあるとしている。しかし、実績報告を行う際には、報告書のみの提出で良い。ただし、必要に応じて、利用量、販売量、回収量等について更に詳細な資料の提出を求めることがある。
自主回収実績報告は、法第39条、施行令第7条に基づき、原則として「事業終了後速やかに」報告書を提出するのが望ましい。具体的には、特定事業者において、利用量(販売量)等の各種事業実績数値が確定する時点(総会終了時等)が一応の目安として考えられる。

【参考資料】
「容器包装に関する基本的考え方」の改正について(平成14年12月3日 経済産業省)
特定事業者による容器包装廃棄物として排出される見込量の算定のためのガイドライン(平成11年3月5日 通商産業省)
委託・受託関係にある場合の義務対象者について
(注)上記解釈は、現在に於ける容器包装リサイクル法の運用解釈であり、事情の変更等があった場合には、適切な法施行を確保する観点から、将来的に解釈が変更されることもあり得る。

  公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会