日本容器包装リサイクル協会ニュース No.72
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容リ協ニュースNo.72 May 201610 「しまつのこころ条例」におけるもう一方の柱、「分別・リサイクルの促進」については、他都市の例にならい、市民や事業者などによる分別をこれまでの“協力”から“義務”へとそのレベルを引き上げ、分別違反に対する指導の手順を明確にしています。家庭ごみでは、ルール違反のごみ袋に啓発用のシールを貼って残置するとともに、最終的には違反者を特定して指導できる仕組みも設けました。分別は、“協力”から“義務”へ 「2Rの促進」、「分別・リサイクルの促進」を2つの柱とする「しまつのこころ条例」の施行後は、目に見えてごみの減量ペースが加速。中間目標である2015年度末で45万トンという数値はクリアできる見通しです。こうした優れた成果を上げた背景には、田近さんたち職員による積極的な啓発活動がありました。例えば、2015年6月から条例施行の10月までの間に、市内6千カ所の家庭ごみの排出定点で、早朝から、「しまつのこころ条例」についての啓発用チラシを配布するなどの周知を行ないました。 「定点啓発は、環境政策局の職員を挙げて行ないました。その結果、“がんばってください”という激励の声を多くの市民の方からかけていただき、足を運んで顔を合わせて説明することの大切さを改めて実感しました」(田近さん) その他にも、各地での説明会の開催や、広報誌「きょうと市民しんぶん」や事業者向け啓発誌「ごみゅにけーしょん」で特集号を発行。本条例の情報発信に特化した専用ホームページ「京都こごみネット」もオープンしました。条例の施行後は、そんな草の根的な活動が効を奏し、「製品プラスチックと容器プラスチックの違いについて」や、「紙類の分別をどうやったらいいのか」など、正しい分別に対する前向きなごみの減量を目指す全国の自治体のモデルケースへ事業者向け啓発誌「ごみゅにけーしょん」市民向け啓発用チラシきょうと動画情報館「しまつのこころ条例」(2015年11月20日公開)マイバッグ持参などの呼び掛けや事前告知、リユース食器の使用を努力義務としています。さらに、市民に対してもイベント参加時のごみの分別排出を努力義務として定めています。 その他にも、事業者が行なう2Rの取り組みについての実施状況などに関する報告書及び次年度の計画書を毎年6月に市へと提出する制度を設けるとともに、市民・事業者などによる取り組みの実施状況を把握するための市民モニター制度の仕組みも整備。 「市民モニター制度とは、市が依頼する市民モニターの方々に、対象イベントや小売店などに出向いてもらい、その2Rの取り組みに関する調査・報告をしていただくというもの。優れた事例を集めて公表することで、2R活動の活性化を図りたいと考えています」(田近さん) 一方、事業ごみではクリーンセンターでの搬入物検査を強化することとしました。家庭ごみも事業ごみも、指導以前に分別ルールの周知を徹底しています。 「分別違反に関する罰則規定は設けていません。義務ということにはしましたが、一方的な押しつけではなく、市民・事業者とともに協力して分別・リサイクルの促進を図りたいという行政側の思いもあり、改善勧告と命令(事業者は公表まで)という、必要最小限の規定を設けるにとどめています」(田近さん)

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