日本容器包装リサイクル協会ニュース No.76
3/16

消費者の視点を活かした商品開発や容器改良で3R推進̶消費者と企業・行政をつなぐ立場として、3Rのさらなる推進にはどんなことが重要とお考えですか。 企業の皆さまには、環境に対する取り組みをもっと消費者に発信してほしいと思っています。環境ラベルは、ただ商品に付けるだけでなく、その意味も伝えなければ消費者には気づいてもらえません。消費者が関心を寄せないから説明が要らないと考えるのではなく、説明が足りないから消費者は関心を持たないと考えていただきたいです。さらに消費者との環境コミュニケーションを活性化し、企業自らがグリーンコンシューマーの育成をリードしていただきたいと考えています。 一方、消費者には自分の商品選択によって社会がより良く変わることを知り、行動してほしいと考えています。毎日のお買い物は、商品やその商品を製造、販売している企業への投票です。環境にやさしい商品や事業者に一票を投じることで権利と義務を行使してほしいですね。 行政は、時代の変化に対応しリードしていくことが求められています。例えば超高齢社会では、これまでのようなごみの分別、排出が難しくなっていくでしょう。消費者目線での、出しやすさ、分別のしやすさ、情報提供の在り方が、今後より一層重要になっていくでしょう。̶大石さんは、消費生活アドバイザーによる専門家集団「NACS」の副会長であると同時に、環境委員会の委員長も務めておられます。環境コミュニケーションの活性化がグリーンコンシューマー増加への鍵 森林破壊や廃棄物処理の問題など、地球規模で深刻化する環境問題を解決し、持続可能な社会をつくるためには、私たち自身の消費の在り方を見直すことが必要不可欠です。そこでNACSでは、他の消費者団体に先駆けて2000年に環境委員会を設置。普及啓発用冊子の作成のほか、学校、地域、消費者生活センターでの環境講座の開催を通じて、3Rの推進や環境に配慮した商品選択のできるグリーンコンシューマー、さらにはエシカルコンシューマーの育成に向けた啓発活動を行なっています。 消費者向け講座では、「商品の一生を知ろう」をテーマに、参加型のワークショップを開催しています。商品には原料の調達から廃棄・リサイクルに至る各過程でさまざまな環境負荷がかかっていることに気づき、それらの負荷にも目を向けて商品選択をすることを提案しています。 その他にも、企業の第三者委員会のメンバーとしてCSR(企業の社会的責任)の取り組みに対する意見を報告したり、消費者団体の代表として国の審議会で環境に関する提言も行なっています。 CSRの観点からも、持続可能な社会のために貢献することは、企業にとって今や大切なミッションのひとつです。そのため、消費者の立場から環境に貢献できる商品の開発を行ない豊富な知識と広い人脈を持つ̶企業で環境対応の仕事に携わっている消費生活アドバイザーの方も数多くいらっしゃるそうですね。消費生活アドバイザーの存在価値は年々高まりつつあります。 NACSには企業の環境対策を担う部門で活躍する消費生活アドバイザーがたくさん参加しています。例えば、大手流通会社で環境社会貢献部長を務められている方は、容器包装を環境に優しいものに改良するなど容器包装の3R、特にリデュースに力を入れています。またPB(プライベートブランド)で、環境に配慮した商品にはオリジナルのマークを付けて販売するといった施策を消費者の意見を聞きつつ実行に移しています。環境にやさしい店を目指し、お店から出る廃棄物の分別を徹底し、それらをリサイクル資源として活用している様子をNACSメンバーと見学させていただきました。 いうなれば、消費生活アドバイザーに求められているのは消費者と企業や行政とを橋渡しすることといえるでしょう。消費生活における課題を幅広く専門的な知識をもって解決に導く役割を果たしています。容リ協ニュースNo.76 November 2017 3

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る