日本容器包装リサイクル協会ニュース No.77
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容リ協ニュースNo.77 February 201883Rの広場ものを大切にする志を貫き、11年連続でリサイクル率日本一を達成鹿児島県志布志市鹿児島県の東部、大隅半島の付け根部分に位置する志布志市。人口約3万人を数え、お茶やうなぎの名産地として知られる当市ですが、もうひとつ、全国に誇れるものが存在します。それが、市民と事業者、行政が協働して推進するリサイクル事業。そのリサイクル率は、2005年から数えて11年連続日本一を達成しています。志布志市の市民環境課で長年にわたり環境政策を手がける西川順一さんに、リサイクルにかける思いを熱く語っていただきました。 日本の家庭から排出される一般廃棄物のリサイクル率は、平成の初めに当たる1989年頃は5%にも満たないほどでしたが、容器包装リサイクル法が施行された1997年以降、年々順調にその率を高め、2007年度は20.3%と初めて20%超えを果たしました。ところがそれ以降、現在に至るまで日本のリサイクル率は横ばい状況が続くことになります。廃棄物の総量は減少傾向にあるものの、2015年度のリサイクル率は20.4%。2007年度からほとんど変化がありません。 そうした停滞の中にある日本のリサイクル状況において、驚異的なリサイクル率を実現し続けている市があるのをご存じでしょうか。それが、今回ご紹介する鹿児島県志布志市です。2006年1月に曽於郡志布志町、松山町、有明町の3つの町が合併して誕生した同市は、2015年度には76.1%のリサイクル率を実現。市単位で見ると、合併以降11年連続して日本一のリサイクル率を誇っています。 志布志市がなぜこれほどまでに優れた実績を上げることができているのか。その理由は今から遡ること20年ほど前、合併以前の志布志市(旧三町)が下した大きな決断にありました。当時の志布志市では、すべてのごみを分別せずに黒いビニール袋に入れて収集し、そのまま最終処分場に埋立ていました。しかし、ごみの焼却により発生するダイオキシン問題への対処として、各家庭などに設置されてごみの減量に役立っていた小型焼却炉の使用が原則禁止となり、ごみの排出量が大幅に増加します。このまますべてのごみを埋立ていては、最終処分場が2004年には一杯になってしまう。危機感に襲われた志布志市では、協議を重ねた結果、徹底したごみの分別収集により最終処分場への埋立分を減量するという方向に舵を切ります。 「ごみ問題に対して高い意識をもっていた当時の担当者などの英断に敬意を表します」と話すのは、現在の志布志市市役所の市民環境課長、西川順一さんです。焼却処理全盛の時代に燃やさない分別収集を選択志布志市役所 市民環境課長 西川順一さん志布志市

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