日本容器包装リサイクル協会ニュース No.69
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容リ協ニュースNo.69 May 201511 「当社では、軽量化以外でも、環境負荷の低減に向けた取り組みを積極的に展開しています」と森さん。地球環境問題がより顕在化しはじめた1980年代からは、工業製品やシステムの環境負荷を総合的に評価する手法であるライフサイクルアセスメント(LCA)を導入。同社が独自に開発した金属缶「TULC(タルク)」は、開発段階からLCA手法による環境負荷の定量評価を実施して開発された製品です。金属缶の材料やプロセスを根本的に見直し、水を一切使わない製缶方法を実現したTULCは、洗浄工程がなく、排水処理が不要なため、環境負荷を効果的に低減できます。 リサイクルに適さない色付きPETボトルに代わるものとして開発されたのが「Fi-Cell(ファイセル)」です。独自の発泡技術で着色剤を使用せずに遮光性を持たせた本製品は、通常の透明な飲料用PETボトル同様にリサイクルできるという画期的な特長を備えています。さらに、同社グループ企業では、使用済みPETボトルから新たなPETボトルを生み出す、PRT方式と呼ばれる独自のケミカルリサイクル技術をいち早く導入。回収したボトルを粉砕・洗浄後に分子レベルまで分解することで不純物の除去が可能なため、バージン材と同等の品質および衛生性を確保しつつ、再びPETボトル用の先進技術で画期的な環境型製品を開発  インターネットの時代に入り、安心・安全に製品を使っていただくためには、情報公開などの広報活動を通じて容器包装を正しく理解してもらうことがますます重要になっています。 「当社はBtoBのビジネスのため、一般消費者との接点が薄く、以前は社会に向けての広報活動を積極的に展開してはきませんでした。しかし、最近ではホームページでの情報発信はもちろん、展示会をはじめとするイベントへの参加、小学生向けの出前授業の開催など、容器の重要性や環境への取り組みを一般消費者へとお伝えする機会を増やしています。こうした活動を通じて、容器包装業界に対する皆さまの信頼性を向上させることは、リーディングカンパニーである当社の務めであり、今後より精力的にその義務を果たしていかなければならないと考えています」(森さん) そのため、2012年に竣工した新本社ビルの1階に、容器文化ミュージアムをオープン。地域の皆さまをはじめ、広く一般の方々に、容器包装の歴史や最新技術に関する情報を分かりやすく展示しています。 「目的は企業のPRではありません。あくまで容器包装の重要性をご理解いただくとともに、容器の環境対応の紹介などからリサイクルの大切さも啓発できればと考えています」と森さん。容器を通して社会に貢献する同社の根本方針がこんなところにも活かされていること。それこそが、同社の事業を100年の長きにわたって持続可能にしている秘密なのかもしれません。精力的な広報活動を通じて業界の信頼性向上に貢献材料として半永久的な再生サイクルをつくり出せます。 「容器包装に携わる企業として、環境配慮型製品の開発は私たちに課せられた責務であり、これからも努力を続けていきます」(森さん)

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