日本容器包装リサイクル協会ニュース No.73
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容リ協ニュースNo.73 November 20169 凸版印刷のパッケージ事業は、環境配慮製品を製造するだけにとどまりません。持続型社会を実現環境対応の仕組みづくりで顧客の社会貢献をサポート生活者へ●環境配慮型商品の提供●自社の環境配慮姿勢を商品を通じて伝達詰め替え用ボディソープのパッケージなどチップメーカー製紙メーカー再生事業者フィルムメーカートッパンパッケージ製造仕組みの構築メカニカルリサイクルPETフィルムパッケージ飲料やスープなどの紙製容器間伐材活用パッケージ流通会社のPB商品パッケージにするための仕組みづくりにまで、事業領域を広げようとしています。 その端緒となったのが、大手流通企業が開始した自社で森林を育て国産材の利用を促進するプロジェクトです。 「流通大手のお客さまの森林から伐採した間伐材を、自社で販売する製品に使う紙製容器の原材料として活用できないものかとの相談を受けました。そこで当社では、製紙メーカーと協働したトレーサビリティ管理のもと、木材チップの加工から製紙、包装材生産にいたるまでトータルに管理し、間伐材マークの認証取得に対応した特定の森からの間伐材利用の仕組みを構築しました」(川田さん) さらに、店頭で回収された使用済みPETボトルをメカニカルリサイクルPETフィルムとして再生。お客さまのプライベートブランド製品のパッケージに使用する取り組みも行なっています。 今後は、環境対応の新たな仕組みづくりにも挑戦し、お客さまと社会の課題解決によりいっそう貢献していきたいと語る川田さん。凸版印刷はこれからも、包装材の環境特性を進化させる企業であり続けることでしょう。森林保全活動使用済みPETボトルの店頭回収流通会社のCSR活動のは、環境ビジネスチームの山田久子さんです。リプレイスとは、包装材を缶やびんからパウチに変更するなど、より環境負荷の小さい製品形態に置き換えることです。また、4Rに加え、その製品形態に使用する原材料にまでさかのぼって環境への配慮を行なうことに取り組んでいます。凸版印刷のパッケージ事業では、持続可能な資源であるバイオマスプラスチックやリサイクル材料の有効活用を進めています。 「1991年からバイオマスプラスチックを使用した包装材の開発に取り組み、先進の加工技術で40ミクロン以下の薄さにまで加工できる包装材を完成させました。現在では、バイオマスポリエチレンを用いた食品や医薬品向けラミネート包装材や紙カップ、ヘアケア商品などの詰め替えスタンディングパウチなど、様々な製品の実用化に成功しています」(山田さん) また、使用済みPETボトルをリサイクルして得た再生樹脂によるメカニカルリサイクルPETフィルムを、2012年に再生事業者とフィルムメーカーとの協働で開発。再生樹脂を世界最高レベルの80%使用したこのフィルムを使用することで、一般PETフィルムに比べてフィルム製造段階までのCO2排出量を約24%削減可能になります。さらに、メカニカルリサイクルPETフィルムは現在、GLFILMへの使用も実用化。再生PETフィルムによる透明バリアフィルムの開発は、世界初の成功例となっています。 持続可能な材料についてはもう一つ、間伐材の活用にも注力しています。前述したカートカンは、じつは間伐材を含む国産材を用紙の原材料として利用した紙製容器です。間伐材を含む国産材を30%以上利用することで、CO2吸収効率の高い健全な森を育て、ひいては地球温暖化の防止に貢献しています。

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