日本容器包装リサイクル協会ニュース No.72
9/16

容リ協ニュースNo.72 May 20169 「しまつのこころ条例」をスタートさせる以前から、京都市における一人当たりの家庭ごみ量は、政令指定都市の中でも最少レベルだったこともあり、ここからさらにごみの減量を促進して39万トン以下という数値目標を達成するためには、総合的かつ大胆な取り組みが必要とされました。 そこで、ごみ半減を実現するためのプランづくりを審議した京都市廃棄物減量等推進審議会では、34の業界団体・事業者からのヒアリングによる意見も踏まえ、ごみの減量はもとより、“しまつの心”、“もったいない”といった京都らしいビジネススタイルやライフスタイルの在り方なるべくごみを出さないビジネス&ライフスタイルの実践(以下、ごみ半減プラン)を策定しました。この『ごみ半減プラン』に対する市民と事業者の皆さまからのご理解とご協力により、京都市のごみ量はピーク時の年間82万トンからここ数年には4割以上減の46万トンまで削減できました。これに伴い、ごみ処理を行なうクリーンセンターも5工場から3工場まで縮小。環境負荷の低減はもちろんのこと、年間106億円もの大幅なコスト削減を実現しました。しかし、ここ数年はごみの減量ペースが鈍化し、わずかな減量にとどまっており、このままでは、『ごみ半減プラン』で目指している39万トン以下という目標を達成できなくなってしまいます。実は、39万トン以下という数値目標には切実な理由があるのです。京都市は内陸都市で埋立処分場が一つしかありません。また、現在、京都市のクリーンセンターは、前述したように3工場ですが、その中の一つのクリーンセンターは20年間使用した後には、約2年間にわたる大規模改修が必要なため、その間は2工場でごみ処理をしなければなりません。その処理能力はおよそ39万トン。必然的に京都市では、現在の46万トンから39万トン以下にまで減量しなければなりません。そこで新たな施策としてスタートしたのが、“しまつのこころ条例”なのです」 一つ目の柱、「2Rの促進」では、京都という都市の特性を踏まえた6つの重点分野として「ものづくり」、「食」、「販売と購入」、「催事(イベント等)」、「観光等」、「大学・共同住宅等」を選定。それら6分野において、市民を対象に努力義務8項目、事業者へは実施義務8項目と努力義務21項目を定めています。 「市民や事業者の皆さまに実施していただきたい、または可能な限り実施に努めていただきたいことについて、抽象的ではなく、ここまで具体的な内容を明示した条例は全国でも珍しいと思います」(田近さん) 例えば、祇園祭などで知られる京都ならではの重点分野の一つ、「催事(イベント等)」における取り組みでは、主催者に対してイベントにおいて資源ごみの分別環境の整備を実施義務と規定。イベントにおける京都らしい6つの分野で2Rの促進を重点化までも意識した施策を検討。その結果、「しまつのこころ条例」は、「2R(ごみになるものを作らない・買わない“リデュース”、再使用する“リユース”)の促進」、「分別・リサイクルの促進」の2つを柱とするプランとなっています。京都市廃棄物減量等推進審議会の答申を受ける門川市長(2014年10月)「2R実践ガイドブック」

元のページ 

page 9

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です