PETボトルの再商品化は、容リ法とともにスタートしました。 この10年を4期間に分けて見ることができます。
第1期は、法施行初期の平成9(1997)年度から平成10年度で、先立つ助走の時期を含めて再商品化事業を軌道に乗せる期間でした。初年度は関係各方面とも手探り状態でしたが、協会の引取り契約量14,214トンに対して98.6%の達成率で再商品化が実施され、翌年度は、契約量32,799トンに対し108.7%の実績となり、市町村の分別収集、協会の委託する 再商品化、そして利用市場での再利用が軌道に乗ってきました。
第2期は、平成11年度から13年度です。協会が引取る市町村のカバー率でみると初年度の14%から平成13年度は 63%へと、引取量では14,000トンから131,000トンへと、 計画された諸量を上回ってリサイクルが進展し、分別収集量に対し再生処理能力が不足するという状況、いわゆるミスマッチ問題が発生しました。再生処理能力と再商品化製品利用市場の拡大が求められ、化学分解法による飲料ボトル用PET樹脂への再生(ボトルtoボトル)の技術開発等が目標とされました。
第3期は、平成14年度から17年度にかけてで、引取量の増加が再生処理施設への相次ぐ投資を誘発し、再商品化製品の利用需要も一層拡大しました。ボトルtoボトルも平成15年度は全体の9%程度まで伸びました。その一方、これら処理能力に対して回収量が不足するという需給ギャップが年々拡大する局面にもなりました。再生処理原料の確保を巡る再生処理事業者間の競争が激化、また、フレークなどの再生処理材に対する海外需要(主に中国)が増加して国際競争的側面が現れ、市町村回収の使用済みPETボトルが協会ルート以外で有償にて取引されるようになりました。市町村からの引取量は、平成16年度の192,000トンをピークに翌年度は170,000トンと初めて減少しました。再生処理事業者間の競争に加え、石油および石油関連製品価格の高騰から再商品化製品の価格も値上がりした関係で、協会の再商品化委託価格は急激に低下していきました。
第4期は、平成18年度以降です。平成17年度までに既に現れていた傾向の延長線上のことですが、使用済みPETボトルの市場価値の上昇や市町村の独自ルートによる国内外市場向けの売却が加速しました。これにより、平成18年度から協会の再商品化委託でも再商品化事業者が有償入札するという、当初容リ法で想定していなかった局面に入ることになりました。平成19年度には総量の98.5%が有償入札となっています。
この有償入札分の収入は、有償で落札された市町村に、その引渡量と落札価格に応じて拠出することになりました。この新たな状況下、引取量はさらに減少し、平成18年度(実績)、19年度(契約)とも年約140,000トンにとどまりました。
有償化は諸々の経済条件の結果として生じたものであり、市場機能の中で再商品化が行われるようになったという点では評価できることです。しかし、協会が再商品化を委託しうる再生処理事業者の再生処理能力は年30数万トンあるのに引取量が現状以下で推移すれば、再生処理事業者が原料不足と原料確保を巡る競争過熱から疲弊してしまいます。また再生処理業界の不安定は再商品化製品の供給不安定と価格高騰を通じ利用業界の需要減退を招きます。最近の状況は、将来における国内PETボトルリサイクルの基盤崩壊が危惧される状況でもあります。
このような背景もあり、改正容リ法には、「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他適正な処理に関する事項」の基本方針への追加が織り込まれました。
■協会への円滑な引渡しを
国内PETボトルリサイクル関連産業には未だ脆弱性が目立ち、前述の観点から、リサイクルの実際上のメインルートである協会の引取量の増加、回復が重要と考えています。PETボトルの引取量は、平成16年度の192,000トンをピークに以後減少傾向にありましたが、平成20年度に関する引渡量調査では162,000トンと近年の低迷から反転増加の兆しが見えました。有償入札分の収入を市町村へ拠出することや改正法による基本方針の「円滑な引渡し」について、一定の理解を得られた結果ではないかと思われます。しかし、再生処理能力に対しては大きな隔たりがある状況には変わりなく、今後さらに増やしていただくことが必要です。
市町村の皆様には高所からPETボトルのリサイクルを見据えていただきたいと思います。
■有償定着後に向けて
PETボトルリサイクルについて、これまでの欧米等の経緯や最近の石油・石油関連製品等、周辺の動向を見ると、使用済みPETボトルの有償取引は今後定着するかに見えます。有償定着となれば、現容リ法では第2条6項指定物として、現行システムによる再商品化が必要ない物に相当することになりますが、一方で、前述のように当面、協会への再生処理原料の集中を訴えざるをえない事情にもあります。
PETボトルは、リデュースではこれまでの業界努力の結果、軽量化の限界に近づいているのは否めず、またリユースでは大規模展開には衛生や容器物性面での難しさがあり、その点でもリサイクルは大切です。円滑なリサイクルのために、関係者が今後の推移に注意するとともに将来の有償定着後に向けて、全く個々の市場機能に任せるのか、何らかのシステム(制度)が望まれるのか、具体的に考える時期にも至ったといえましょう。協会も再商品化業務を実施している立場から発信していきたいと思います。
■再生処理事業者に求められる他社との差別化
再生処理業界は、現在は過当競争の状況で事業運営が難しいところにありますが、PETボトル再商品化においては、有償化のもと、世界各国の事例を見ても今後一層、市場原理で物事が回ることになりましょう。リサイクルという特殊な分野ではありますが、さらに技術面あるいはビシネスモデル等において他社との差別化を図ることが必要でしょう。