日本容器包装リサイクル協会ニュース No.70
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容リ協ニュースNo.70 November 20159 陽圧無菌充填方式による生産を開始した当初から、大塚製薬では自社でプリフォーム(膨らませる前のPETボトルの原型のこと)をPETボトルへと成型するブロー機を導入。一年を通して安定的にPETボトルを成型するためには、季節ごとに現場の温度、湿度を微妙に調整することが必要で、生産を通じてそのノウハウを学んでいきます。2009年には、その経験を活かしてPET樹脂から自社でプリフォーム自体の製造も開始しました。 さらに同年から、陽圧無菌充填方式による海外生産のためのプロジェクトも始動。現地スタッフの教育など様々な難しさがある中にあって、人の経験値や技術に左右されないオペレーティングシステムを開発し、現地スタッフによるラインの立ち上げを実現します。現在、陽圧無菌充填方式による軽量化ボトルの生産ラインは、海外でも問題なく稼働しているといいます。 「陽圧無菌充填方式の研究開発を始めた当初は、業界内にも容器製造の門外漢がそこまでできるのかといった声はありました。しかし、“ものまねはしない”とともに、“失敗してもいいから成功するまでやり遂げろ”というのも当社の社風。それがあったからこそ、PETボトル軽量化も成し遂げることができたと信じています」と、当時、生産技術部で開発チームの一員だった生産企画部の今泉記代子さんは話します。海外生産のためのオペレーションも社内で開発 独自性あふれるのは、容器のリデュースだけではありません。大塚製薬では生産現場同様にISO14001をオフィスにも適用するための一環として、2011年からWebによる「環境の学校」を、全社員約6,000人を対象に開始し、「学校だより」を配信しています。環境のみに特化した教育システムをこれほど大規模に行なう企業は珍しく、まさに独自性にこだわる大塚製薬の面目躍如といったところでしょう。 「その目的は、社会人として当然知っておくべき環境に対する知識を学んでもらうことにあります」と話すのは総務部の塚本裕子さんです。メールによる情報発信とeラーニングによる年度末テストで構成される「環境の学校」はすでに第2期へと突入。第1期では一般的な基礎知識を中心に発信していましたが、2013年よりスタートした第2期では企業の環境活動に着目し、自社も含めた企業の事業活動が、環境保全に対してどのように役立っているのかといった具体的な情報をテーマに据えています。さらに、人事部門の役員にこの「環境の学校」の校長として登場願い、会社としての本気度をアピールしたのも社員一人ひとりの意識改革に大きく寄与したのでしょう。総務部の北岡尚子さんによると、教室をスタートした当初こそ反応は薄かったものの、「環境の学校」の回を重ねるごとにアンケートの回答数が増えているとのこと。 「ゆくゆくは環境活動に対する提案や活動が、社員から挙がってくることを目標としています」(北岡さん) 今年、オフィスでのISO14001の環境マネジメントシステムを導入した大塚製薬。「環境の学校」の取り組みは、その活動を末永く継続する力となるはずです。環境に特化した教育システムで社員の意識改革を実現左から「環境の学校」の渡辺校長、新納先生、ナオちゃんプリフォームレジンプリフォームボトル成形ボトル本来の硬さを保つことができ、ひとたびキャップを開くと手になじみ持ちやすい感触が実現しました。 2007年当時、国内製造の500mlPETボトルとしては最軽量のわずか18gを実現。従来容器と比較して1本当たり9g、約30%のリデュースに成功しました。

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