平成14年度 事業報告書
   
  総括的概要
   
   
1  「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法。以下「法」という。)が完全施行に移行してから3年目にあたる平成14年度において、当協会は特定事業者等から再商品化の委託を受け、全国1,863(前年度1,726)の保管施設を対象に入札選考作業を行い、特定分別基準適合物(無色のガラスびん、茶色のガラスびん、その他のガラスびん、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装)ごとに再商品化事業者を選定・委託し、再商品化を実施しました。
 その結果、平成14年度の引取実績は前年度比でそれぞれ、ガラスびん全体で104.2%、PETボトルで117.4%、紙製容器包装で113.8%、プラスチック製容器包装で153.9%でした。また、再商品化製品の利用状況においても同様な伸びが見られました。
2  再商品化事業の円滑実施に向け、業務システムの改善を行うとともに、当協会が委託するガラスびん、PETボトル、紙製及びプラスチック製容器包装の再生処理事業者を対象に、技術専門の機関に委嘱し、施設ガイドライン等に基づき処理施設に対する現地調査を実施しました。
3  平成15年度の再商品化の実施に向けて、当協会登録の再商品化事業者(ガラスびん161社、PETボトル59社、紙99社、プラスチック122社)を対象に、東京で入札説明会を開催しました。
4  商工会議所、商工会に再商品化委託契約に関する業務の一部を委託し、平成15年度における特定事業者との再商品化委託契約の申込・受付業務を実施しました。
5  シンポジウム、講演会、座談会等への講師派遣並びに新聞、テレビ、雑誌等を通じ、法の概要及び当協会の役割と業務内容の普及・啓発に努めました。
6  経済産業省が作成したパンフレット『容器包装リサイクル法』や、当協会が作成した容器包装リサイクル法に関するパンフレット『なぜ?なに?リサイクル』などを、事業者、自治体、消費者等に配布し、容器包装リサイクルの普及啓発に努めました。
7

 会報『再商品化ニュース(No.17〜No.20)』を季刊で発行し、賛助会員、特定事業者、 都道府県・市町村担当部署等に対し当協会事業の進捗状況、容リ法の解説等につき情報提供を行いました。特に、会報No.20は再商品化実施5ヶ年記念特集号を兼ね発行しました。
  また、ホームページ(https://www.jcpra.or.jp/)を積極的に活用することにより、効率的かつ多量な情報発信・普及啓発に努めました。

8  主務5省との連絡を緊密にするとともに、内外のリサイクル関係諸機関との情報交換・協力の推進に努めました。
9  訪欧州容器包装リサイクル調査団に参加し、フランス、スペインを訪問、情報の収集に努めました。
10  賛助会員27社から頂戴した賛助会費を会報『再商品化ニュース』発行費用に充当しました。
 
平成14年度事業の総括的概要は以上のとおりです。

1.特定事業者等からの受託による分別基準適合物の再商品化の実施
 
(1) 平成14年度再商品化の実施
     当協会では、再商品化業務規程に則り、下記の再商品化委託単価(主務大臣の認可)のもとに、特定事業者等から委託を受け、ガラスびん(無色、茶色、その他)、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装に係る分別基準適合物の再商品化を実施しました。
  1) 再商品化委託単価
   
  委託単価
(円/トン)
14年度
13年度
ガラスびん 無色
3,600
4,000
茶色
7,800
7,700
その他
9,100
9,100
PETボトル
75,100
83,800
42,000
58,600
プラスチック
82,000
105,000
 
  2)契約状況について
  (a)特定事業者からの受託状況
   

 法に基づき再商品化の義務を負うガラスびん、PETボトル、 紙及びプラスチック製容器包装関連の特定事業者63,595社(前年度62,057社)から以下のとおり再商品化を受託しました。

   
  受託社数 受託予定量(トン) 受託予定金額(千円)
14年度
13年度
14年度
13年度
14年度
13年度
ガラスびん ガラスびん計
3,863
3,901
450,959
416,262
2,733,159
2,576,066
無色
3,325
3,337
216,254
205,579
778,514
822,314
茶色
1,707
1,798
139,364
116,760
1,087,042
899,053
その他
1,508
1,552
95,341
93,923
867,603
854,699
PETボトル
1,087
1,088
230,684
196,256
17,324,393
16,446,217
45,878
45,262
105,820
90,044
4,444,429
5,276,568
プラスチック
61,067
59,609
311,801
256,428
25,567,689
26,924,949
 
  (b)市町村負担分の受託(実績支払ベース)
     再商品化の義務が免除されている小規模事業者分については、その処理費用は市町村の負担とされています。
 以下は、当協会が再商品化業務契約を締結し、上記再商品化委託単価により再商品化を行なった市町村からの受託状況です。
   
  受託量実績(トン) 受託金額(千円)
14年度
13年度
14年度
13年度
ガラスびん ガラスびん計
37,119
34,386
264,176
245,752
無色
8,974
8,557
32,304
34,325
茶色
18,650
17,082
145,468
131,709
その他
9,495
8,747
86,404
79,718
PETボトル
1,410
1,211
120,815
117,502
1,720
1,508
72,258
88,426
プラスチック
17,269
12,464
1,416,037
1,308,788
 
  (c)市町村との契約状況及び保管施設
     当協会との間でガラスびん、PETボトル、紙及びプラスチック製容器包装の分別基準適合物の引渡に関する業務実施覚書を締結した市町村及び保管施設は以下のとおりです。
     
   
 
市町村数
保管施設数
契  約
実  績
契  約
実  績
14年度
13年度
14年度
13年度
14年度
13年度
14年度
13年度
総数
2,482
2,441
2,474
2,354
1,863
1,726
1,837
1,686
ガラスびん
1,789
1,731
1,780
1,683
1,020
961
1,007
942
PETボトル
2,201
2,079
2,186
2,042
1,254
1,189
1,240
1,157
172
148
143
131
124
105
107
88
プラスチック 
845
732
815
673
561
463
534
427
   

 
市町村からの引取量(トン)
引取達成率(%)
引取予定量(a)
引取実績量(b)
(b)÷(a)
14年度
13年度
14年度
13年度
14年度
13年度
ガラスびん
368,102
412,197
339,039
325,344
92.1
78.9
 無 色
112,592
130,748
102,788
97,100
91.3
74.3
 茶 色
142,304
160,190
130,311
129,892
91.6
81.1
 その他の色
113,206
121,259
105,940
98,352
93.6
81.1
PETボトル
169,427
149,740
153,860
131,027
90.8
87.5
28,779
25,114
24,687
21,685
85.8
86.3
プラスチック(1+2)
291,665
236,444
259,669
168,681
89.0
71.3
1.プラスチック
288,944
233,312
258,624
167,694
89.5
71.9
 材料リサイクル
55,548
34,453
51,122
21,678
92.0
62.9
 油 化
19,185
22,373
15,309
18,059
79.7
80.7
 高炉還元剤化
68,410
73,808
64,733
58,596
94.6
79.4
 コークス炉化学原料化
121,471
83,908
103,336
57,502
85.0
68.5
 ガス化
24,330
18,770
24,124
11,859
99.1
63.2
2.トレイ
2,721
3,132
1,045
987
38.4
31.5
 材料リサイクル
2,686
2,880
1,042
887
30.8
30.8
 油 化
34
252
3
100
8.8
39.7
     
  (d)再生処理事業者の入札登録・落札状況
     平成15年度の再商品化の入札を希望する再生処理事業者を官報公告することにより募集し、事業者登録を行いました。確定した登録事業者を対象に保管施設ごとにガラスびん(無色、茶色、その他)、PETボトル、紙及びプラスチック製容器包装の再商品化の入札を行い、ガラスびん148社、PETボトル58社、紙43社及びプラスチック79社を選定し、再商品化実施契約を締結しました。入札登録・落札状況は以下のとおりです。なお、PETボトルの入札選定方法において、経済産業省産業構造審議会WGの決定に基づき、材料リサイクルとボトルtoボトル向けケミカルリサイクルと同じ価格の場合はボトルtoボトルを優先することとしました。(単位:社)
   
 
登録申込
登録(確定)
落札
15年度
14年度
15年度
14年度
15年度
14年度
ガラスびん 165 145 161 140 121 114
PETボトル 83 99 59 60 58 56
110 145 99 92 43 34
プラスチック 201 147 140 133 79 86
また、ガラスびん再商品化製品(カレット)の販売については、平成14年度から他の素材同様に再生処理事業者が行うこととなりました。さらに、プラスチック油化事業者の一部に問題が発生し、法的措置を含めその対応を行いました。
 
  3)再商品化製品の利用状況(単位:トン)
    ガラスびん
   
 
14年度(107社)
13年度(92社)
317,817 (100.0%) 304,764 (100.0%)
内訳 ガラスびん製造用 166,653 (52.4%) 180,083 (59.1%)
その他の用途
(舗装用骨材、タイル・ブロック、ガラス繊維等)
151,164 (47.6%) 124,681 (40.9%)
    PETボトル
   
 
14年度(延べ169社)
13年度(延べ169社)
112,485 (100.0%)
94,912 (100.0%)
内訳 繊維
(ユニフォーム、カーペット等)
58,940 (52.4%)
48,659 (51.3%)
シート
(卵パック、ブリスターパック等)
45,632 (40.5%)
37,510 (39.5%)
ボトル(洗剤ボトル等)
606 ( 0.6%)
381 (0.4%)
成形品(文房具、収集ボックス等)
5,314 ( 4.7%)
5,330 (5.6%)
その他(結束バンド、障子紙等)
1,993 ( 1.8%)
3,032 (3.2%)
    紙製容器包装
   
 
14年度(13社)
13年度(21社)
24,358 (100.0%) 20,793 (100.0%)
内訳 製紙原料 20,284 ( 83.3%) 15,301 (73.6%)
上記以外の材料
(家畜用敷料)
157 ( 0.7%) 1,196 (5.7%)
固形燃料 3,917 ( 16.0%) 4,295 (20.7%)
    プラスチック製容器包装
   
 
14年度(140社)
13年度(135社)
180,162 (100.0%) 118,470 (100.0%)
内訳 1.プラスチック 179,238 (99.5%) 117,598 (99.3%)
 材料(擬木、車止め等) 23,426 (13.0%) 9,246 (7.9%)
 油化 6,828 ( 3.8%) 7,886 (6.7%)
 高炉 46,621 (25.9%) 42,306 (36.0%)
 コークス 91,175 (50.6%) 50,631 (43.0%)
 ガス化 11,188 ( 6.2%) 7,529 (6.4%)
2.トレイ 924 ( 0.5%) 872 (0.7%)
 材料
 (日用雑貨品、トレイ等)
921 ( 0.5%) 777 (0.7%)
 油化 3 (−) 95 (−)
 
  4)再商品化委託料金の精算
     再商品化受託料金の精算については、特定分別基準適合物ごとに特定事業者からの再商品化予定受託料金に対する再商品化実績費用を計算し、個々の特定事業者ごとに精算額を確定のうえ、過不足に応じて次年度の再商品化予定受託料金と加減し、精算します。なお、平成14年度の再生処理事業者への支払い対象量(「販売量」+「残さ」)は、ガラスびん336,411トン、PETボトル151,934トン、紙24,890トン、プラスチック253,013トンでした。
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(2) 再商品化業務システムの改善
     平成13年度の大規模追加開発を受け、14年度はその品質向上とシステム安定化に注力しました。同時に、新たなシステム管理基準の徹底により、郵便局支払口座開設などの追加機能開発やデータ処理件数等の増加にも拘わらず、総合的コスト削減に務めました。
(3) 設備審査の実施
     ガラスびん、PETボトル、紙製容器包装及びプラスチック製容器包装の再商品化事業者を入札・選定するにあたり、再生処理施設等が所要の水準にあるか否かを事前に審査することとしています。審査の実施に当たっては、その審査が合法的、かつ公正・透明性のあるものであることを確保するために、第三者の技術専門機関に委嘱し、再生処理施設等の施設ガイドライン等に基づき審査を実施しています。
 平成14年度において、平成15年度再商品化対象登録申請事業者の中から、ガラスびんは37社38施設、PETボトルは45社47施設、紙は18社18施設、プラスチックは78社79施設に対し現地調査を行いました。
 なお、プラスチック製容器包装の再生処理事業者の施設の登録にあたっては、これまで平成11年7月に策定した「プラスチック製容器包装再生処理施設ガイドライン」を用い、再生処理施設の審査を実施してきましたが、平成15年度の施設審査について平成14年7月に改定された施設ガイドラインに基づき行われました。主な改定箇所は以下のとおりです。
1 手法ごとの収率の改定(トップランナー方式の導入)
2 再商品化製品の利用先
プラスチック製容器包装及びトレイの再商品化製品の利用先について明文化しました。
3 油化施設の安全管理
油化施設については、消防法に規定する危険物製造施設に該当し、許可の取得等が必要であることを明文化しました。
4 炭化水素油に係わる標準情報(TR)
TRの改訂に伴い改訂原案を記載しました。

(4

指定保管施設における分別基準適合物の品質調査の実施
     再商品化を円滑に実行するためには、各指定保管施設から引取る分別収集品が一定の品質基準を満たしていることが肝要です。このため、今後の分別収集品の品質向上のための情報共有化を図る目的で、引き取り・再生処理を行っている事業者の協力を得て、市町村の立会いを求め、分別収集品の品質実態調査を実施しました。
 PETボトル事業部では、平成10年度から継続しているベール品の品質検査を平成14年度も実施しました。
 全指定保管施設のうち99.2 %にあたる1,176施設について調査を実施しました。
 調査の結果、施設数で評価Aランクが平成10年度46.9%であったものが年々向上し、80.2%に達しました。再商品化に支障をきたす可能性があるDランクの施設が平成10年度の17.8%から7.2%に減少しました。調査の結果については、関係市町村に報告するとともに、協会ホームページ(https://www.jcpra.or.jp/)において公表しました。平成10年度からの全件リストも併せてホームページに掲載しています。
 プラスチック容器事業部では、平成12年度の再商品化事業スタート以来はじめて、平成14年度に全指定保管施設の83%にあたる360施設を対象に分別基準適合物の品質調査を実施しました。調査の結果、評価A,Bランクの施設が241(67%)、再商品化に支障をきたす可能性があるDランクの施設が117(33%)でした。結果については、市町村説明会で公表しました。15年度についても、品質調査を実施することとしています。
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(5)
平成15年度再商品化への取り組み
     平成14年度再商品化業務と並行して、別紙「平成15年度再商品化に向けたスケジュール」(平成14年度事業)(省略)に記載のとおり、平成15年度再商品化に向けた種々の準備作業を行いました。
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(6

商工会議所・商工会等への契約代行業務の委託
     平成15年度における再商品化の実施にあたり、特定事業者との再商品化委託申込み及び再商品化委託契約に関する業務の一部(再商品化委託料金の収受は除く)を日本商工会議所・商工会議所及び商工会連合会・商工会へ委託しました。
1 研修会の開催
  当協会では、委託業務が円滑に遂行されるよう窓口業務を担う商工会議所・商工会関係者に対し「容器包装リサイクル法及び当協会の役割・業務内容」、「各地における申込・契約関連業務」、「申込・契約代行業務等に係るパソコンデモンストレーション」などについて以下により研修を行いました。
<商工会議所関係>
  (ア) 開催時期
平成14年10月28日(月)〜 11月1日(金)
研修は、各1泊2日で、4班に分けて開催。
  (イ) 対象人員
322商工会議所・347人が出席
  (ウ) 開催場所
浜松・商工会議所福利研修センター(カリアック)大研修会場
<商工会関係>
  (ア) 開催時期  
平成14年10月〜平成15年1月の期間
  (イ) 対象人員
769商工会・809人が出席(16都府県商工会連合会で開催)
  (ウ) 開催場所
各地の都府県商工会連合会が主催し、都府県単位で開催。
   
2 特定事業者に対する再商品化委託申込書類発送及び申込受付
 再商品化申込書は協会から商工会議所・商工会等へ送付され、それぞれの管内の特定事業者へ発送されます。具体的手続きの流れは以下のとおりです。
  (ア) 当協会は、平成15年度において再商品化義務が課せられている事業者を対象に、平成14年12月16日付官報により指定法人への再商品化の委託申込みの公告を行うとともに、当協会が抽出した約10万3千事業者 に対し、全国527商工会議所及び2,794商工会を通じ委託申込関係書類(委託申込書、再商品化義務量及び委託量算定用紙等)を送付。
  (イ) 書類を受け取った事業者は自らの再商品化義務量を算出し、紙ベースもしくは当協会ホームページからオンライン(平成15年2月14日まで可能)により商工会議所・商工会を通じ申込を行う。
  (ウ) 商工会議所・商工会等は、特定事業者の申込書の内容を確認し受付け、不備があれば特定事業者に連絡し、修正したものをFAXで入手し、申込書が整ったところで、データを入力。申込書の原本は協会で保管。
  (エ) 協会では申込書等の入力情報をコンピューターで集中管理(NTTデータに委託)し、「再商品化委託契約書」を作成、商工会議所・商工会等を通じ特定事業者と契約を締結する。
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