容器包装リサイクル20年のあゆみ-公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
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クルですが、容リ協では分別基準適合物の品質調査や、再商品化事業者管理のための操業管理月報を導入するなど、前期は基礎づくりに注力。後期には、総合的評価制度を導入するなど、再商品化の効率化に向けてさまざまな取り組みを行なってきました。当初、分別の仕方に問題があったプラスチック製容器包装ですが、自治体や容リ協による啓発活動の効果もあり、市民の分別意識は向上したのではないでしょうか。しかし、これからの高齢化社会に向けては、今以上に細かくキレイな分別を求めるのは無理、と考えなければいけない時期に来ています。ただ、直近10年でのリサイクル技術の進歩は目をみはるものがあり、今後も質の高い再商品化製品づくりに向けたイノベーションが期待できると個人的には思っています。品質向上のため、消費者にこれ以上は求められないという意見には賛成です。これからは、消費者がもっと捨てやすいようにする仕組みづくりが必要ではないでしょうか。具体的には、いちいちキレイに洗うまでしなくても、ケミカルやサーマルで処理できるようなリサイクルの仕組みをつくったほうが良いのではないかと考えます。汚れたフィルムやトレーまで、すべてのプラスチック製容器包装をリサイクルしていることが、そもそも技術的にもコスト的にも問題なのではないかとかねがね思っています。容器だけでなく製品プラスチックのリサイクルも検討課題のひとつだと考えています。コストはかかるものの、資源の有効活用という観点からいえば実現させるに値する制度ではないでしょうか。マテリアルリサイクルに関しては、今まで以上により高度な再生品をつくって活用していくことが重要だと考えています。再生品の利用者が安心して活用できることも大事ですので、安定した品質管理、一定の基準を満たしたものづくりを担保する品質表示の規格づくりについて、昨年来より進めているところです。PETボトルはリサイクルの理想形を体現平成9年度からスタートしたPETボトルのリサイクルは、ご存じのように平成18年度からは有償入札が常態化しています。しかし、平成20年度のリーマンショック時には再商品化製品の販売低迷も発生するなど、今後はより安定した再商品化事業の推進に向け、有償化されたPETボトルのリサイクルのあり方を自主点検していきたいと考えているところです。PETボトルのリサイクルの現状と今後について、皆さまはどんなご意見をお持ちでしょうか。平成13年度、業界が自主的に着色ボトルを廃止したのはリサイクル事業にとってとても大きなことでした。リサイクルのしやすさを考慮し、透明ボトルのみの使用に切り替えたことが弾みとなって、BtoBをはじめとする高度なリサイクル技術を生み出したのですから、まさにリサイクルの理想形を体現しているといえるのではないでしょうか。着色PETボトルを廃止したことについてご評価いただきありがとうございます。PETボトルのリサイクルの場合は、容リ法の施行以前から十分な検討をして始まったこともありますし、単一素材ということもあって品質管理も容易なことから、有償化といった成果を上げられたのだと思います。ただ、PETボトルのリサイクルにも課題があって、市町村が分別収集したものの、容リ協への委託量が3分の2となっており、3分の1は輸出などにまわされているということです。より多くを安定して国内循環に引き渡すことが必要だと考えています。容リ協では、年2回入札といった手法により、国内循環の問題に対処していますが、これからも引き続き運用上の知恵を絞っていただけるとありがたいですね。先ほどから話に出ている市町村の独自処理により使用済みPETボトルが海外に流出してしまう問題ですが、動機としてはやはり財政的なことが大きいようです。容リ協がこうした独自処理を強制的に正すことについては難しい面があると理解していますが、国内で加工した「容器包装リサイクル20年のあゆみ」容リ協20周年記念座談会鬼沢鬼沢花澤佐々木高角花澤佐々木小山05

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