容器包装リサイクル20年のあゆみ-公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
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容器包装リサイクルが今後目指すべき方向とはPETボトルについては国内循環にまわすことを義務づけることは今後の話し合い次第では可能なことではないかと個人的には思っています。ただ、有償化を実現したPETボトルについては、缶などと同じように容リ制度から外すという選択肢も今後の方向性のひとつとして議論の余地はあるのではないでしょうか。PETボトルの有償化は、容リ制度20年の歩みの中でも大きなエポックメーキングのひとつ。各関係者の皆さまの努力の上に実現した、わが国におけるリサイクルの誇るべき成功例です。使用済みPETボトルによっていろいろな製品がつくられている事実をもっと多くの人に知ってもらうことは、今後も容リ制度を円滑に行なっていく上で非常に重要なことだと考えています。リサイクルに対する人々の意識は、容リ法が施行されたばかりの20年前とは比べようもないほど高くなったと思われますが、近年には低下傾向にあるというデータもあります。再商品化事業を確実に推進していくためには、そうした変化に対応した制度のあり方を模索して常に見直していく必要があります。そこで、最後に今後容器包装リサイクルが目指すべき方向について語っていただきたいと思います。3R推進団体連絡会では、定期的に消費者のリサイクルに対する意識調査を行なっています。その結果を見ると、3Rという言葉の認知度がここ最近下がり気味で、家庭における分別の実施状況も下降しています。消費者のこうした意識の変化は、制度の仕組みを今後どのように見直していくべきかのヒントになるのではないでしょうか。例えばEUのように、緩やかな分別をしてリサイクル特性に合わせて選別していく方法を含め、これから議論していく必要があると思っています。容リ制度への関心は、確かに落ちていると思います。そうした傾向は、若い人たちの間で特に顕著に見られます。私の年代にはリサイクルに対して積極的に関わってきた人たちはたくさんいますが、40~50代の人たちで同じように活動している人の数は圧倒的に少ないのが現状なのです。 また、より若い人たちに関心を持ってもらうためには情報発信がキーとなります。しかし、20年前とは異なり、共働きで時間もないなど、私たちの頃とライフスタイルがかなり変わってきていることを考えると、容リ協には、自治体や事業者との連携をさらに深めつつ、若い人たちに届く新たな情報発信の手法を検討してもらいたいと思っています。容リ制度は、関係者それぞれが自らの役割を納得し、協力し合うことで推進していく社会システムです。そのため、随時それぞれの役割を検証して見直すことは必要不可欠で、そうした場をしっかりと設けることが今後も重要なのだと考えます。また、容リ協には日頃から有用なデータを提供いただき大変感謝しています。私たち全国都市清掃会議にもこんなデータが欲しいという要望が全国の各市町村から寄せられていますので、容リ協が実施されている情報連絡会議などの時にお話しさせていただきます。再商品化製品の市場価値を高め、社会的なトータルコストを低減するためには何をすべきかを観点に、昨年来の見直し審議も含めてこれからも議論していく必要があると考えます。例えばPETボトルなら、もともと逆有償を前提にスタートしたため、有償化が実現した現在でも、その頃の仕組みを引きずっていて非効率的なところがあるのではないか。プラスチック製容器包装なら、新しい入札制度による影響はどうかなど、引き続き検討すべきことはいろいろと残っていますので、今後も引き続き活発な議論をお願いいたします。皆さまの率直なご意見を踏まえ、容リ協の役割をあらためて見直すことで次の歩みにつなげていきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。小山佐々木高角小山花澤鬼沢高角06

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