日本容器包装リサイクル協会ニュース No.77
2/16

 一昨年(平成28年)、産業構造審議会・中央環境審議会合同会合が「容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」(以下、報告書)を取りまとめました。容リ制度は全体としてはうまく回っている制度と言えますが、何より懸念しているのは報告書取りまとめ後に行なわれたプラスチック製容器包装の入札制度の変更です。こうした国の循環政策を左右しかねないことが、審議会というオープンな場で議論されずに決まってしまったのは、とても残念でしたし、不思議に思いました。 変更内容についても実態に合わない部分があると思います。落札単価が確実に上昇し、リサイクルにかかる社会的コストも増大すると予測されました。実際、平成29年度入札では落札単価が上がっています。総コストも増加することになります。容リ制度の見直し審議の結果について競争に勝てるリサイクラーとは、より高い価格で成果物を販売できる事業者のこと 国からの説明では、優良な事業者がよりポテンシャルを伸ばせるようにするための入札制度の変更と聞いています。しかし、そもそも優秀な事業者を保護する必要はないというのが私の考え。優秀な事業者なら、市場にまかせておけば成功を収めるはずです。保護により制度自体が不自然になり、コストの増大といった今回のような懸念事項を生み出してしまうと思います。 長期的に見れば、プラスチック製容器包装のリサイクルを材料リサイクルとケミカルリサイクルに分ける必要はなく、効率が高ければ良いと思っています。また、リサイクラー間での競争原理が働く仕組みを構築することが重要だと考えています。 材料リサイクルに関しては、優秀なリサイクラーが保護されるのではなく、競争により勝てるような環境の整石川 雅紀さん神戸大学大学院経済学研究科教授NPO法人「ごみじゃぱん」代表公益財団法人日本容器包装リサイクル協会評議員需要をつくり、競争を促進することがリサイクルの未来につながる容器包装リサイクル制度(以下、容リ制度)は、施行後20年を経てさまざまな環境変化に直面しています。そこで今回は、長年にわたり容リ制度に関わってこられた神戸大学の石川雅紀教授にインタビュー。現在、そして今後の容リ制度について忌憚なく語っていただきました。容リ協ニュースNo.77 February 20182

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る