容器包装リサイクル20年のあゆみ-公益財団法人日本容器包装リサイクル協会
25/56

20年の成果と今後の展望田中良典さん環境省 リサイクル推進室長容リ協が中心となって検討すべき事項  平成16年から18年にかけて行なわれた1回目の容リ法見直しでは、産構審・中環審による取りまとめを踏まえて、容リ法の改正が行なわれましたが、今回は法改正を伴う見直しはありませんでした。しかし、平成28年5月31日の合同会合において、「容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書に基づく今後の対応」が、①国が中心となって有識者・関係者と連携しつつ検討する事項、②審議会のサブグループ等で検討する事項、③国が中心となって取組を実施する事項、④指定法人が中心となって有識者・関係者と連携しつつ検討する事項、⑤事業者、消費者、自治体等が中心となって取組を実施する事項の5つに整理されました。 ④の当協会(指定法人)が中心となって検討すべき事項としては、「プラスチック製容器包装の入札制度の運用」「再商品化業務の効率化のための点検及び市町村と連携した消費者に対する普及啓発」「再商品化することに課題のある容器等の情報把握等の努力と情報発信」などの課題が示されました。果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とされています。 これを踏まえ、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルワーキンググループ(座長:郡嶌孝同志社大学経済学部教授)および中央環境審議会循環型社会部会容器包装の3R推進に関する小委員会(座長:永田勝也早稲田大学名誉教授)合同会合(以下、合同会合)において、平成25年9月から18回の審議が行なわれ、平成28年5月に「容器包装リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書」が取りまとめられました。 報告書では、容器包装リサイクル制度について、各主体の取り組みによって、一般廃棄物の総排出量や最終処分量の減量化、一般廃棄物のリサイクル率の向上、社会全体のコストの低減に一定の成果を上げてきたと評価。そのうえで、自治体や特定事業者などの意見を踏まえ、より一層、社会全体のコスト低減を目指した効率化を図り、制度の強靭性や持続性を高める必要があるとして、「発生抑制及び再利用の一層の促進」「最終処分場のひっ迫への対応」「収集量の拡大」「再商品化事業者の生産性の向上」「再生材の需要の拡大」等の課題をあげ、必要な見直し策の実施や検討を行なっていくこととしています。(p20)24 容リ法施行前は、一般廃棄物の排出量が年々増加し、埋立処分場の残余容量が年4%のペースで減少、残余年数が8年半になるなど、廃棄物行政にとって非常に厳しい時代でした。そのような中、家庭における全容積の6割、重量の2割を占める容器包装ごみについて、その3Rを消費者・市町村・事業者の役割分担により進める容リ法は、日本を循環型社会の未来に向けて先導する役割を果たしてきました。また、全国民が毎日分別する文化を各家庭に普及させ、外国人旅行者が驚く、“きれいな日本”の基盤をつくるとともに、拡大生産者責任を基礎とする役割分担により3Rを進める制度として世界をリードしています。 容リ法が施行された平成9年比で一般廃棄物の総排出量は約2割減少、一廃の最終処分場の残余年数は6割増加し、20年を超えるまでになりました。容器包装の軽量化、PETボトルの有償化や水平リサイクルの実現、レジ袋辞退率の5割超えなど、数多くの素晴らしい成果が生み出されています。 これもひとえに、毎日の分別にご協力いただいている消費者、品質向上のための普及啓発や再商品化事業者への引渡しを担う市町村、容器包装の環境配慮設計や再商品化義務を担う特定事業者、質の高いリサイクルを目指す再商品化事業者の皆さんの努力によるものであり、心から敬意を表したいと存じます。 近年における世界の潮流は、国連持続可能な開発目標(SDGs)、パリ協定、G7富山物質循環フレームをはじめ、3Rを徹底し資源効率性を最大限に高めるというものです。そのため、日本においても容器包装については3Rをさらに進め、世界に誇れる消費者による分別協力を維持発展させることが重要です。わかりやすく簡単な分別に事業者・市町村も一緒に取り組んでいく必要があります。また、技術進展も踏まえリサイクルシステム全体の中で最適・持続的な対応を考えていく必要があります。 我が国の連携協働のシステム・技術を発信し、世界の資源政策をリードしていくためにも、環境配慮設計の段階から、製造、回収、リサイクル、高付加価値な出口までステークホルダーすべての協力により、共に世界を創っていけたらと思います。

元のページ 

page 25

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です