日本容器包装リサイクル協会ニュース No.75
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容リ協ニュースNo.75 May 201783Rの広場商品から運搬用の外箱に至るまであらゆる容器包装のリデュースを徹底 「当社がこれまでに行なった容器包装のリデュースの中でもお客さまから特に反響の大きかった例といえば、2006年に実現した魚肉ソーセージにおけるエコクリップの導入です」と話すのは、CSR部の齋藤博子さん。魚肉ソーセージは、ニッスイが1952年から生産・販売を続けているロングセラー商品です。長年にわたって多くの消費者から親しまれてきましたが、一方で従来から使われていたアルミ製の留め金について、歯で切り取る際に口の中を傷つけてしまいそうというケガの心配や、包装フィルムと分別しにくいという不満の声が消費者から寄せられていました。そこでニッスイでは、1990年代後半よりアルミ製の留め金に代わる密封方法の研究を開始。しかし、その開発は一筋縄ではいかないものでした。 「魚肉ソーセージは、すりみをペースト状に練って包装フィルムに充填・密封した後、圧力をかけながら加熱してつくられます。加圧・加熱すると中のソーセージが膨らんでいくのですが、アルミの留め金以外の素材ではどうしても先端の密封性が悪くなってしまうのです」(齋藤さん) 研究開発を始めてから数年が経過した2004年、暗中模索だったニッスイの開発陣に一筋の光明が射し込みます。同社と協力関係にあった株式会社クレハ(以下、クレハ)が、魚肉ソーセージの包装フィルムと同じ素材を用い、両端の開口部を超音波で留める技術を確立したのです。そこでニッスイでは、クレハと協働でさっそく実用化に向けたテストを開始。超音波を強く照射しすぎると包装フィルムに穴が開いてしまい、逆に弱いと先端の開口部が破れてしまうなどの試行錯誤を繰り返した末、ついに留め金をなくした新パッケージの開発に成功し、2007年9月に発売を開始しました。「エコクリップ」 と命名された新包装は、“留め金と包装フィルムを分別する手間が省けた”とお客さまからの評判も上々で、留め金をなくした分、従来は年間で120トンも使用していたアルミを丸ごと削減するリデュース効果も上げることができました。 「エコクリップを採用した魚肉ソーセージが販売されると、それまで2位だったシェアが2008年より1位に浮上し、その後も現在に至るまでトップをキープしています」(齋藤さん)魚肉ソーセージの留め具を環境に優しいエコクリップへ❶日本水産株式会社 自然の恵みを資源として事業を営む日本水産株式会社(以下、ニッスイ)では、その恩恵を次世代へと継承していくことを企業活動におけるひとつの責務と考えています。そのため、2003年6月に制定した「環境憲章」のもと、環境負荷低減に向けた取り組みを継続して推進。中でも、容器包装のリデュース活動については数値目標を掲げて積極的に取り組んでいます。昨年までの3年間で容器包装に使用する原材料の原単位を10%削減する目標に取り組み、着実な成果を上げているニッスイのリデュース活動についてお話をお聞きしました。左から、CSR部の齋藤博子さん、小宅孝明さん左から、CSR部の齋藤博子さん、小宅孝明さん

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