日本容器包装リサイクル協会ニュース No.77
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容リ協ニュースNo.77 February 2018 11  焼却施設を持たず、徹底した分別収集により埋立ごみを減らす志布志市のリサイクルモデルは今、焼却施設を持たない国々から熱い視線を寄せられています。そのきっかけとなったのは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が南太平洋のフィジーなどの諸国に対する廃棄物減量化・資源化促進プロジェクトとして志布志市モデルを採用したことから。2011年に正式なプロジェクトとして動き出し、志布志市の職員も分別のノウハウを伝えるべく現地に赴いています。その後、2014年にはサモアでも同様のプロジェクトが推進されるなど、今後も志布志市モデルを必要とする国々はますます増える勢いを見せています。 さらに、志布志市では2016年より紙おむつのリサイクルにも取り組み始めています。現在、紙おむつは埋立ごみの約2割を占めており、高齢化の進む日本社会では今後もその量が増え続けるのは確実です。西川さんは以前から紙おむつのリサイクルを実現したいと考えていて、2016年に大手おむつメーカーのユニ・チャームに直接電話で打診。その年の12月には協定を結び、すでに市内の一部地域でモデル収集を実施しています。 「モデル地域では90%以上の収集に成功しています。収集した紙おむつは、上質パルプに再生されますので、紙おむつの再資源化が実現した暁には、リサイクル率の向上はもちろん、私たちが次なる目標に定めている“埋立ごみゼロ”の実現も必ずや可能になるはずです」 分別収集からはじまり、生ごみ、海外普及、そして紙おむつと、次々と先進的な施策に取り組んできた志布志市。「リサイクルという仕事を通じて、志布志市を市民が誇れる街にしたい」と語る西川さん。その志は、当市で働く市民環境課の職員すべてが共有するものとして、これからも受け継がれていくことでしょう。紙おむつの排出方法先進的なリサイクル事業で市民が誇れる志布志市へごみ袋には名前を記入ごみステーション志市衛生自治会を組織し、市民が協力してごみステーションの管理・運営に当たる仕組みを整備することで「自分たちの地域は自分たちで守る」というリサイクルに対する自発的な姿勢を醸成。これらの仕組みが、より確かな分別ルールの遵守を実現しています。実際、志布志市が排出するPETボトルは、市民の協力により分別と洗浄が徹底されていて、その品質の高さはリサイクル業者からも高い評価を得ています。 「そしてもう一つ、一番大事なことは市民の皆さんにリサイクルの大切さを理解していただくことです。そのため私たちでは、こちらからどんどん地域に出向いて、なるべく多くの人に説明するようにしています。ご理解を得るためには、やはり面と向かって話すことがなにより大事。確かに大変な作業ですが、これを面倒がって地域の代表者のみを集めて説明するだけでは効果をあまり期待できないのではないでしょうか」 現在も環境教室として年間100か所以上の自治会に出向き、リサイクルに関するさまざまな説明をしているそうです。

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