平成18年度 事業報告書
   
  T.総括的概要
 
 当協会は、平成18年度において、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(以下、「容リ法」)に基づく指定法人として、@ガラスびん(無色・茶色・その他の色の3種)、APETボトル、B紙製容器包装(除、紙パック・段ボール)、Cプラスチック製容器包装、の再商品化(リサイクル)を実施した。また、18年6月に公布され、同年12月以降に順次施行される改正容リ法について、主務5省との緊密な連携の下で適時適切な情報提供・収集に努めた。さらに、容器包装リサイクルに関する種々の情報を、特定事業者、消費者、さらには市町村等に迅速・的確に提供する等普及啓発に努めた。
 以下は、主要な事業項目を中心に整理した総括的概要である。


   
1  当協会は18年度において、特定事業者70,831社(前年度70,540)から再商品化の委託を受け、全国1,619(同1,812)の保管施設を対象に入札選定作業を行い、特定分別基準適合物(無色のガラスびん、茶色のガラスびん、その他の色のガラスびん、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装)毎に再商品化事業者を選定・委託し、再商品化を実施した。

1  18年度の市町村からの引き取り実績は、ガラスびん全体で339,106トン(前年度比100.9%)、PETボトル140,416トン(同82.6%)、紙製容器包装28,618トン(同104.2%)、プラスチック製容器包装548,839トン(同103.8%)、合計1,056,979トン(同99.5%)であった。

1  業務効率化と運用維持コストの削減を目指して、18年度準備業務(17年度途中)から導入した新業務システムは、情報セキュリティー強化をはじめインターネットを活用した電子入札・電子契約、オンライン利用者の利便性・操作性向上と手続きの簡素化を実現し、18年度本格運用時におけるオンライン利用率は、特定事業者で約14%、市町村約65%、再生処理事業者100%となった。また、電子契約は印紙税法上の不課税文書とみなされ、印紙税が節減できた。

1  分別収集物のより一層の品質改善を図るため、ベール品質調査の厳格・適正な実施に努め、品質に問題のある市町村に対しては改善アプローチを強めた。特に、プラスチック製容器包装の分別収集物については、品質調査に当協会委嘱の調査員が調査の約30%に立会い厳格に実施するとともに、2回の改善アプローチにおいても改善が見られず、かつ19年度に向けての改善計画が十分でない9保管施設(8市町村)については、19 年度の引取申込を断った。

1  PETボトル等の有償入札に伴う再商品化委託収入を改定再商品化業務規程に基づき市町村に拠出するため、詳細運用基準の確定やコンピュータシステムの構築等、事務体制を整備し、18年度末に市町村への拠出を実施した。

1  19年度の分別基準適合物の再商品化の実施を希望する事業者を対象に説明会(18年7月)を開催し、容器包装リサイクルを取り巻く環境変化、登録に関する資格要件の厳格化や留意事項、さらには事務の簡素化・効率化・正確化のためのインターネットを通じた登録申込等について説明を行った。

1

 19年度の再商品化の実施に向けて、登録事業者(ガラスびん95社、PETボトル61社、紙79社、プラスチック105社)及びジョイント運搬事業者を対象に、東京で入札説明会(19年1月)を開催した。また、地域別・品目別の落札結果全体の概要を、協会ホームページで公表した(19年4月)。

1  再商品化の適正な実施を図るため、当協会が委託する分別基準適合物の再商品化事業者を対象に、設備審査マニュアル等に基づく再生処理施設の確認ならびに再商品化製品の販売先の引取同意書による販路の確認など登録審査を行ったほか、再商品化実施状況に関する立ち入り検査を行った。

1  高止まりしているプラスチック製容器包装の落札価格を是正するため18年度分から導入した入札の上限価格を再商品化のコスト分析を踏まえて、105,000円(前年度123,000円)と設定したこと、材料リサイクル事業者の新規参入および能力増強に対して、19年度分の緊急措置として全手法の落札可能量を査定量の90%としたこと、事業者間の競争が激化したこと等により、プラスチック製容器包装の再商品化の全手法での落札平均価格は76,440円と前年の84,560円に比べ約10%のダウンとなり、高止まり傾向が初めて是正された。

1  地域の経済センターとして全国各地にネットワークを張りめぐらせる商工会議所・商工会に、引き続き、当協会の再商品化委託申込の受付業務及び管内事業者への普及啓発業務を委託した。また、これら委託業務を円滑・適正に実施するため、商工会議所・商工会の担当者教育のための研修会を実施した。

1  地方自治体、関係機関、業界さらには商工会議所・商工会等が開催するシンポジウム・講演会等への講師派遣、並びに新聞・テレビ・雑誌等からの取材への積極的対応などを通じて、容リ法の概要、改正容リ法による変更点並びに再商品化業務遂行上の課題に関する普及啓発を行った。

1  会報『日本容器包装リサイクル協会ニュース』(年4回、発行部数=1万5千部/号)及び当協会ホームページ(https://www.jcpra.or.jp/)を通じて、特定事業者、消費者、市町村・一部事務組合、再商品化事業者、メディア等オピニオンリーダー他への迅速適切な情報発信を行うとともに、改正容リ法の下で、今後、より高度化を進めようとする当協会が行う再商品化や業務内容の周知に努めた。

1  主務5省との連携を緊密にするとともに、内外のリサイクル関係諸機関との交流・情報交換の推進に努めた。また、改正容リ法の19年4月の本格的な施行に向けて、主務省の審議会委員として意見を述べる等、適時適切な情報提供・収集に努めた。

 
以上

U.事業実施状況
1.特定事業者等からの受託による分別基準適合物の再商品化の実施
 
(1) 平成18年度の特定事業者責任比率及び再商品化義務総量
     平成18年度の特定事業者責任比率及び再商品化義務総量は以下のとおり。
   
  H18年度
分別収集
計画量(a)
H18年度
再商品化
見込量
(b)
(a)、(b)
いずれか少ない量を基礎として算出した量
特定事業者責任比率 H18年度
再商品化義務
総量
トン
トン
トン
トン
ガラスびん 無色
392,000
150,000
150,000
93
139,500
451,000
270,000
270,000
94
253,800
茶色
335,000
160,000
160,000
79
126,400
387,000
200,000
200,000
81
162,000
その他
191,000
130,000
130,000
88
114,400
206,000
160,000
160,000
89
142,400
PETボトル
285,000
396,000
285,000
100
285,000
243,000
315,000
243,000
100
243,000
155,000
468,000
*59,000
96
56,640
190,000
505,000
*96,000
93
89,280
プラスチック
724,000
742,000
724,000
95
687,800
757,000
776,000
757,000
93
704,010
  *平成18年度分別収集計画量から、環境省が調査した市町村独自処理量(平成18年度96千トン(平成17年度94千トン))を差し引いた量
下段;前年度の公表数値
 
(2) 平成18年度再商品化の実施
    1 当協会では、再商品化業務規程に則り、主務大臣の認可を受けた下記の再商品化委託単価のもとに、特定事業者等から委託を受け、ガラスびん(無色、茶色、その他の色)、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装に係る分別基準適合物の再商品化を実施した。
  <平成18年度再商品化委託単価>
   
  委託単価
(円/トン)
18年度
17年度
ガラスびん 無色
3,900
2,600
茶色
4,800
4,800
その他
7,100
6,400
PETボトル
9,100
31,200
20,400
12,600
プラスチック
89,100
80,000
   
    2 18年度におけるガラスびん、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装に係る分別基準適合物の再商品化契約状況及び再商品化の実績は以下のとおりである。
 
  (ア)特定事業者からの受託状況
     ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装関連の特定事業者70,831社(前年度70,540)から以下のとおり再商品化を受託した。
   
  受託社数 受託量(トン) 受託金額(千円)
18年度
17年度
18年度
17年度
18年度
17年度
ガラスびん ガラスびん計
3,755
3,868
356,476
544,092
1,863,922
2,343,356
無色
3,177
3,265
132,721
239,224
517,611
621,981
茶色
1,719
1,786
105,369
143,613
505,771
689,344
その他
1,381
1,449
118,386
161,255
840,540
1,032,031
PETボトル
1,256
1,352
298,523
255,019
2,716,562
7,956,582
48,378
48,630
41,749
72,580
851,464
914,502
プラスチック
68,483
68,122
670,482
658,282
59,655,379
52,662,539
合 計
70,831
70,540
1,367,230
1,529,973
65,087,327
63,876,979
  (注)1社で複数の素材を扱っている場合もあるため、素材ごとの受託社数の合計と合計欄の受託社数は一致しない。
 
  (イ)市町村負担分の受託(実績支払ベース)
     再商品化の義務が免除されている小規模事業者分については、その処理費用は市町村の負担とされている。当協会が業務実施契約を締結し、上記の再商品化委託単価により再商品化を行った市町村負担分の受託状況は、以下のとおり。
   
  受託量(トン) 受託金額(千円)
18年度
17年度
18年度
17年度
ガラスびん ガラスびん計
40,866
36,945
217,208
181,624
無色
6,444
5,599
25,132
14,561
茶色
22,748
21,011
109,188
100,900
その他
11,674
10,335
82,888
66,163
PETボトル
0
0
2,408
6,050
1,083
1,842
22,086
23,218
プラスチック
22,186
29,940
1,976,766
2,395,203
合計
64,135
68,727
2,218,468
2,606,095
 
  (ウ)市町村からの引取状況と再商品化製品利用状況
     18年度においてガラスびん、PETボトル、紙及びプラスチック製容器包装の分別基準適合物を市町村から引取り、再商品化した実績状況等は以下のとおり。
  全 体
   
 
(契約ベース)
(実  績)
18年度
17年度
18年度
17年度
1) 対象市町村総数
1,583
1,963
1,581
1,771
2) 保管施設数
1,619
1,812
1,615
1,801
  ガラスびん
   
 
(契約ベース)
(実  績)
18年度
17年度
18年度
17年度
1) 対象市町村総数
1,234
1,492
1,228
1,327
2) 保管施設数
903
980
895
971
    3) 引取実績量及び引取達成率 (単位:トン、%)
   
 
契約量
引取実績量
引取達成率
18年度
17年度
18年度
17年度
18年度
17年度
ガラスびん計
365,877
368,647
339,106
336,029
92.7
91.2
無色
114,150
114,610
104,474
103,132
91.5
90.0
茶色
134,052
139,409
121,548
123,707
90.7
88.7
その他
117,675
114,628
113,084
109,190
96.1
95.3
    4)再商品化製品利用状況 (単位:トン、%)
   
 
18年度(78社)
17年度(85社)
324,967 (100.0%) 321,990 (100.0%)
内訳 ガラスびん製造用 227,506 (70.0%) 216,288 (67.2%)
その他の用途
(舗装用骨材、タイル・ブロック、ガラス繊維等)
97,461 (30.0%) 105,702 (32.8%)
  PETボトル
   
 
(契約ベース)
(実  績)
18年度
17年度
18年度
17年度
1) 対象市町村総数
1,084
1,503
1,082
1,352
2) 保管施設数
806
1,032
804
1,026
    3) 引取実績量及び引取達成率 (単位:トン、%)
   
 
契約量
引取実績量
引取達成率
18年度
17年度
18年度
17年度
18年度
17年度
PETボトル
144,078
176,843
140,416
169,917
97.5
96.1
    4) 再商品化製品利用状況 (単位:トン、%)
   
 
18年度(延べ55社)
17年度(延べ94社)
106,445 (100.0%)
143,032 (100.0%)
内訳 繊維
(ユニフォーム、カーペット等)
55,458 (52.1%)
64,103 (44.8%)
シート
(卵パック、ブリスターパック等)
41,088 (38.6%)
58,788 (41.1%)
ボトル(飲料ボトル等)
6,493 ( 6.1%)
12,134 ( 8.5%)
成形品(文房具、収集ボックス等)
3,087 ( 2.9%)
6,217 ( 4.3%)
その他(結束バンド、障子紙等)
319 ( 0.3%)
1,790 ( 1.3%)
  紙製容器包装
   
 
(契約ベース)
(実  績)
18年度
17年度
18年度
17年度
1) 対象市町村総数
167
202
165
183
2) 保管施設数
127
145
123
141
    3) 引取実績量及び引取達成率 (単位:トン、%)
   
 
契約量
引取実績量
引取達成率
18年度
17年度
18年度
17年度
18年度
17年度
紙製容器包装
36,497
36,645
28,618
27,477
78.4
75.0
    4) 再商品化製品利用状況 (単位:トン、%)
   
 
18年度(22社)
17年度(26社)
28,093 (100.0%) 26,471 (100.0%)
内訳 製紙原料 26,689 (95.0%) 24,894 ( 94.0%)
上記以外の材料
(家畜用敷料)
47 ( 0.2%) 223 ( 0.9%)
固形燃料 1,357 ( 4.8%) 1,354 ( 5.1%)
  プラスチック製容器包装
   
 
(契約ベース)
(実  績)
18年度
17年度
18年度
17年度
1) 対象市町村総数
958
1,084
957
980
2) 保管施設数
755
807
753
797
    3) 引取実績量及び引取達成率 (単位:トン、%)
   
 
契約量
引取実績量
引取達成率
18年度
17年度
18年度
17年度
18年度
17年度
1.プラスチック
592,379
574,657
547,937
527,556
92.5
91.8
 材 料
285,331
189,600
260,609
175,294
91.3
92.5
 油 化
8,333
14,374
7,758
13,032
93.1
90.7
 高炉還元
52,551
66,437
49,479
46,523
94.2
70.0
 コークス炉
180,554
195,285
166,940
197,351
92.5
101.1
 ガス化
65,610
108,961
63,150
95,356
96.3
87.5
2.白色トレイ
1,303
1,676
902
972
69.2
58.0
プラスチック計(1+2)
593,682
576,333
548,839
528,528
92.4
91.7
    4) 再商品化製品利用状況 (単位:トン、%)
   
 
18年度(147社)
17年度(122社)
380,434 (100.0%) 365,924 (100.0%)
内訳 1.プラスチック 379,589 (99.7%) 364,991 (99.7%)
   材 料 131,256 (34.5%) 88,852 (24.2%)
   油 化 4,389 ( 1.2%) 6,993 ( 1.9%)
   高炉還元 37,282 (9.8%) 36,444 (10.0%)
   コークス炉 152,103 (40.0%) 174,061 (47.6%)
   ガス化 54,559 (14.3%) 58,641 (16.0%)
  2.白色トレイ 845 ( 0.2%) 933 ( 0.3%)
     
  (エ)再商品化受託料金の精算
     再商品化受託料金の精算は、特定分別基準適合物ごとに特定事業者からの再商品化予定受託総額に対し再商品化実績総費用(再商品化事業者への支払+事務所経費)を計算(6月の決算理事会で確定)し、個々の特定事業者ごとに精算額を算出のうえ、過不足に応じて次年度の再商品化予定受託料金と加減し、精算する。
 再商品化実績費用算出の主要項目である18年度の再商品化事業者への支払い対象量(再商品化数量)は、ガラスびん344,418トン、PETボトル132,976トン、紙28,094トン、プラスチック563,220トンであった。
  (オ)再商品化委託収入の市町村への拠出
     PETボトル等の有償入札に伴う再商品化委託収入を改定再商品化業務規程に基づき市町村に拠出するため詳細運用基準の確定やコンピュータシステムの構築等、事務体制を整備し、18年度末に670市町村への拠出(19億8千4百万円)を実施した。
(3) 新業務システムの活用
     業務の効率化と運用維持コストの削減を目指して新業務システムを17年度から導入しており、今年度はオンライン利用率のさらなる向上を図るとともに、旧システムからの完全移行を無事終了した。
 新業務システムにより情報セキュリティーの強化をはじめ、インターネットを活用した電子契約・電子入札の促進、オンライン利用者の利便性・操作性の向上、手続きの簡素化などが図られ、運用維持コストは、旧システムに比べ、約30%低減された。また、電子契約は、印紙税法上の不課税文書とみなされることから、事業者・協会双方で印紙税が節減できた。
 さらにPETボトルの有償化に対応した各種システムの追加・開発(再生処理事業者請求・入金処理、市町村拠出・支払処理)も計画どおり終了し、実運用に入った。
 18年度におけるオンライン利用率は、特定事業者で約14 %、市町村で約65%、再生処理事業者で100%となり、市町村では、前年比倍増の利用率となったが、特定事業者では、利用率が向上していないことから、19年度においては、さらなる経費節減とペーパレス化により、特定事業者の利用率の向上を図ることとしたい。

(4

登録審査の実施及び再商品化事業者の管理
     再商品化事業者を入札・選定するにあたり、再生処理施設等が所要の水準にあるか否かの事前審査の実施にあたっては、その審査が合法的かつ公正で、透明性があることを確保するために、第三者の技術専門機関の協力のもと、再生処理ガイドライン・審査マニュアル等に基づき審査を行った。
 また、再商品化事業者による再商品化業務が適正に実施されているかを確認するために、日報・月報の記載内容等に基づく再生処理施設の稼働状況、未処理在庫並びに再商品化製品の販売先等について立入り検査を実施した。立入り検査は、ガラスびん69社69施設、PETボトル32社33施設、紙41社58施設、プラスチック77社84施設に対して実施した。

(5)

指定保管施設ごとの分別収集物の品質調査の実施
     分別収集物の品質向上を図る目的で、引取り・再生処理を行っている事業者の協力を得て、市町村の立会いのもと、品質実態調査を適宜実施した。
1  ガラスびん事業部では、落札量が多いまたは再生処理に問題があると思われる保管施設を対象に調査を実施した。選定した111施設のうちAランク43保管施設(39%)、Bランク62保管施設(56%)、Dランク6保管施設(5%)だったが、改善が必要なDランクの6保管施設のうち、3保管施設は改善活動を経てBランクとなり、残り3保管施設は19年度の活動で改善を図ることとなった。
2  PETボトル事業部では、引取全保管施設の99%にあたる798施設を対象に実施した。調査の結果、Aランク722保管施設(90%)、Bランク39保管施設(5%)、Dランク37保管施設(5%)となり、Aランクの比率は向上した。但し、市町村の当協会への引渡し量の減少に伴い、調査範囲は縮小している。
3  紙容器事業部では、市町村・一部事務組合の収集物を対象に、18年度に初めて品質調査を実施した。127の保管施設を対象に、116の保管施設で実施し、結果は、Aランク84保管施設(72%)、Bランク16保管施設(14%)、Dランク16保管施設(14%)という結果になった。紙容器の場合、紙以外の異物の混入は少なかったものの、義務対象外の紙の混入でDランクになるケースが多かった。また、Dランクには至らないものの、食品残渣物の付着、結束のままの収集物も多く見受けられた。19年度は、Dランクの市町村をはじめ品質に問題のある市町村へ継続して改善を要請する。
4  プラスチック容器事業部では、収集物の品質を的確に把握し、品質に問題のある市町村に対する改善アプローチを強めることを目的とした活動に取り組んだ。調査には、全指定保管施設の約30%の品質調査に協会委嘱の調査員が立会い、厳格に実施した。1回目の調査でDランクであった保管施設には品質改善の取組みを要請し、その進捗度を確認するため2回目の品質調査をしたが、2回目の品質調査においても改善がされず、かつ19年度に向けての改善計画が十分でない9保管施設(8市町村)については、19年度の引取りを断った。厳格なベール品質調査→問題のある市町村に対する改善アプローチ→改善がなければ当該市町村の翌年度申込拒否→調査結果の協会ホームページへの掲載→翌年度入札の実施という年間サイクルが回り始め、こうした中で、市町村には収集物の品質改善の必要性が理解されつつある。なお、18年度は1市の引取りを断ったが、その後、当該市において全市を挙げて品質改善に取り組みAランクを安定的に維持する見込みがたったため、下期より引き取りを開始した。

(6)

プラスチック製容器包装再商品化コストの適正化
     高止まりしているプラスチック製容器包装再商品化コストの適正化を図るため、昨年度に引き続き、有識者による「再商品化に係る標準コスト検討委員会」(委員長=山本和夫・東京大学教授)を開催し、入札にあたっての19年度コスト基準、上限値の設定の継続、追加施策として材料リサイクル優先量に枠をはめることの答申を受けて、19年度入札選定方法を作成した。また、今後の入札選定方法等に活用するために、新たに「プラ再商品化に関する環境負荷等検討委員会」(委員長=石川雅紀・神戸大学教授)を立ち上げ、再商品化手法ごとに資源の有効活用度や環境負荷を適切に評価するための検討を行った(19年6月を目途に取りまとめ)。
 一方、材料リサイクル能力の大幅なアップにより、このまま材料リサイクルの優先を継続すれば、数年のうちに材料リサイクルの比率が100%になってしまうことが予測されるため、19年度の入札選定方法について国と協議を行い、査定能力の90%を落札可能量とし、また上限価格を105,000円(18年度は123,000円)とした。その結果、競争の激化もあり各手法の落札価格が低下し、全手法での落札平均価格は76,440円と前年より約10%ダウンし、高止まり傾向が初めて是正された。
 なお、19年度の落札結果において、初めて材料リサイクルの比率が50%を超えた。
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(7)

商工会議所・商工会等への契約代行業務の委託
     19年度における再商品化準備作業の実施にあたり、特定事業者からの再商品化委託申込書類の受付及び入力業務(再商品化委託料金の収受は除く)を日本商工会議所・各地商工会議所及び全国商工会連合会・各地商工会へ委託した。
1 研修会の開催
   委託業務が円滑に遂行されるよう全国各地で窓口業務を担う商工会議所・商工会担当者に対し、「容器包装リサイクル法及び当協会の役割・業務内容」「各地における申込・契約関連業務」「パソコン入力業務等に係るパソコンデモンストレーション」などについて、以下により研修を行った。
<商工会議所関係>
  (ア) 開催時期
平成18年11月27日(月)〜12月1日(金)
研修は、各1泊2日で、4班に分けて開催。
  (イ) 対象人員
285商工会議所・302名が出席
  (ウ) 開催場所
商工会議所福利研修センター(カリアック)大研修会場(浜松)
<商工会関係>
  (ア) 開催時期  
平成18年11月〜平成19年1月の期間
  (イ) 対象人員
707商工会・807名が出席(21府県商工会連合会で開催)
  (ウ) 開催場所
各地の府県商工会連合会が主催し、府県単位で開催
   
1 特定事業者に対する再商品化委託申込書類の受付及び入力業務
19年度準備業務としての再商品化申込受付・入力に関する具体的業務手続を、以下により行った。
  (ア) 19年1月9日付官報により、指定法人への再商品化の委託申込みの公告を行うとともに、当協会が抽出した92,887事業者に対し、委託申込関係書類(委託申込書、再商品化義務量及び委託量算定用紙等)を送付した。
  (イ) 事業者からのオンライン申込みは、協会が直接受け付けた。一方、申込書(紙媒体)を使っての申込みは、19年1月9日〜2月15日までの間、各地商工会議所・商工会で受け付けた。
  (ウ) 各地商工会議所・商工会には、特定事業者の申込書の内容を確認し、不備等を修正したうえでデータ入力してもらった。各地商工会議所・商工会から送付された特定事業者の申込書(紙媒体)の原本は協会で保管している。
  (エ) 各地商工会議所・商工会で入力されたデータは、オペレーションセンターのコンピューターで集中管理した。18年度申込分に引き続き、委託契約書を双方で取り交わす方式を止め、約款方式に基づく協会からの「再商品化委託承諾書」の送付により特定事業者との契約を締結した。
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(8) 平成19年度再生処理事業者の入札登録・落札状況等
     19年度の再商品化の入札を希望する再生処理事業者を官報公告により募集し、事業者登録を行った。
 事業者登録審査にあたっては、厳格な審査を実施し、特に債務超過等、財政的に問題がある事業者に対しては必要により中小企業診断士による財務診断を実施するなど、財政的基礎に関する審査を行い、契約履行に支障があると判断された事業者は欠格とした。登録された事業者を対象に保管施設ごとにガラスびん、PETボトル、紙及びプラスチック製容器包装の再商品化の入札を行い、ガラスびん79社、PETボトル50社、紙37社及びプラスチック92社を選定し、再商品化実施契約を締結した。18年度・19年度の入札登録・落札状況<比較>は以下のとおりである。
 なお、18年度分からは全て電子入札となっている。
   
18年度・19年度登録・落札社数<比較>
 
登録申込
登録
落札
19年度
18年度
19年度
18年度
19年度
18年度
ガラスびん 100 102 95 98 79 78
PETボトル 68 67 61 59 50 46
88 86 79 80 37 41
プラスチック 123 113 105 98 92 75
備考)プラスチックにおいては「上限価格」を設定し、それを超える入札については 無効にした。
PETボトルにおいては、18年度分から有償入札(=再生処理事業者 が協会に料金を支払う)を認めることにした。
 また、地域別・品目別の入札選定結果(保管施設名、特定分別基準適合物の種類、 再商品化事業者名、工場名、落札トン数、落札単価、構成市町村)を当協会ホーム ページで公表した(19年4月)。
 
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(9)

平成19年度再商品化への取り組み等
     18年度再商品化業務と並行して、18年度内に実施した19年度再商品化に向けた種々の準備作業(一部上記に記載した事項も含む)は、別紙「平成19年度再商品化に向けたスケジュール」に記載のとおり。

  公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会