容器包装リサイクル20年のあゆみ-公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
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34 PETボトルの市町村による分別収集量は年々増え、平成9年度の2万トンから平成19年度には28万トン超となる一方で、平成9年度の1.4万トンから始まった市町村からの容リ協引取量は、平成16年度19.1万トンをピークとして、徐々に減少を続け平成19年度は分別収集量の約半分の14万トンにまで落ち込みました。これにより、国内の再生処理事業者の稼働率が大幅にダウンし、リサイクル・インフラは崩壊の危機に晒されました。平成18年12月施行の改正容リ法に、「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他適正な処理に関する事項」が織り込まれる事態になっていました。 そこで容リ協は平成20年に、容リ協への引渡しがなく独自処理を行なっている36市区町村を直接訪問したほか、606市町村へは文書を通じて容リ協への引渡しをお願いしました。平成23年度は、独自処理の現状および独自処理を実施する理由などについて聞き取り調査を行ない、独自処理に伴うリスク、指定法人ルートのメリットおよび国内Topics3「円滑な引渡し」を市町村に要請■ 引取実績量の低迷 平成24年度には、前年度から続くバージンPET樹脂価格下落の影響を受け、PETボトル再商品化製品が販売不振となり、約3分の1にあたる再商品化事業者が市町村からの引取りを辞退するという状況が発生。市況の影響を受けた混乱は、先のリーマンショック時の緊急対応に比べて約10倍の規模となり、リサイクル基盤崩壊の危機に直面しましたが、引取事業者の再選定と振替を行なうなどでの対応により、結果として市町村からの引取りを継続することができました。また、平成25年度は当面の対応として暫定的に年2回入札としました。 さらに、平成26年度以降をにらんだ今後の入札制度を探るべく、容リ協は各関係主体や有識者などをメンバーとした「PETボトル入札制度検討会」を立ち上げ、平成25年2月から5回にわたり検討が行なわれました。9月の最終検討会で、平成26年度以降の入札を年2回方式とすることが提言され、それを受け10月に開催された臨時理事会において年2回入札が承認されました。■ 年2回入札の実施 容リ法が施行される5年前の平成4年、PETボトルリサイクル推進協議会はプラスチック製キャップへの切り替え、剥がしやすいラベルの採用、さらに平成13年には着色ボトルを禁止するなど、リサイクルに適したPETボトルの普及を目的に自主設計ガイドラインを制定しました。ボトルメーカー、再商品化事業者、再商品化製品利用事業者による技術と品質の向上とガイドラインの遵守により、リサイクルしやすい容器として認知されていくとともに、単一素材であることもPETボトルのリサイクルが進む大きな要因となりました。 また、容リ協では、良質な再商品化原料の収集を目的にPETボトルベール品の品質向上に取り組んでいます。容リ協が市町村の指定保管施設から引き取るPETボトルの分別収集品は、分別基準および容リ協の設定した引取り品質ガイドラインに適合するよう分別収集・保管されることとなっています。加えて、平成10年度からは分別収集の品質改善を目的として、全指定保管施設のベール品質調査を実施し、ホームページで調査結果を公表してきました。平成10年度調査でTopics4より高度なリサイクルに向けて■ リサイクルに適した容器の設計と分別収集処理の重要性を重点的に説明し、指定法人への円滑な引渡しを求めました。市町村にとって容リ協引渡しのメリットであるトレーサビリティの充実や有償拠出金の仕組みを丁寧に説明するなど、容リ協向け引渡量の拡大および安定化を目指した活動を現在も続けています。 また平成22年度には、PETボトルリサイクル推進協議会、廃PETボトル再商品化協議会と共催で「PETボトルリサイクルシンポジウム」を開催し、リサイクル・システムの維持のための容リ協への引渡しを広く訴えました。PETボトル事業部PETボトルリサイクルシンポジウム

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