コラム
当協会は、約35名(出向、派遣を含む)の職員と、各種お問い合せを受け付けるオペレーションセンター、コールセンターによって運営されています。
総務部、広報部、企画調査部、ガラスびん事業部、PETボトル事業部、紙容器事業部、プラスチック容器事業部などの各部間では、日々どのような業務が行われているのでしょうか。
容リ法に基づく再商品化事業の運営の様子を、職員によるコラムでご紹介します。
第10回 協会の基幹システム「REINS-CP」は何のために必要なのか
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企画調査部システム担当部長: |
当協会の事務局は35名で構成されており、オペレーションセンター、コールセンターと共に業務を実施しています。事務所は東京都港区に一箇所あるだけです。
一方で、容器包装リサイクル法(以下、容リ法)における指定法人としての再商品化業務は平成19年度実績で71,409社(24,244件)の特定事業者から再商品化委託申込みを、1,571市町村(1,598指定保管施設)からの分別基準適合物の引き渡し申込みを受け、4素材の単純合計で252社の再商品化事業者へ再商品化実施委託することによって成り立っております。
何故、これだけの少人数で運用できるのか。その理由は、何と言っても平成17年6月に立ち上げた基幹システム「REINS-CP」(以下、「REINS」)の存在にあると言えます。
コラム第10回は、その「REINS」の立ち上げプロジェクトを指揮した企画調査部システム担当の加藤部長にインタビューを実施しました。
――――当協会で勤務され始めたのはいつですか?
平成14年4月1日です。それまでは日本ユニシス株式会社に31年間在籍し、新規事業企画(全社事業・商品)、マーケティング(金融業界)を経験し、お声が掛かった当時は経営・ITに関するコンサルティング事業部門の部長をしておりました。
――――転職はどのようなきっかけだったのでしょうか?
当時の協会、企画調査部長から、『非常に困っているので相談に乗っていただきたい。』との話が、所属していた会社のOBを通じてありました。
その当時、IT化による‘エコノミー’経営に関する専門家としてコンサルタント業に従事していた訳ですが、協会からの相談を受け、‘エコロジー’について、初めて強く意識しました。同時に‘IT’の専門家が‘エコノミー’と‘エコロジー’を連携させたモデリングに取り組む、これは面白いと考えました。
当初は‘相談に乗る’というスタンスでしたが、協会側からの要望もあり、転職を決意しました。
――――協会が『非常に困っている。』というのは、どのような状況だったのですか?
平成9年4月から容リ法が本格施行となり、ガラスびん・PETボトルの再商品化事業が始まりましたが、再商品化の義務は大企業に絞られていました。平成12年4月から容リ法が完全施行され、紙製容器包装・プラスチック製容器包装も対象となり、再商品化義務も中小企業(小規模事業者を除く)にまで拡げられました。協会の再商品化業務の対象主体である特定事業者・市町村・再商品化事業者が大幅に増えました。
同時に協会の再商品化業務は膨大に増え、その当時、突貫工事で基幹システムが構築されたと伺っています。
この初期導入の基幹システムがうまく機能せず、「非常に困っている。」とのことでした。
――――具体的には?
聞いたところによると、H12、13年当時は協会事務所近辺のビルに一室を準備し、オペレーションセンターを設け、100名を超えるオペレーターが毎日、故障の多いシステムと格闘しながら、受付・運用業務を実施していたそうです。また、協会職員も併せて、皆、毎日のように日付が変わるまで残業していたとのことですから、それは大変だったであろうと推測されます。
――――H14年4月の就任後、業務運用に関するシステム面はどのような状況であり、どのような問題があると判断されましたか?
当たり前の話ですが、最初は私も協会業務について、何も知らない状況でした。何も知らなくては何も出来ません。ですから、まずはじっくりと協会の運用業務全般と職員の動き、連携をウォッチしました。
それまで、このようなシステム改革に関するプロジェクトを立ち上げ、進捗を管理するコンサルティングを専門としていた訳ですが、重要なのは、現状をじっくり分析すること・見ることです。就任2ヵ月後のH14年5月に当時の企画調査部長から「夏前までに結果を出してください。」と言われ、驚いたことを覚えていますが、システムに限らず、改革プロジェクトに取り掛かる際には、このように人材と組織力の強み弱みを分析する為にじっくり見ることから始めるスロースターターであることも必要なのです。
分析の結果ですが、当時のシステムは品質、コスト、納期、業務プロセス、インフラ全て水準以下で、硬直化した事業運営がなされていると感じましたね。H13年に二次開発された基幹システムが、私の協会就任時から稼動し始めましたが、どう見ても初期システムのつぎはぎシステムで、週2~3回はトラブルが発生するという状況でした。
――――その後はプロジェクトをどのように進められましたか?
H15年8月に、協会をとりまく外的環境と内部環境の分析を終え、システム全面更改に向けた企画案を作りました。そして、「必要経費を捻出してください。トラブルを無くし、業務運用コストを半減させます。」という提案資料をまとめ上げ、結果、提案は了承されました。RecycleとRe-Engineeringに引っ掛け、『REプロジェクト』と名づけました。
専門業者さんにあるべきビジネスプロセスモデル構築の提案をしていただくため、コンサルファーム、システム開発業者10数社にRFP(Request for proposal)を提示し、総合評価による選定を実施しました。
その後、同様の形で、システム設計の提案コンペを実施し、更に、システム構築/運用の提案コンペを経て最終的に3社にしぼり込み、協会職員全員を対象としたプレゼン会を実施しました。
ちなみに、システム構築/運用については、システム構築と運用を切り離して2社に発注する前提とし、提案コンペはシステム構築担当業者さん、運用担当業者さんの2社がジョイントする形式としました。現在の業者さんは、この大変なステップを踏んで採用させていただいた業者さんです。
このようにシステム調達の際にフェーズごとに区切って発注するという進め方は、当時の「SLCP‘98(システム調達ガイドライン):経済産業省」に記載されていた方法で、大幅なコスト低減を実現させるためには有効です。そのSLCPの内容に沿って、プロジェクトを実行しました。
――――当時、システムのプロセスモデル検討のために、協会内部で相当多くのワークショップが開催されたと伺いましたが。
そうです。To be Modeling(あるべき姿を創り出す)のワークショップを40回、システム設計時に40回とトータル80回を超えたと思います。職員の方全員にもれなく参加頂きました。当時の職員の方々が忙しい中に積極的に参加頂いたことがREINSの礎になっていると思います。
システムライフサイクルのコスト半減、協会の信頼性向上のためのオペレーショナルエクセレンス(卓越した組織運営)の向上、TO BE MODEL化の実現、全体最適実現に向けたシステムの柔軟性を持たせること、BCP(Business Continuity Plan、以下 BCP)のためのリスクマネジメント基盤の確立、等々を実現させるため、それだけの回数を必要としました。
ワークショップは‘ワイ(why)ワイ(why)’とやることをポイントとしました。何故この仕事をやっているか、何の為にこの帳票が必要か、本当にwhy、whyの連続でした。
――――TO BE MODEL化とは具体的にどのようなことと考えられたのですか?
①協会の再商品化業務全般に関して、社会環境変化への対応スピードを上げること。②事業運営のQCD(Quality,Cost,Delivery)に係るコスト低減を実現させること。③効率性と有効性による協会価値の最大化を目指すこと、でした。
TO BE MODEL化を実現させる為には、職員が個人で保有する業務運用ノウハウを、組織全体で共有して再構築して活用することが大変重要と判断しました。各職員に業務の詳細を開示していただき、独特な手順、抱えている問題点、どうしたらもっと効率よく出来るのかというアイデア等々を徹底的にヒアリングし、業務プロセスモデルを検討しました。
検討した業務プロセスモデルの全てが協会内部ですんなり了承されたわけではなく、一部の内容については反対意見もありました。皆が納得できるシステムを構築させたかったので、その調整にも時間が掛かりましたね。
――――なるほど。基幹システムを構築するためには、協会業務全般にわたって、それぞれ必要とされるノウハウや‘実際の状況’を全てオープンにすることが必要であったと・・・。
ところで、「REINS」を導入したことによる、これまでの最大の成果・実績は何であるとお考えでしょうか?
一つは、BCPですね。人が変わっても誰でも対応可能となるよう業務運用ノウハウを組み込んだシステムの基盤を準備できたこと。また法律の改正や、急な要請があっても、変化に柔軟に対応でき、再商品化業務を停滞させることなく維持・継続できるようになったことでしょうか。
二つ目は、コストを含めた全体最適化です。コストだけで見た場合、この7年間のシステムライフサイクルに係る経費を、当初目標の50%削減には至らなかったもの、30%以上削減できたことです。
――――お話いただいたような経緯で構築され、現在大活躍の「REINS」ですが、未だ残された問題・課題、最も力を入れて取り組みたいと考えている課題を教えてください。
お話してきましたように、「REINS」は協会業務ノウハウの固まりです。
これからも大いに活用して頂けるように、業務プロセスの見直しを継続し、利用者すべての人にとって、有効性が享受できるよう推進したいと思います。
その時に、特に重視したい視点として、一つは、グリーンITです。
グリーン of IT(データセンター、サーバ、PC、ネットワーク機器などのITの省エネ化)と、グリーン by IT(IT化によるCO2排出量の削減、例えばオンライン化による紙の使用量削減など)です。
高性能、多機能化による効率性、利便性の向上も大切ですが、低炭素化優先の視点でグリーン「REINS」に成長できればと考えています。
もう一つは、BCPとしての視点です。
協会業務ノウハウの固まりであると同時に、利用者の方々の重要な情報資産である「REINS」を守るためにシステムバックアップ対策やセキュリティ対策など、今以上に強化策を推進し、タイムリーに実現させたいと思います。
更新日:平成21年1月30日
バックナンバー
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(平成20年5月15日) - 第4回 「PETボトルの国内リサイクルインフラを維持するためには~堀口PETボトル事業部長にインタビュー~」
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(平成20年9月5日) - 第8回 「協会再商品化業務の『見える化』を推進するためには ~各部署の代表者で座談会を実施(2)~」
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(平成20年11月17日) - 第10回 「協会の基幹システム「REINS-CP」は何のために必要なのか」
(平成21年1月30日) - 第11回 協会における法務 ~企画調査部 法務担当 岡田部長にインタビュー~
(平成21年2月27日) - 第12回 コールセンターへの問い合わせ
(平成21年3月27日) - 第13回 オペレーションセンターの役割
(平成21年4月30日)

