容器包装リサイクル法および関連法令集

環境庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省告示第一号
容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針

平成八年三月二十五日公布


容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)第三条第一項の規定に基づき、容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する基本方針を定めたので、同条第三項の規定に基づき、公表する。

近年の経済発展に伴う生産、消費の拡大、生活様式の多様化、消費者意識の変化等に伴い、一般廃棄物の排出量は増加し、その質も多様化している。その一方で、土地利用の高度化、住民の環境への意識の高まり等を背景として廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場がひっ迫するなど一般廃棄物の処理を取り巻く状況は極めて深刻なものとなっている。  

また、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られた物を資源として有効に利用していくことが求められている。このような状況の中で、我が国における快適な生活環境と健全な経済発展を長期的に維持していくためには、関係者の適切な役割分担の下で、一般廃棄物の減量と再生資源としての十分な利用を図っていくことが重要である。  

このようなことから、一般廃棄物の中で大きな割合を占め、技術的にその再生資源としての利用が可能な容器包装について、関係者の適切な役割分担の下で、容器包装廃棄物の分別収集、分別基準適合物の再商品化等の促進を図る新たなシステムが導入されたところであり、このシステムに基づき、容器包装の減量、再生資源としての利用に積極的に取り組んでいく必要がある。  

この基本方針は、このような認識の下に、容器包装廃棄物の分別収集、分別基準適合物の再商品化等を総合的かつ計画的に推進するため、必要な事項を定めるものである。


一 容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等の基本的方向廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図るためには、容器包装について、廃棄された物をどのように処理するかという観点を転換し、製品の開発、製造から消費、廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、使用済製品の再使用、原材料として利用するリサイクルの促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システムを構築することが必要である。  

すなわち、容器包装廃棄物の排出を抑制するとともに積極的に分別収集と再商品化を促進し、さらに、再商品化をして得られた物についてその積極的利用に努め、全体の調和を図りながらこれらを推進していくことが必要である。  

また、容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の実施等に当たっては、消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化というように適切な役割分担の下でそれぞれが積極的に参加することが必要である。


二 容器包装廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項

容器包装廃棄物は、一般廃棄物の中で大きな割合を占めており、その減量が重要である。容器包装廃棄物の減量対策に当たっては、まず、廃棄物の排出をできる限り抑制することが必要であり、消費者、国、地方公共団体、事業者がそれぞれの立場で積極的な取組を果たすことが求められている。

具体的には、次のとおりである。  
消費者は、商品の購入等に当たっては、自ら買物袋等を持参し、また、簡易包装化がなされている商品、詰め替え可能な商品及び繰り返し使用が可能な容器(以下「リターナブル容器」という。)を用いている商品等を選択すること等により、容器包装廃棄物の排出のできる限りの抑制に取り組むことが必要である。

国は、自ら率先して、過剰に包装された商品の購入を極力避け、詰め替え可能な商品やリターナブル容器を用いている商品の積極的購入を図ることとする。また、簡易包装やリターナブル容器の使用等容器包装廃棄物の排出の抑制について、その促進に必要な方策等に関する調査研究、消費者等に対する普及、啓発その他の施策を講ずることが必要である。

地方公共共団体は、国の施策に準じて容器包装廃棄物の排出を抑制するよう必要な措置を講ずるよう努めることが必要である。

事業者は、事業活動に係る商品の購入等に当たっては、容器包装廃棄物の排出のできる限りの抑制に取り組む必要がある。また、容器包装の利用、製造等に当たっては、容器包装の規格化や材料、構造面における工夫を行い、リターナブル容器を用いること、内容物の詰め替え方式を採用すること等により容器包装の減量に積極的に努める必要がある。具体的には、容器包装のリサイクルに伴うコストを正確に認識し、薄肉化、簡易包装化、空間容積率の縮小、詰め替え可能な商品の製造、必要に応じ洗剤等について内容物自体の濃縮化等により、容器包装の役割を損なわない範囲で、最も効率的な容器包装とするよう努める必要がある。


三 容器包装廃棄物の分別収集に積極的に取り組むべき地域に関する事項及び容器包装廃棄物の分別収集の促進のための方策に関する事項

分別収集は、分別基準適合物の再商品化の前提となるものであり、一般廃棄物の減量及び資源の有効利用を図るために、今後は、各市町村において適切な分別収集の一層の推進に努める必要がある。

特に、一般廃棄物の最終処分場がひっ迫し、更に新しい最終処分場を確保することが困難である市町村においては、最終処分量の減量のため、容器包装廃棄物の分別収集に積極的に取り組むべきである。

また、この外にも、例えば、最終処分場の不足のため、他の市町村において最終処分を実施している市町村、焼却施設等中間処理施設の処分能力の不足のため、中間処理を経ず、最終処分を実施している市町村、大都市圏の市町村のように近い将来最終処分場がひっ迫するおそれが高い市町村などにおいては積極的に分別収集の実施を検討することが望まれる。  また、市町村は、当該年度における分別基準適合物の再商品化を行い得る量(以下 「再商品化可能量」という。)と分別収集される量との間に過大な 齟齬(そご)を生じないようにする観点及び分別基準適合物の再商品化が円滑かつ効率的に行われるようにする観点から、分別収集計画の策定に当たっては、再商品化計画により示される分別基準適合物の再商品化をするための施設(以下「再商品化施設」という。)の立地状況等を勘案することが必要である。また、再商品化施設への輸送距離等にかんがみ効率的な位置に保管施設を設置することや、再商品化施設の施設能力に見合った容器包装廃棄物の確保を図ることは、分別基準適合物の効率的な再商品化に資するものであり、市町村は、これらの点に配慮することが望まれる。

なお、分別収集については、容器包装廃棄物の種類ごとに段階的に実施することも可能である。また、市町村分別収集計画の策定に際しては、効率的な分別収集を実施する観点から、必要に応じ、民間のリサイクルに関係する者の意見を聴くとともに、近隣の市町村との協力連携、広域的な分別収集の実施についても積極的に検討することが望まれる。

分別収集が適正に実施されるためには、消費者は、自らの責務として、市町村が定める分別の基準に従い、容器包装廃棄物を適正に分別して排出しなければならない。また、市町村は、そのための施設及び体制を整備することが必要であり、国は、必要な資金の確保や情報の提供、技術的な支援等を講ずるよう努めなければならない。

さらに、市町村の実情に応じ、住民等が行う集団回収、拠点回収等を活用した分別収集を促進することが効果的であり、集団回収等の取組に対する支援についても検討する必要がある。  市町村は、住民が容器包装廃棄物を適正に分別排出することを促進するため、分別排出の基準の設定及びその周知を行い、住民に対する意識啓発に努めるほか、次の方策についても検討を行うことが望まれる。

1.一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関し、手数料を徴収する場合において市町村が定める分別排出の基準に従い適正に分別して排出される容器包装廃棄物以外の一般廃棄物の排出量を勘案する等容器包装廃棄物を排出する者が当該基準に従い容器包装廃棄物を適正に分別して排出することを促進するために必要な措置を講ずること。

2.適切な分別収集を実施するための回収拠点及び回収頻度を設定すること。

一方、事業者は、容器包装に適切な材質等の表示、素材別に分離が容易な構造、材料の工夫を行うこと等、分別排出がより容易な容器包装の製造、利用について検討する必要がある。


四 分別基準適合物の再商品化等の促進のための方策に関する事項

分別基準適合物の再商品化等を円滑に進めていく上で、容器包装の種類ごとに次のような対応が求められる。

1 ガラス製の容器は、その再商品化により主にガラス製の容器の原材料となるカレットが得られることとなるが、将来、市町村による分別収集量が大幅に拡大した場合に、これに見合うだけのカレットの需要を確保するため、ガラス製の容器のカレット利用率の向上やタイル、人工軽量骨材、道路舗装用骨材等の新規用途の開発及び拡大が必要である。

2.飲料を充てんするための容器(原材料としてアルミニウムが利用されているものを除く。)以外の紙製の容器包装については、その再商品化により再生紙が得られるほか、コンクリート型枠等の建設用資材等が得られることとなるが、これらの新規用途の開発及び拡大が必要である。

3.ポリエチレンテレフタレート製の容器であって飲料又はしょうゆを充てんするもの(以下「ペットボトル」という。)は、その再商品化によりフレーク又はペレットというプラスチック原料等が得られることとなるが、再商品化施設の整備が進んでいないため、今後、その整備が必要である。

4.プラスチック製の容器包装であってペットボトル以外のものは、その再商品化により炭化水素油等が得られることとなるが、再商品化施設の整備が進んでいないため、今後、その整備が必要である。

これらの容器包装については、市町村による分別収集量の将来的な増加等に対応するため、その再商品化可能量の拡大を図ることが必要であり、再商品化施設の整備や新規用途の開発及び拡大等が求められる。このため、国は、必要な資金の確保、分別基準適合物の再商品化の促進、再商品化に要する費用の低減等に資する科学技術の振興を図るための研究開発の推進及びその成果の普及等に努めなければならない。

なお、再商品化施設は、分別収集を実施する市町村の保管施設からの合理的な輸送の観点をも踏まえ、各地域ごとに適正に整備されていくことが必要である。

また、分別基準適合物の再商品化等を効率的かつ容易にするため、容器包装を用いる事業者及びこれを製造する事業者並びに容器包装に用いられる素材を製造する事業者は、再商品化等が容易な容器包装の使用、容器包装の規格化並びに材料及び構造面での工夫を可能な限り行う必要がある。また、容器包装を利用している商品を販売する事業者は、これらの再商品化等がしやすい容器包装を用いている商品の販売を積極的に推進することが必要である。

加えて、容器包装を利用している商品又は容器包装そのものを輸入する事業者は、これらの再商品化等がしやすい容器包装を用いている商品又は再商品化等がしやすい容器包装を選択し、輸入することが必要である。

また、国は、自らが率先して、物品の調達に当たっては、分別基準適合物の再商品化等をして得られた物又はこれを使用した物の利用を促進するものとする。事業者及び消費者についても、これらの物の購入を積極的に進める必要がある。

なお、地方公共団体においても、国の施策に準じて分別基準適合物の再商品化等を促進するよう必要な措置を講ずるよう努めなければならない。


五 円滑かつ効率的な容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化のために必要とされる調整に関する事項

分別収集により得られた分別基準適合物が的確に再商品化されるためには、容器包装廃棄物の分別収集量と再商品化可能量が均衡しつつ拡大していくことが求められる。

このため、国は、分別収集見込量等分別収集の動向を踏まえ、分別収集見込量に対応した再商品化可能量の確保に向けて、その円滑な拡大を図るための環境整備に努めつつ、再商品化計画の策定を行うことが必要である。

市町村は、市町村分別収集計画を定めるに当たっては、分別基準適合物の再商品化が円滑かつ効率的に行われるようにする観点から、再商品化計画により示される再商品化される特定分別基準適合物の量の見込み、特定分別基準適合物を再商品化するための施設の設置に関する事項等を勘案しつつ、分別収集の実施を決定することが必要である。

事業者は、再商品化計画に沿って、再商品化可能量を増加させるよう努力し、又は協力することが期待される。

なお、ある年度における分別収集見込量の総量に特定事業者責任比率を乗じた量と前年度までに再商品化されなかった特定分別基準適合物の量のうち特定事業者により再商品化されるべき量の合計が当該年度における再商品化がされる特定分別基準適合物の量の見込みに特定事業者責任比率を乗じた量を超える場合には、この超える量のうち特定事業者により再商品化されるべき量について、翌年度の再商品化義務量の基礎として加算されることになるが、当該年度においては、市町村において保管することとなることに留意が必要である。


六 環境の保全に資するものとしての分別基準適合物の再商品化等の促進の意義に関する知識の普及に係る事項

分別基準適合物の再商品化等の促進は、容器包装廃棄物の排出の抑制、分別基準適合物の再商品化によって得られた物の利用の促進とあいまって資源エネルギー投入量の節減、廃棄物の減量及び散乱の防止、環境汚染物質の発生の抑制等を通じて、全体として人間の活動に起因する環境への負荷を低減させ、環境への負荷の少ない循環を基調とする経済社会システムを構築していくという意義を有する。

以上のような分別基準適合物の再商品化等の促進のためには、分別排出や再商品化によって得られた物の利用を始めとする広範な国民の協力が必要であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、環境の保全に資するものとしての分別基準適合物の再商品化等の促進の意義に関する知識について、広く国民への普及、啓発を図ることとする。具体的には、環境教育・環境学習や広報活動等を通じて、分別基準適合物の再商品化等の促進が環境の保全に資することについての国民の理解を深めるとともに、環境の保全に留意しつつその実施が行われるよう関係者の協力を求めることとする。また、国及び地方公共団体は、環境の保全に資するものとしての分別基準適合物の再商品化等の促進の意義に関し、国民への情報提供に努めることとする。


七 その他容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に関する重要事項

容器包装廃棄物の分別収集及び分別基準適合物の再商品化の促進等に当たって、容器包装の原料採取、製造、流通、消費、廃棄、分別収集、再商品化等の全段階における環境への負荷の評価(ライフ・サイクル・アセスメント(LCA))の手法について、国は、諸外国との連携を踏まえつつ調査研究を進め、LCA手法の確立を図るように努め、情報提供を実施することとする。また、事業者は、各段階における環境への負荷が低減されるよう、各段階における環境への負荷を視野に入れた製品開発、消費者への情報提供等への活用を図る必要がある。

国は、容器包装廃棄物の減量及び容器包装に係る資源の有効利用を図るために再商品化に要する費用を商品の価格に適正に反映させることが重要であることにかんがみ、その費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、法の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解及び協力を得ること等に努めなければならない。

  公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会