日本容器包装リサイクル協会ニュース No.52 The Japan Containers and Packaging Recycling Association
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チャレンジ! 薄く、軽く、使いやすく
事業者によるリデュースの取り組み事例 CHALLENGE! 株式会社エフピコ 世界で初めて「トレーtoトレー」を実現
株式会社エフピコ(本社・広島県福山市)は、スーパーマーケットや食料品店などで使用される簡易食品容器のメーカーで、業界におけるリサイクルのパイオニアとしても知られています。
1990年、独自の「トレー to トレー」のリサイクルシステム、エフピコ方式を実現し、「容器包装3R推進環境大臣賞」製品部門最優秀賞など数々の賞を受賞。革新的な試みで確かな成果をあげてきたその取り組みをご紹介します。
独自のリサイクルシステム、エフピコ方式とは
 発泡スチロール製の食品トレーが日本の家庭に初めて登場したのは、1960年代のことです。当初は白色のみでしたが、その後の80年代にカラートレー、色柄付トレーが登場したことで、爆発的な人気を獲得。今では日に一度は目にするほど、私たち日本人にとって大変身近な存在になっています。
 エフピコでは1990年に、業界でもいち早くエフピコ方式と呼ばれる使用済みの食品トレーのリサイクルシステムを構築しています。このエフピコ方式で特筆すべきなのが、世界で初めて白色トレーをトレーへと再生する循環型リサイクルを実現したこと。さらに、食品トレーに関わるすべての人たち、一般の消費者とスーパーマーケットなどのお店、包材問屋、エフピコの4者が協力し、全員参加で回収を行なっているという点も特徴的です。現在、全国約7,900店舗の店頭に回収ボックスを設置。消費者が持ち寄った使用済みトレーを包材問屋やエフピコが配達の帰りのトラックで引き取り、エフピコの自社工場で再生しています。市町村が回収するいわゆる協会ルートで戻ってきた使用済みトレーも加わり、エフピコ独自のエコロジー商品「エコトレー」が生まれています。2000年にエコトレーは商標登録もされました。
 「業界内で回収を行なっているところは数々ありますが、発泡スチロールの再生品としてトレーからトレーに生まれ変わらせているのは、うちだけです」と語るのは、同社環境対策室ジェネラルマネージャー松尾和則さんです。
 「エコトレーは流通業におけるCO2削減の切り札として、全国各地のスーパーマーケットなどでご利用いただいています。その数は、現在お店で使われているトレーの約2割にまで達しているほどです。また、エコトレーはエコマーク商品としての認定も受けています。トレー表面に表示されたエコマークを目印に、ぜひ探してみてください」(松尾さん)
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この20年間で東京ドーム約14.1杯分の容器を回収
 エフピコが、「トレー to トレー」のリサイクルを始めたそもそものきっかけは、1980年代から社会的に大きな注目を集めるようになったごみ問題です。
 「当時のトレーに対する批判はすさまじいものがあり、トレー不要論まであったほどです。しかし、発泡スチロール製の食品トレーはそのほとんどが空気でできているため、実際にごみとなる量はごくわずか。家庭ごみに占める割合は全体の0.2%ほどにしかなりません。そうしたデータとしての事実よりも、使用後は廃棄されるということのみがクローズアップされていったのです」と、松尾さんは当時を振り返ります。
 そのような逆境の中、同社は大きな決断を下します。それが、ごみにしないでもう一度製品にするという「トレー to トレー」のリサイクルだったのです。
 それから20年。2010年3月までに回収されたトレーは約214億3,975万枚、総重量にして約8万5,759トンに及びます。その容積は、なんと東京ドーム約14.1杯分に相当するそうです。これだけの量のごみ削減に貢献したことになります。
 「ここまでくるのにはやはり大変でしたね。初めはリサイクルのノウハウもなく、すべてが一からつくり上げていったもの。なかでも消費者の皆さまに、回収できるトレーと回収できないトレーの周知を徹底するのには、かなりの労力がかかりましたね。消費者の皆さまの賛同をえたからこそ、ここまで回収が進んだといえるでしょう」と松尾さん。
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優れた成型技術を駆使し、約30%の軽量化も実現
 さらにエフピコでは、より軽く薄くをテーマとした製品開発を積極的に進め、食品容器に使う原材料の量を減らすことで、ごみの削減を実現しています。例えば発泡スチロール製の食品トレーでは、使用する発泡スチロール自体の発泡倍率を高めて素材内部の空気量を増やすことのできる高発泡両面真空成型技術を開発。形状と容積は同じでも、より軽い製品づくりを可能にしています。容器開発を担当するシニアマネージャー小川政則さんによると、食品トレーの1枚あたりの重量は、1990年比で約30%の軽量化が実現しているとのこと。
 「エフピコでは約6,000種類もの食品容器をラインナップしていますが、最近では、非発泡の透明容器や蓋の需要が高く、より薄い素材への切り替えも行なっています。ただ、薄くすることで強度は弱くなるため、リブという波型の凹凸をつけることで、強度を維持するなどの工夫を施しています」(小川さん)
 こうした軽量化に加え、透明容器の蓋を開ける際にうっかり指を傷つけないようにするための加工や開けやすい蓋のデザイン、傾けても中身の食品がずれない工夫など、機能面の技術開発も小川さんの重要な仕事です。
 最後に、今後の目標について松尾さんに伺ったところ、さらなるリサイクルシステムの確立という答えが返ってきました。
 「じつは、食品トレーだけではなく、透明容器のリサイクルシステムも2008年から本格的にスタートしています。このシステムが全国で根付くまでにあと数年はかかるでしょう。その後にはコンビニエンスストアなどでもお馴染みの弁当容器のリサイクルも控えています」
 どちらも大変な仕事ですが、同社環境対策室には、馬屋原慧准さんをはじめ、松尾さんの薫陶を受けた若い人たちが順調に育っています。エフピコのさらなる取り組みは、今後も大いに注目されるところです。

開けやすい蓋のデザインを手がけた
製品開発部兼容器開発部
小川 政則さん
環境対策室の松尾 和則さん(左)と馬屋原 慧准さん(右)
※「トレー」:容リ法および当協会では「トレイ」と表記していますが、ここではエフピコ社の表記に従い、「トレー」としました
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編集・発行/公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会