日本容器包装リサイクル協会ニュース No.67
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日本容器包装リサイクル協会ニュースNo.67 November 201411(左)西向 賞雄さん(右)田中 伸哉さんガラスびんアワード2012 「灘の生一本」の発売初年度は、統一ブランドを謳いながらも酒造メーカーごとに使用するガラスびん容器が異なっていました。2年目の24年度に入り、灘酒プロジェクトは統一デザインの容器の採用を検討。そこで選ばれたのが、720mlの黒いエコロジーボトルです。エコロジーボトルとは、回収されたガラスびんからできる混色カレット(再生ガラス)を90%以上使用してつくられた環境にやさしいガラスびんのこと。環境に配慮したエコロジーボトルは、「灘の生一本」ブランドに新たなアピールポイントを付与すべく採用されました。菊正宗酒造の田中伸哉さんによると、「灘の生一本」のエコロジーボトルは、びんの大きさを変えることなく、従来の同形びんに比べ約25gの軽量化も実現しているといいます。 「びんの形をそろえるに当たっては、コスト面を考慮して、すべての酒造メーカーが製造ラインを改修する必要のない容器を開発する必要がありました。この調整には大変苦労しましたが、ガラスびんメーカーさんのご協力もあり、結果的にびん製造段階での資源とエネルギーの節約、CO2排出量の削減などの環境負荷低減に大きな効果を期待できるエコロジーボトルを採用でき、大変満足しています」と語る田中さん。 ちなみに、カレットは回収されたガラスびんの色に応じて「無色」、「茶色」、「その他の色」に分けられます。「灘の生一本」はガラスびんの原料にしづらい「その他の色」のカレットからつくられています。「その他の色」カレットによるびんからびんへのリサイクル推進にも役立つこととなりました。 こうした環境への先進的な取り組みが評価され、日本ガラスびん協会がその年に発売された優れた容器開発の取り組みに対して表彰するコンテスト「ガラスびんアワード2012」では、環境優秀賞に輝きました。本賞の受賞以降、エコロジーボトルを採用するメーカーもでてきました。「灘の生一本」は、業界における環境意識の向上に一役買っているといえます。統一デザインのエコロジーボトルで環境優秀賞を受賞 日本酒といえば、以前から一升びんにおけるリユースが行なわれていますが、「灘の生一本」も神戸市との連携によりリユースを進めています。神戸市環境局では「灘の生一本」の統一容器であるエコロジーボトルを環境にやさしいボトルとして認定。店頭回収によるポイント制のキャンペーンを通じて、灘酒研究会は「灘の生一本」をはじめとするエコロジーボトルのリユース拡大をサポートしてもらっているといいます。その他にも、「灘の生一本」の販売に先駆けて行なわれる試飲会では、神戸市のゴミ分別徹底キャラクターのワケトンとトコトンが登場してエコロジーボトルの環境特性をアピール。神戸市環境局とは幅広いシーンで連携を深めているそうです。 醸造の過程で発生する酒粕の再利用をはじめ、道具にしてもとことんまで使い込み、例えば醸造用の樽などは最後には薪として使用するなど、江戸の昔からすべてにおいて無駄をしないことをモットーとしてきた灘五郷の日本酒造り。そんな徹底したもったいない精神とエコロジーボトルとの出会いは、リデュース、リユース、そしてリサイクルという新たな風を灘五郷に吹き込もうとしています。神戸市環境局が環境にやさしいボトルに認定

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