日本容器包装リサイクル協会ニュース No.69
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容リ協ニュースNo.69 May 20151346,300エコタウン敷田さん 北九州市のごみ分別・リサイクル政策では、「市民の理解を得なければ政策を実現できない」という基本思想が徹底されています。これは、前述の公害問題への取り組みの中で、立場の違う者たちが話し合い、それぞれの考えを理解し合うことで問題を克服したという成功体験の中から自然と生まれてきた考え方です。 「家庭ごみの有料化に取り組んだ際にも、市民の協力を仰ぐべく、市民の皆さんのもとへと説明に伺いました」と話すのは、同市環境局にて長きにわたり、ごみの分別収集事業に携わってきた敷田寛さんです。 同市では、1998年に政令指定都市では初めて家庭ごみの有料指定袋の導入を決定。この施策により、一人1日当たりのごみの排出量を約6%減量することに成功しましたが、その後は横ばいになってしまいます。そこで、2006年に制度を改正し、指定袋の料金を上げる決断に踏み切ります。この2度にわたる家庭ごみの有料化政策の実施時に、市では説明会を開催しましたが、そのすべては市側が市民の元へ出向くというスタイルを徹底したそうです。 「こちらが日時・会場を指定して開催するのではなく、出前方式で実施する説明会にこだわりました。その際、参加人数や土日・祝祭日でもかまわず、希望される時間と場所に伺うことで、一人でも多くの方のご理解を得られるように努めました」と敷田さん。実際に、参加された方が1人のケースもあったといいます。有料指定袋の制度改正時の説明会では計1,376回、参加人数にして約46,300人もの市民の方々に説明会を実施したというから驚きです。さらに、制度改正後には市職員1,552人、市民ボランティア11,776人を擁し、ごみ・資源化物ステーションにてごみの分別方法を指導する「ごみ出しマナーアップ運動」を実施。より多くの人に当事者意識を持ってもらうために開催したこの施策には、延べ10万人の市民が参加したといいます。 また、北九州市独自の政策として忘れてならないものに「北九州エコタウン事業」があります。北九州エコタウン事業とは、リサイクルの推進を目的に北九州市がその担い手となる環境産業を振興すべく始めた一大プロジェクトです。若松区響灘地区に市がおよそ2,000ヘクタールに及ぶ土地を整備し、環境分野の「教育・基礎研究」から「技術・実証研究」、各種リサイクルの「事業化」に至るまで、大学や研究機関、事業者が連携して総合的に展開しています。PETボトルをはじめ、家電や自動車などのリサイクル工場もエコタウン内で稼働しており、リサイクルは北九州市民にとって身近な産業のひとつになっているのです。「グローバル500」を日本で初めて受賞「国連地方自治体表彰」を日本で唯一受賞缶、ガラスびんの分別収集開始PETボトルの分別収集開始家庭ごみ有料指定袋導入プラスチック製容器包装の分別収集開始家庭ごみ有料指定袋の料金改定 北九州市のごみ分別・リサイクル政策では、「市民の理解を得なければ政策を実現できない」という基本思想がをとたい改市民の理解なくして分別・リサイクルはあり得ない1993年1992年1990年1997年1998年2006年実証研究エリア総合環境コンビナート響リサイクル団地響灘東部地区

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