日本容器包装リサイクル協会ニュース No.74
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容リ協ニュースNo.74 February 20171328年度リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰式 現在、アルコール発酵調味料はPET樹脂換算で年間およそ2,700トン、7,300万本ものPET容器を使用しています。アルコール発酵調味料の容器が透明PETボトルとなったことで、今後の使用済みPETボトルのリサイクルに好循環をもたらすはずです。さらに、容リ法における再商品化義務がPET容器に区分変更されるため、業界として負担する再商品化費用が軽減。このことは、事業者のみならず社会全体でのリサイクルコストを下げることにもつながり、円滑なリサイクル事業の推進にとって大きなメリットになると考えられます。 こうした数々のリサイクルに対する貢献が評価され、アルコール発酵調味料における透明PETボトル導入の取り組みは、3R推進協議会の主催する28年度「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」において農林水産大臣賞に輝きました。「念願の透明化が実現でき、私たちの業界が扱う発酵調味料のすべてに透明PETボトルを導入することができたことが何よりうれしい」と受賞の喜びを語る片井社長。今回の取り組みは、家庭用に留まらず業務用を含めたアルコール発酵調味料の製造全般に関わるもので、まさに業界全体で獲得した賞といえます。業界全体による取り組みでリサイクル事業の円滑化に大きく貢献 「そこで私どもの行なったのが、製造工程を見直すことでした」(片井社長) これまでのアルコール発酵調味料の一般的な製造工程は、1年分の量の製品を年に一度ないし二度の醸造で一気に造るという“造りだめ”スタイルでした。製品の中には長い期間、在庫として保管されるものもあり、こうした製造工程が褐変の原因の一つになっていました。 「そこで必要な量だけその都度生産する受注生産に近いスタイルに切り替えました」と話すのは、キング醸造における生産部門の責任者、佐々木利容生産本部長です。 「造ってからお客さまの元に届くまでの時間を短縮することで、時間経過とともに進行する褐変の問題を解決できると考えました。褐変が起こる前に使ってもらえるようにすれば、透明のPETボトルでも一向に構わないわけですから」(佐々木本部長) この切り替えを可能にしたのには、現代の生産現場において大きな進歩を遂げた2つの技術力の存在がありました。その一つが、温度管理です。醸造にとって大切なのが、低温で行なうこと。だからこそ、お酒造りなども昔から冬季に行なわれてきたのです。しかし、現代の生産現場では、テクノロジーの進歩により緻密な温度管理が可能になり、いつでも醸造作業を行なえる環境を容易に整えることができたのです。 そしてもう一つが、製品のアルコール度数やアミノ酸度数、糖度といった成分を一瞬にして計量・分析できる高度なセンサー技術です。製造元ではそれぞれの自社製品において、成分の規格値を定めています。この規格値内に合った製品を生産するのが醸造工程の難しいところですが、センサー技術の発達により現在ではより効率的に行なえるため、その技術が醸造回数を増加可能にした大きな要因といえます。 「規格値内に収まるように醸造のノウハウを当社も含めて各社それぞれで数年間かけて開発し、製造工程への導入を図りました」(佐々木本部長) その結果、平成25年には業界全体で透明PETボトルによる流通が実現。また、消費者が誤って別の調味料を購入しないように、容器包装のラベルデザインやキャップはこれまでの印象が継続でき、識別のしやすいものとなる工夫も各社で行ないました。具体的には、料理酒は緑を基調とした色彩に統一し、同型容器を使用するみりん風調味料は赤系統、酒類カテゴリーである本みりんは、これらと識別するために金色としました。 今年4月からは容リ法などの関係法令の改正を受けて、PETボトルのリサイクルマークを刻印し、市町村の分別回収でPETボトルとして扱われることになります。左から「みりん風調味料」「料理酒(アルコール発酵調味料)」「本みりん」

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