日本容器包装リサイクル協会ニュース No.77
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LCA全体を考えて、より良いリサイクルが行なわれるように企業と消費者を結ぶ活動で幸せな循環づくりへ 私は以前より、神戸大学の学生をメンバーとするNPO法人「ごみじゃぱん」の代表として、無理なく、ごみの少ない社会を目指す3Rの実践的な取り組みを行なってきました。代表的なプロジェクトである「減装(へらそう)ショッピング」は、簡易包装の商品に推奨マークのPOPを付けることで、消費者に包装ごみを減らした商品の価値をご理解いただき購入の基準にしてもらうというもの。これまでに、ダイエーさん、ユニーさん、コープこうべさんをはじめとする数多くの小売店にご協力いただき、お店の商品棚に推奨マークを表示していただきました。さらに、山崎製パンさんには、商品の袋に直接推奨マークを印刷したものを販売いただいています。 最近では、花王さんのリサイクリエーションという取り組みにも個人として協力しています。本活動では、複数の地域コミュニティからメーカーを問わずくらしの清潔製品の詰替用パウチを回収し、リサイクルしたプラスチック素材で子供用ブロックをつくり地域に還元しようというものです。これまで、容リ制度における生産者責任は、再資源化におけるコスト負担ということのみでしたが、自ら使用したプラスチックを自ら再利用する花王さんのリサイクリエーションという取り組みは、今後の生産者責任の果たし方における新たなモデルケースになり得るのではないかと思っています。こうした企業と消費者による幸せな循環づくりが継続しつつもっと盛んになるよう、私自身これからもいろいろな形でサポートしていくつもりです。 平成16年から18年にかけて行なわれた容リ制度に関する1回目の見直し審議の際、事業者、消費者、市町村などの関係者間で共通の認識がないことに気づきました。そこで私が音頭をとる形で、利害の異なるステークホルダーたちを1か所に集めて意見を戦わせる懇談会を開催しました。合意形成の場ではないと定義したことが良かったのでしょう。多様な立場の人たちがそれぞれの意見をオープンに披歴して議論する場が形成され、私を含めた参加者はリサイクルを取り巻くさまざまな状況を把握しつつ、容リ制度をより良く見直すのに必要な問題意識や知識も得ることができました。そのレポートは審議会にも提出され、関係者の間でも広く読まれた結果、見直しの議論をより成熟させることにつながったと考えています。 特定事業者の役割は決して「お金(委託料金)を払って終わり」というものではなく、LCA全体を考えて、より良いリサイクルが行なわれるよう行動する必要があります。懇談の場を設けて、各主体で話し合い、あるべきリサイクルの姿について共通認識を持つ必要があるのではないでしょうか。お役に立つのなら私もお手伝いします。備に力を入れるべきでしょう。競争に勝てるリサイクラーとは、つまるところより高い価格で成果物を販売できる事業者のこと。高く売れるということは、しっかりとした需要を確保しているはずです。優秀なリサイクラーのビジネスの実態をよく学び、公平な市場を整備することが重要です。 また、需要のあるところには多くの事業者が集まり、そこには競争が起こります。競争は技術開発を促進させ、より良いリサイクルの未来に役立つはず。そのため、需要をつくる政策推進が国の重要な役割です。 民間でもできることがあります。一つ提案します。特定事業者が容器包装プラスチックを1割、自社製品の原材料として使用するよう努力義務を持つというのは如何でしょうか。大手の特定事業者がそうした努力義務を遂行してくれれば、そこには必ず大きな需要が生まれ、容器包装プラスチックのリサイクルが抱えるいくつかの課題解決に貢献できるのではないでしょうか。 ケミカルに関しては、効率が高いことを条件にRDF(廃棄物固形燃料)として使えるようにするべきでしょうね。清掃工場でのエネルギー回収は効率の点で認められません。ガス化の検討会で「熱回収は原則認められない」という結論が昨年も出たようですが、私はLCA(ライフサイクルアセスメント)の専門家としては大いに疑問です。容リ協ニュースNo.77 February 2018 3

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