10年実績データブック

素材ごとに見る10年の成果と課題(プラスチック製容器包装)

引取量の推移

 日本においては、ガラスびんと紙製容器包装は、容リ法ができる前からもともとリサイクルのしくみがありましたが、PETボトルとプラスチック製容器包装については、新たにリサイクルのしくみを構築することから始める必要がありました。容リ法によるプラスチック製容器包装リサイクルがスタートした平成12(2000)年度、市町村からの引取量は6万7,000トンでした。その後、毎年約10万トン増加、埋立や焼却されてきたものが、年を追うごとにリサイクルされるようになったからです。しかし、ここ数年は新規に分別収集を開始する大都市が少ないことから、引取量の伸びが鈍化しており、平成18年度の引取量は前年比2万トン増にとどまり54万9,000トンです。国によるプラスチック製容器包装の家庭への排出見込み量は、年110万から120万トンですので、今後再商品化すべき上限数量は、回収率を80%と考えた場合、90万トン前後と推測できます。
 こうした中で、市町村からの引渡し量は平成20年度は約5万トンの増加が見込まれています。これは東京23区がプラスチックを埋め立て処分から焼却処分に方針変更し、そのうち10区程度がプラスチック製容器包装を分別収集し、容リ法に基づくリサイクルを予定しているためです。しかし、いまだに大都市、特に政令指定都市でプラスチック製容器包装の分別収集を行っていないところがあるのが実情です。100万人都市がプラスチック製容器包装を収集すると分別収集量は年間おおよそ1万トンあると予測されていることから、これらの都市が分別収集を開始すれば引取量はさらに増えることが予想されます。
 容リ法改正により、市町村への拠出金制度ができましたので平成20年度以降、新たに分別収集を始める市町村が出現し、引取量はさらに増大する可能性もあります。

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市町村の収集物の品質改善が重要課題

 プラスチック製容器包装を資源として再生する際に、再商品化製品の品質向上と再商品化コストの削減のためには、リサイクルの入口にあたる市町村から引取る収集物の品質の改善が必要となります。法見直しの審議会でもその取り組みの必要性が指摘されました。
 平成14年度から協会では保管施設ごとに収集物の品質調査を行っていますが、改善に対する市町村の協力が十分に得られず、改善が停滞していました。平成18年度からこれまでの取り組みを抜本的に見直し、

ことにしました。
 こうした取り組みの結果、市町村には積極的に品質向上に取り組んでいただけるようになりました。平成18年度は第1回目の品質調査結果でDランクが20%であったものが、平成19年度調査では13%に減少していることをみても、品質が悪ければ協会に引取ってもらえないということが市町村に理解された結果が現れているといえます。

再商品化手法の適正化

 容リ法では、これまでプラスチック製容器包装の再商品化手法として材料リサイクルとケミカルリサイクル4手法が認められています。そして「材料リサイクルをその他の手法に比べ一定の条件下で優先的に取り扱う」〔平成11年の産業構造審議会・廃棄物処理・再資源化部会第13回容器包装リサイクル小委員会〕とされてきました。
 入札での材料リサイクル優先の政策と市町村からの引取量と再商品化能力の需給バランスが拮抗している状況が、入札にあたって有効に競争原理が働かない元凶であり、材料リサイクル優先を早急に改めるとともに、燃料化・熱回収の再商品化手法を認めるべきであると、協会としても法見直しのなかで訴えてきましたが、容リ法の改正により、平成19年度から「固形燃料等の燃料化」が緊急避難的、補完的に認められました。
 しかし、「材料リサイクル優先」のもと、ここ3、4年、材料リサイクルの落札可能量が予想を超えて急激に増加し、その問題点として次のことが挙げられます。

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 これらの問題点の解決のために、国では平成19年2月、「プラスチック製容器包装再商品化手法検討会」を立ち上げて検討した結果、多様な再商品化手法のバランスのとれた組み合わせを確保しつつ、これまでの材料リサイクル手法の無制限な優先を改め、平成20年度より入札選定は次の内容で実施することになりました。

 協会では、再商品化手法ごとの資源の有効利用度や環境負荷を適切に評価するため「プラスチック再商品化に関する環境負荷等検討委員会」で検討した結果、「材料リサイクル手法が他の手法に比べ、特段優れているということはない」ということが判明しました。(『再商品化コストの適正化〜再商品化手法の多様化に向けて』参照)

再商品化コストの適正化

 平成17年度以降、再商品化コストの適正化に向けて、協会は取り組みを強化してきました。同年度「再商品化に係る標準コスト検討委員会」(委員長:山本和夫東大教授)を設置し、再商品化の標準コストの算定と入札選定方法のあり方を検討しました。
 それまでの入札では、材料リサイクル手法優先により、材料リサイクル手法はいくら高くても落札でき、平成17年度のトンあたり落札単価は6万円台から15万円台(『平成17年度の落札における再生処理費の分布』参照)と大きな開きがありました。そこで、平成18年度入札では上限価格(12万3,000円)を設定し、それを超えた入札札は無効として入札を行った結果、材料リサイクル手法の落札価格は前年度よりも8,400円、8%強低くなりました。しかし、上限価格の設定だけでは、材料リサイクル手法の構成比増大を抑えきれず、平成18年度入札では材料リサイクルの構成比がさらに15%伸び、全手法での落札価格は前年度に比較して600円の低下にとどまりました。
 平成19年度に向けては、材料リサイクル事業者の新規参入と能力拡大がさらに顕著となり、このままでは数年以内に材料リサイクル手法がほぼ100%を占めてしまう恐れが出てきました。そのため「標準コスト検討委員会フェーズU」でさらなる検討が行われ、平成19年度入札は、上限価格をより厳しく設定(10万5,000円)すること、全ての手法の落札可能量を協会査定量の90%とすることで実施しました。その結果、材料リサイクル手法の増加幅が3%程度に抑えられ、また落札価格は油化手法を除いて各手法ともに大幅に低下し、プラスチック全体の落札平均価格は、76,400円と前年度の84,600円に対し約10%下がり、初めて高止まり傾向が是正されました。しかし、材料リサイクルの構成比が初めて50%を超え、51.5%を占めるまでに至っています。

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今後の課題

 市町村収集物の品質改善や再商品化コストの適正化については、引き続き改善に取り組みますが、次の容リ法改正を見据えた場合には、以下の課題が考えられます。

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再商品化コストの適正化〜再商品化手法の多様化に向けて
「環境負荷等検討委員会」および欧州のリサイクル状況調査

協会の取り組み

 容リ法では、プラスチック製容器包装の再商品化手法として材料リサイクルが優先されています(『再商品化手法の適正化』参照)。法改正の国会審議等において、プラスチック製容器包装の収集物および再商品化製品の品質ならびに効率性の向上、環境負荷の把握等の必要性が指摘され、また、産業構造審議会・中央環境審議会の複数の委員から「材料リサイクル優先の見直しを含めた再商品化手法についての再評価が必要」との指摘がありました。
 そこで協会では、再商品化手法ごとの資源の有効利用度や環境負荷を適切に評価することを目的に、平成18(2006)年9月「プラスチック製容器包装再商品化に関する環境負荷等検討委員会」(委員長:石川雅紀神戸大学大学院教授)を立ち上げ、平成19年6月まで検討を重ねた結果を報告書にまとめました。また、再商品化の実務を担当する立場の協会が日本の状況を念頭におきつつ、欧州におけるプラスチック製容器包装リサイクルの状況を調査し、今後の再商品化のあり方を考えるうえで役立つ情報を得る目的で、平成19年6月、EU、ドイツ、ベルギー、フランスにおけるリサイクルの状況調査を実施しました。

「環境負荷等検討委員会」

 現在実施されているプラスチック製容器包装の各再商品化手法に対する環境負荷を客観的・定量的に評価することを目的に、今回の検討を実施しました。
 プラスチック製容器包装の再商品化では、現在5つ(+固形燃料化等)の手法が認められていますが、それぞれの手法は全く異なる工程・再生品を生み出すプロセスになっています。そこでこれらを比較するために、リサイクルする場合としない場合をそれぞれの再商品化手法ごとに考え、主要な環境負荷因子であるエネルギー資源消費量、二酸化炭素排出量などの差を環境負荷低減効果として算出しました。
 その結果、材料リサイクル手法が特段優れているとはいえないことや、その使い先(利用用途)によって結果が大きくばらつくこと、資源の節約については注目する資源の種類によって、再商品化手法ごとに低減効果が大きく異なることなどがわかりました。
 ただし、今回はあくまでも環境負荷の面からのみ検討評価を行ったもので、このような結果だけでは再商品化手法に優劣がつくものではなく、政策的および科学的、経済的見地からの検討ももちろん必要と考えます。

欧州のリサイクル状況と日本との相違点

 EU全体のプラスチック製容器包装のリサイクル目標値は22.5%、フランスでは、リサイクル率は既に21%であるとしています。日本と大きく異なるのは、フランスの場合、PETボトルを含めてプラスチック容器として分類し、この目標値はPETボトルとPE(ポリエチレン)ボトルを中心にリサイクルすることで達成できるレベルであるという点です。
 今回訪れた国の中で、日本のようにボトル以外のプラスチック容器包装をリサイクルしているのはドイツのみでした。
 ドイツでは、家庭から混合収集したものを、選別処理施設で素材別およびプラスチックは材質別・品質別に選別し、その後再生原料の材質・品質により再商品化手法を選択しています。ボトル類は材質別に選別されており、最も品質がよいため、当然有価でメカニカルリサイクル(日本における材料リサイクルにあたる)にまわり、次によいものはフィードストックリサイクル(日本のケミカルリサイクル)へ、そして汚れていたり、混合物として品質が劣るものはエネルギーリカバリー(日本の固形燃料等)に回されています。再生原料の材質・品質により、「売れる」ことを優先して再商品化手法を選択していました。
 EUは大きな方向性として、「環境と経済とのバランス」をより重視する姿勢を明確にしています。現在のリサイクル目標値について、これ以上あげることが環境によいという結論は得られていないと言っています。さらに、経済と環境とのバランスについても「市場原理で自ずと決まることが良い」としています。
 日本では、分別収集されたプラスチック製容器包装は全てリサイクルすることとなっており、リサイクル率も約50%を達成しています。しかし、材料リサイクル優先のしくみのもとで、現在は保管施設ごとに入札選定して再生処理事業者が決定されており、どの再商品化手法とするかについて収集物の品質とは関係がなく、落札の結果として決定されています。EUの事例を参考にしながら、環境と経済とのバランスを考えたリサイクルを考える時期に来ているのではないでしょうか。結果だけでは再商品化手法に優劣がつくものではなく、政策的および科学的、経済的見地からの検討ももちろん必要と考えます。

「環境負荷等検討委員会」および欧州のリサイクル状況調査の詳細については、協会ホームページ(http://www.jcpra.or.jp/)、会報『日本容器包装リサイクル協会ニュース』No.39(8〜11ページ)を参照してください。

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