日本容器包装リサイクル協会ニュース No.65
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日本容器包装リサイクル協会ニュースNo.65 May 201411その点は私も感じていました。確かに、容積や重量、CO2の削減量など、リデュースの表現は、企業ごとに異なります。そこで、私たちプラスチック容器包装リサイクル推進協議会では、業界ごとの事情を踏まえた上で、業界全体でのガイドラインをつくりたいと考えています。それはよい試みですね。私たちにもぜひ協力させてください。複数の素材を使用することで食品の鮮度維持機能を高め、その分、賞味期限を長くすることにより、食品ロスを減らせるというメリットもあります。つまり、環境負荷の低減効果に関しては、リデュースのことも考慮しつつ総合的に評価することが重要なのではないでしょうか。三富プラスチックといっても様々な種類があることは、先ほど説明させていただきました。再び元の素材として再利用するには同種のプラスチックだけを集める必要がありますが、あまりに種類が多いため、全ての素材を分別することは現実的ではないといえます。重要なのは、リデュースとリサイクルのバランスクです。地上のCO2を増加させないカーボンニュートラルの性質を持っています。それにより従来の石油由来プラスチックよりも環境負荷を低く抑えられるため、バイオプラスチックの容器包装を採用する企業が増えています。現在、プラスチック容器包装の年間生産量200万トンの内、まだ数万トン規模の使用量ではあるものの、新たなバイオプラスチックの生産工場の建設も予定されるなど、環境配慮設計の切り札として年々その注目度は高まっています。久保長谷川三富中には、複数の素材を使っているためリサイクルが難しいならば、単一素材でつくればもっとリサイクルが進むのではないかという意見もありますね。確かにそうした声をいただくこともあるのですが、容器としての機能を維持しつつ、単一素材のみで容器をつくると、使用する原材料の量が大幅に増えてしまうという弊害が起きてしまいます。例えば、マヨネーズの容器。これも複数の素材を使用しているのですが、品質保持などの機能を同様にもつ容器を単一素材だけでつくったとすると、その厚みを0.2mmから22mmにしなければなりません。環境負荷低減の観点からいって、これでは本末転倒です。長谷川久保三富EVOH接着層内側層外側層内側層外側層厚さ約0.2mm接着層ポリエチレンポリエチレンポリエチレン厚さ約22mm多層構造の約110倍●マヨネーズ容器の構成断面図単一素材の場合多層構造の場合プラスチック容器包装のリサイクルにおける現状はいかがでしょう。企業努力でリデュースが進んでいるにもかかわらず、一般の人にはリデュースの進捗がわかりにくいという指摘もあります。なるほど、プラスチック容器包装における環境対策には、総合的な視点が必須ということなのですね。お話よくわかりました。本日はどうもありがとうございました。久保 直紀さん**EVOH(エチレン/ビニルアルコール共重合樹脂):酸素バリア性に優れている機能性樹脂

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